小樽の朝里から余市までの途中は、川沿いの景色がよい道でし。
「あっ!リンゴが成ってる!」
凪しゃんが嬉しそうに言いまちた。うん、しゅごいねぇ、リンゴが成ってまし!南国のうさと凪しゃんにとって、リンゴとはワックスをかけられて値札を張られてスーパーに並んでいるモノ、でしの。そりが木に成って、秋の午後の日差しを受けてツヤツヤとちていまし。クマしゃん、待ってぇ、うさ写真とるでし。止まってぇ〜。
一車線の国道でしょんな無茶を言い出したうさたちを、
「ガウ……」
「何処でも撮れますよ。それよりニッカ工場に急いだ方がよくないですか?」
Sしゃまが止めてくりまちた。
「なんていったらいいか……」
「……ねぇ?」
うさと凪しゃんくの感動を、わかってくりるシトが車内には居ましぇん。あうあう。今度はゼッタイ、トラしゃんと一緒に来よう。うさの感動を分かち合ってくりるシトが必要デシ。裏切りの南国人・Yしゃまは、うさの感動に付き合ってくれるどころか。
「アップルワインというか、実際はブランデーなんですけど、香りがとてもよくて、こっちに来てから大好きになりました」
旭川のMらしゃまに、今から行く工場について説明をさりていまし。もうしゅっかり札幌スペシャリスト。うさうさは、マケマケでし。くしゅん。
「えー、私、それ見たことないです」
Mらしゃまも知らないという、秘密のアップルワイン。
「そうでしょうね。特に工場限定、という訳ではないようですが、札幌のスーパーでも殆ど見かけません。買いに行かないと手に入らないので、今日は連れて行ってもらえて私も嬉しいです」
「○○の○○っていうスーパーに、以前はあったんですよ」
と、Sしゃま。Sしゃまのお家とYらしゃまのお家はけっこうご近所デシ。
「ありましたね。見かけて買い占めて以来、なかなか次が入らなくて」
「つまり、見かけなくなったのは、Yさまのせい、なんですね?」
「そうかもしれません」
気に入ったお酒は買占めずにはいられない、Yしゃまに、うさは不覚にもトキメイテちまいまちた。極北のこの地でも、甲斐性と欲望のまま、いつまでも元気に暮らしてくだしゃいね。うさ会いに来るからね!
「チードラ、食べませんか皆様。元気をつけるために」
と、言い出したのは凪しゃんでし。後部座席のヨッパライ三人は賛成の声をあげ、みんなでチードラをあむあむ。今度の敵は蒸留酒だから、まわり過ぎないように胃にマンマを入れておかないとね。三人ともけっこう酔っているのでしが、チードラがワインを少しでも吸収ちてくりることを祈りまちょう。
そりにちても、こんなに酔っ払っているのにお車に乗って、全然気持ち悪くならないのは凄いなぁ。気持ち悪いどころか次へ乗り込む意欲満々でし。そりもこりも、クマしゃんの運転が上手なおかげ。ありがとうでし!
「ガウガウ」
運転中のクマしゃんにはSしゃまが食べさせてあげていまちた。優しいなぁ。仲がいいなぁ。うさとなきうさしゃまもケッコンちたらこんな風に、仲よしで過ごしたい、でし。
「でも時々、鉄拳制裁が来るガゥ」
「うるさい、逆らうな」
「あぅあぅ、ガウ、ガウガウゥ」
クマしゃんは正門をスルーちて、試飲の出来る建物と売店のしゅぐ裏に、お車をつけてくりまちた。ありがとうでし、クマしゃん!二月に、本当に遭難しそうになりながら、そりでも連れてきてくりたあの日の恩を、うさは決して忘れないでしの〜。しょりワリには本日もワガママ放題、エボ君の中を酒臭くちて、恩を仇で返してばかりでしが。反省。
タシタシッ、と、ウィスキーの試飲コーナーへ。こちらには『りんごのほっぺ』というリンゴジュースも置いてあるでし。お口を洗う ためのお水も置いてあるよ!てへへ。地吹雪のあの日と違って、人はそりなりにいらっしゃいまちたが、ちっちゃめのビアボールくらいに広くて席もいっぱいあるから、混雑ちている印象はなかったデシ。うさもお席について、えっと、最初はまずアップルワインを、いただきまぁし!
適量を注がれたグラスを手に取ると、おねいしゃまが氷入れると美味しいですよと教えてくだしゃいまちた。はぁい、と素直に言うことをきいて、お席に戻って、ごくごくというより、ぺろぺろ。
リンゴ果汁を完全に醗酵させるシードルと違って、リンゴの風味が濃く残っているうちにブランデーを加えて醗酵を止めてあるっぽい、デシ。甘口の赤ワインの作り方と同じで!けっこう度数が高いから、氷の角がちっとだけ溶けて全体が冷えて、口当たりがよくなったところで、こくっと飲むと、ふぅ。
おいちぃ。
来る途中で見たリンゴのしゃんたちの、蜜がぎゅーっとこの一杯の中に滴ってまし。本当においちぃなぁ。Yしゃまも気持ち良さそうにお楽しみでちた。初体験のMらしゃまのご感想は、ご本人のお日記から無断で引用するといたちまちょう。
『余市ニッカウヰスキーさんに初めて行きました。
工場限定アップルワインに
簡単にノックアウトされました。
ワインって名前でも、殆どブランデーで。
ブランデーって美味しく思えないから飲まないな、
って考えた自分にさようなら・・・!!(血涙)
でも笑顔です。だって美味しい。美味しいんだもの!!;;』
うさ、しょんなMらしゃまがダイスキでし。
でもうさイッコだけ不思議なの。いつからMらしゃま、こんなに強くなったの?
以前は北海道ワインの20本を超える試飲を飲みとおすこともできなかったのに、いつの間にかむ平然とクリアして、なおかつ、チードラで復活しブランデーをのみのみ、できるよーに、なっておらりまし、あり?
試飲を終えて売店へ。アップルワインを買って鶴沼のミニボトルも買って。あっ、冬のあの日には販売中止になっていた、アップルブランデーのソフトクリィムが!
「ください」
甘いものをあまり食べない凪しゃんでしけど頼みまちた。目的は二月にこりを食べたがってジタバタと暴れたトラしゃんに見せ付けるため、でし。写メってメールで送りつける、という技を覚えた凪しゃん。試飲の数々もソフトクリィムもトラしゃんに送りつけて悔しがられてまちた。
某・茶○町しゃまが、以前おっしゃったことは真理、でし。
食べ物を美味しく食べる究極の条件は、それを食べられなかった誰かの悔しがり、でしの。
Mらしゃまにちっと応援ちてもらってそふとくりぃむを完食。ふぅ、おごちしょうしゃま!
これ以上の幸福はない。そんな表情で、ヨッパライ一同は、再び、エボ君に積み込んでもらいマチタ。
「帰りは、六花亭に寄るガウ?ロイズはどうするガウ?」
あ、あの。よ、よろちければ、両方……。
「ガウ」
ぐぃーん、と、エボ君は秋空の下を札幌へ向かって疾走。その、途中で。
「あ、トウモロコシ!」
小樽から札幌へ抜ける道路の電柱に看板がくくりつけられておりまちた。茹でトウモロコシ、8本で1000円!うわぉ、しゅんごい!南国では真空パックのスイートコーンが一本、298円いたしまし!8本で1000円なんて、しゅごくお得でしぃ〜!
Sさま、Sxj、うさトウモロコシ買いたいでしぃー!
「居間の季節の新物なら食べられないことはないでしょう。クマ、止まって差し上げるように」
「ガウ」
ありがとうでし!
海辺の道路の一角に、小屋がけというか、簡単な建物があって、しょこで茹で立てトウモロシコが売ってありマチタ。トウモロコシの他に美味しそうな新ジャガや果物もあったよ!
「トウモロコシ、下さい!あの、二本と、二本と、四本に分けて入れてください!」
はい、とユってお店のシトが、トングで取り出してくりたトウモロコシしゃんの、鮮やかな黄色とあまぁい香りに、うさは意識がとびそうでちた。きゅーっ、ワタジュンが愛してやまない極北の、こりがまさちく晩秋の、ゆでたてトウキビ、というモノでしぃのね!きゃうきゃう!
「凪さん、うさうさ、ほら」
Sしゃまが、うさたちを読んでくれて。
「ほぅら、見てごらーん」
その指の先にあったのは。
青いメロンしゃん。の、頭頂部だけが切り落とされて、ラップに包まれたモノ。
「……」
底だけが痛んでしまったか傷があったかで、ワケアリ処分品、という感じでし。ちかち皮に筋の入ったしょのメロンしゃんは、うさどころか凪しゃんの頭くらいの大きさ。頭頂部が切り落とされているせいで中も見れまし。透明感のある果肉はツヤツヤの黄緑、種の周囲はほんのり黄味を帯びて、うさ、メロンはあんまり食べたことがないからよく分からないんだけど、野生の勘が、こりはとっても熟れて食べごろと教えてくりていまし!
「……」
ラップに書かれた数字は150。あの、単位はナニでしか?中国元なら2250円、香港ドルなら1950円でしよね。え?日本円で150?えっ、ここ日本でしか?(うさうさ、混乱)
「だから昨日のメロンも一箱で3500円なんですよ」
極北は。
日本ではないのかも、ちりない。
などとお耳を抱えるうさの横を、ずずいと通り過ぎ。
「すみません。こちらもお願いします」
凪しゃんが、しょの巨大なメロンを、買いまちた。同じく大きな茹でトーモロコシ8本と、一抱えあるメロンでお会計は1150円。
「ど、どうするんですか、それ?」
Sしゃまがちっとびっくりして、お尋ね。
「明日の朝食にします」
全く動じず、我が家の凪しゃんは答えたの、でちた。