クマしゃんの運転しゅるお車は、朝里からどろろーっと元気よく山を登り、うさたちをワインの工場兼ギャラリーに連れてきてくれまちた。バタン、たしたしっ!あ、しょの前に毛並みをブラッシングぶらっしんぐ。
「……」
凪しゃんが珍しく、食事でおちた口紅を塗り直しておりまし。いまさら塗装工事してもお顔が変わるワケでもありましぇんが、気は心、デシ。
みんなで突撃。こんにちはー!
「おや、いらっしゃい」
あっ、Wたなべしゃまだ、こんにちはぁ!えへ、またうさたち、会いに来ましたデシ。あ、こり、Wたなべしゃまが二月に飲んでみたいって仰っていた、南国のお酒デシ。ここにお酒を持ってくるのは勇気が要ったけれど、運んできまちたよー!
「まぁ、ありがとう」
てへ。いつも、うさこそ、ありがとうでしの〜。
「今日は鶴沼の発売日ですよね!」
と、そりを楽しみに来た凪しゃんがうきうきと言うと。
「そうです。よくご存知で」
渡辺しゃまは試飲の準備を、ちてくりながら、にこにことお答え。えへへ、試飲の列に鶴沼の本日発売の三種類も並んだよ。えへへへへ!2006年に仕込まれた鶴沼しりぃずが、二年のねむねむを経て目覚めるのでし!らんらん♪
「準備をしますから、しばらくお待ちください」
はぁい、待つでぇし!
待ちながら、うさたちはギャラリーの中をお散歩。北海道ワインしゃんのギャラリーはANNAの縄張りだから、ちゃんと巡回ちないとね!いつもはSしゃまとクマしゃんが、『ナイアガラソフトクリーム』を食べるついでに見回ってくりていまし。うさも、極北に来たときくらいは、そりを手伝わないとね!
ん?
『ジャー、ジャー』
レジの内側ではおねいしゃまがオテテを洗っておらりまし。何かな、と思ってうさが見ていたら、やがてSしゃまがレジに近寄って、アイスクリームをご注文。Sしゃまとクマしゃんは試飲をさりないからネ。ちかち今、レジのおねいしゃまはSしゃまの注文より前にオテテを洗っておらりまちた。ううーん、さしゅが、ココでアイスクリームを食べさせればカオのSしゃまデシ。見廻りが行き届いてマシ。
「……ガゥ」
ううっ、いつもごめんなしゃい、クマしゃん。クマしゃんはお酒を嫌いじゃないんでしが、どらいばぁしゃまなのでいつも、飲まないで過ごしてくださっているの。ごめんなしゃい!
「あ、これ」
「うわっ!」
凪しゃんたちはギャラリーの中央、特売コーナーでしゅごいモノを見つけまちた。2006年のはつしぼりデラウェアが、ナンと一本、500円でしのよ!
「そう。それはお買い得です。味はまだ全く大丈夫ですよ」
試飲コーナーから、Wたなべしゃまが優しく声を掛けてくりまちた。うん、南国の靴箱の中でも2〜年は大丈夫でしもの。北海道の工場の倉庫の中ならもっと大丈夫!
「2006年のデラウェアって、凄く美味しかったですよね」
あ、うん、うさうさもそり知ってまし!2006年の9月の末に、二泊三日のレンタカー付きで、トラしゃんとKらいしゃまと極北へ来た、あの時でしよね!ツアーだったからホテルはガトキンじゃなくホテルクラビー札幌、札幌ビール園のお向かいにあるあしょこでちた。あしょこも、とってもよいホテルでちた。旭『川』動物園がナビで出なくて、地図をみてたどり着いたら、旭『山』動物園だった、というオチもついた旅、デシ。
ここへ来る前日なのに我慢できずに、はつしぼりしゃんをホテル近くのセブンイレブンで買って、うさたちのご贔屓、『ナイアガラ』『ポートランド』を買い尽くして、仕方なく『デラウェア』に手を出したら、まぁ!今年のデラウェアってすっごいおいしーぃ、と、大騒ぎちた、記憶がありましのー!
うさ一行がしょんな思い出を語っていると、Wたなべしゃまは目尻を下げてくりて。
「よくご存知ですね」
笑ってくりまちた。えへへ。だってANNAは北○道ワインしゃんダイスキ同好会も兼ねてまし!Sしゃまが教えてくりて以来、人生のお楽しみが増えてうれちぃうさうさぎ、でしのー!
「そうです。2006年のデラウェアはたいへんよい出来でした。2007年のはつしぼりシリーズが定価でありますが、味は2006年の方が上等です。用意できましたよ。どうぞ。あ、チーズはわたくしから。お土産のお礼に」
えっ、切ってくだしゃるのでしか?うきゅーん、ありがとぉ!おっきいカマンベールチーズ、うさがダイスキな、表面が白くて硬い、中はとろぉりのカマンベールちぃず、らんらん♪
ずらりと並んだ瓶の前に、今回も、Yしゃま、Mらしゃま、凪しゃんの三人が囲みまちた。うふ、うふふ。辛口の白、いろんな年にとれたリースリングを飲み比べ、というお贅沢ねいたしましたでしよぉ〜。ああ、シアワシ。
うさたちがしょーやっていたら、大学生らちき一団しゃんが。そちらにも、最初、Wたなべしゃまは、3000円を超える鶴沼のワインのトミーナの瓶を持って学生しゃまたちに近づき、試飲を勧めようと、ちておられまちた。が。
「……」
あ、大学生しゃんたち、イケナイことを!
試飲より先にアイス食べてる!アジが分からなくなりましよ!
うさうさ一行の中でアイスを食べたのはSしゃまとクマしゃん。ワインを飲まないお二人なのでし。うさたちは我慢ちているのよ!食後のオヤツ、チードラしゃえも、まだ食べていないのでし!
「……」
あっ、Wたなべしゃまが、鶴沼トラミーナの瓶を戻しまちた!
アイスを先に食べた悪いシトたちは、Wたなべしゃまでない方のお世話で、番号をふられた普通の試飲コースのワインを、普通の試飲に使うプラスチックの使い捨てカップで、のみのみちておらりまちぃたの。ま、そりが当たり前でし。でもしぇっかくANNAとの遭遇だったのに、あーあぁー。
「若い、って残念なことですね」
「若さというより無知でしょう。トラちゃんは学生時代からブイブイでしたよ」
「それはおねぇさまたちの教育の賜物では」
なんて喋りながら、20本を越えるワインを、ガラスのグラスでくいくいと、飲み干していく三人。鶴沼のトラミーナ、ううっ、た、高いけどおいちぃ……。同じく鶴沼の赤、つぁいべると・れーべは2000円足らず。ううっ、うさうさ、一本ずつ買いまし!あとは赤のセイベルのオススメと、バッカスと、うーん、きっと高いと思うけど、リースリングからも、どきどきで一本!
途中でたっぷり濃いトマトのジュースも飲ませてもらいまちた!しょっちはSしゃまも一緒にね!ああ、本当においちぃなぁ。ちぃずを食べて、ワインを飲んで、ああ、シアワシ。
「では、今日は特別に」
全てのコースが終って、飲みつくした瓶のラベルを眺めながら、どれにするこれにする、ああだこうだ、と、話しているうさたちに、にこにこWたなべしゃまが出してくだしゃった、モノは!
「……ッ!」
みんなで息を呑みマチタ。背後でSしゃまとクマしゃんもビックリでし。大変に細い黒っぽい瓶、容量はハーフボトルの分量もないでしょう。でもうさ知っているよ!しょの細い瓶が一本、二万円に近いということを!
「アイスワイン……!」
しょう、最上級の鶴沼葡萄で作られた、アイスワインの、ケルナー!
「えっ、えっ。ええっ!」
うさたは思わず仰け反りまちた。Wたなべしゃまが瓶の底に手を当てて、ニコッと笑ってくりまちた!アイスワイン、それは王侯貴族のおしゃけ。シングルショットで千円札が三枚、コップに注いだら一万円札二枚、でしっ!
「ひえぇぇぇええぇぇー!」
「よ、よろしいんですか?」
みんなで大騒ぎ。Wしゃまはニコニコ。
「これはね、コルクを抜くのが難しくて。年数たっていますから、凍らせておればきれいに抜けるんですが」
アイスワインは零下十度でも凍らないモノでしからね!糖度が高いからね!ウォッカも凍らないけど、こっちはアルコール度数が高すぎるからだけどね!
「よくご存知ですね。ああ、やはり割れてしまいました」
コルクをキュキュ、っと、ちていたWしゃま。割れちゃったコルクは少し瓶の中に落ちて浮きまちたの。細長いスプーンを瓶の口から差し入れて、コルクを素早く、出してくだしゃいまし。しょちてグラスに注いでくだしゃいまちた。ふるふる、うさ、オテテが震える、でし、ぃ〜。
「……、ごく」
「こく」
運転をちないSしゃまも、立って来られて、この試飲だけはさりたよーな、あり?うさ、味わうのに一生懸命すぎてよく覚えていないデシ。ジュースの時と混同ちていたらごめんなしゃい。
「ぺろっ」
「……うわぁ……!」
ワインなんだけど、蜂蜜に似た艶。とろぉり、精製された雫が、舌の上からじんわぁり広がって、うさのおクチの中を満たしていきましの。
「お代わりは?」
う、ううう、うううー!
うさは、一生、この北○道ワインしゃんについて行きまし!
ので、宣伝にご協力でし。北○道ワインしゃんの社長しゃまがご本を出されてまし。『完全国さん主義』というご本、たいへんお勉強になりまちた。本屋しゃんで見かけたら、みなしゃまもよろちく、でしっ!
王侯貴族のお酒に酔いながら、試飲コースが終わって、そりぞり、自分の目指すラベルを探してぎゃらりぃを探索〜。凪しゃんは今回、わりと大人しめのお買い物でちた。籠の中に6本しか入っていましぇん。ねぇ大丈夫なの?今度来れるのは、早くても年末近くなのに、もつのかな?きゅ?
「お運びします」
スタッフしゃまが凪しゃんの買い物籠を、持ってくりようとちまちた。ちかち凪しゃんは籠を渡しましぇんでちた。代わりに。
「あの、あちらを、箱でいただきたいのてすが」
2006年・デラウェアの、12本入りの箱を指差しまし。
「はい、ありがとうございます」
ううん、違うの。ありがとうは、うさと凪しゃんの方なの。
うさ頑張って働いて、またここへお買い物に来ようと、決意を、新たにいたち、まちた!
みんなでお買い物をちて、今夜のお供も冷えているのを分けてもらって、お騒がせいたちまちたとご挨拶ちて、ヨッパライたちとうさぎは駐車場へ。山の上の、ちっと涼しい風が気持ちよかったデシ。
「ああ、ここを通ると思い出します。初めてYさんと来たワインフェスティバルの時の事」
飲み食いに関しては執念深い凪しゃんが、またユっていまし。ありは数年前、まだYしゃまが南のオンナだった頃。収穫祭で屋台も出ているお祭りの時、屋外の仮設テントで、特売ワインの試飲と販売が行われていまちた。
列に並んで試飲さしぇていただいた時、Yしゃまは白をこくりと一口飲むなり、
『これ、残り全部ください』
と、お大名なことを仰ったのでし。
『……!』
Yしゃまの真後ろには凪しゃんが居まちた。自分の番の寸前で、ちかも仲間に、買占められた凪しゃんは、きっとあまりにもアワレな顔を、ちていたのでちょう。
『あ、じゃあ、これを、お客様には差し上げます。どうぞ』
試飲用にあけられていた残りを瓶ごと、係のシトは凪しゃんにくだしゃいまちた。あの日から、もう何年がたったでちょう。ふきゅうん。
「早い者勝ちです」
全く正しい一言で、Yしゃまが事態を統括されます。エボ君に、みんなでのんの、のんの。
「ガウ。今日は葡萄くさいのを通り越して酒くさいガウ」
うう、ごめんなしゃいクマしゃん。うさぎを含むヨッパライ集団を許してくだしゃーい!
「では、これから余市のニッカウィスキーでいいガウ?」
く、クマしゃん……ッ!
「え、よろしいんですか?」
「遅くなりませんか?」
「ここからは20分くらいガウ。近いガウ」
「あ、の。本当にご迷惑でないのでしたら、是非!」
うわぁい、2月に引き続いて、北○道ワインしゃんとニッカウィスキーしゃん、試飲のハシゴ、でしい〜!きゅーっ、うさって、しあわしーぃ!
「余市のニッカウィスキー?」
Mらしゃまが小首をかしげられまちた。Mらしゃま、行った事ないのでしか?実はうさたちも、半年前に、初めて連れて行ってもらったのでしが。
「アップルワインがありますよ。美味しいんです」
SしゃまがMらしゃまに教えてくりて、うさたちは、うふふで、GO!
処置なしのヨッパライ三人と一羽を乗せたエボ君は、小樽から余市へと進路をとった、のでちた!