八木邸・芹沢しゃん遭難のお座敷は、壁と畳は変えてあるけど他はそのままなんだって。坪庭へ向かう縁側に面した建具のガラスも当時のまま、って聞きまちた。厚くて、ちっとゆがんだ、むかしのガラスでちた。

 芹沢しゃんがまさにネンネちたしょの座敷から、うさたちはお隣の部屋へ移動。他のシトたちが一緒だったかりゃ、よろける芹ちゃんごっこを出来なかったのがザンネンでし。

「島原から帰ってきた芹沢一行は、座敷で二次会、飲みなおしていました。そこへ土方が様子を見に来たので土方も部屋にあげて宴会に混ぜて、さらに飲み続けたそうです」

 うーん。ということは、ひーちゃんは芹沢一行に嫌われていなかったんでちょうネ。

『ちょっとなで肩だったけど背が高くて二枚目で、女ように優しいクチをきく親切な男だった』

 という武州時代の証言があるひーちゃん、少なくとも芹沢襲撃の時点で鬼ではなかったよう。ひーちゃんともどもたくさんのんで、みんなちてネンネちた時は夜も遅かったとか、

「私は随分、見てきたように喋っていますでしょう?」

 温和しょうな案内のおじしゃまが仰いまちた。

「実は本当に見ていた、というより、聞いていたんです。浪士たちに宿舎を明け渡した壬生の郷士たちは殆ど親戚知人を頼って別の家に住んでいました。が、この八木家だけは地元郷士の触れ頭でもあった関係上、家人が芹沢たちの住んでいた離れに同居していたんです。だから芹沢たちの最後の宴会の様子も、隣のこの部屋で、八木家の奥方と子供が聞いていたんです」

 しょうしょう。このお隣のお部屋には、八木さんちぃの奥さんと男の子がネンネちていたんでしぃよネ。きっとウルサイワネ、サットトネナサイヨ、とか思いながら聞いていたでしょう。

「きっとひーちゃん、飲まされてべろべろだっただろうね」

 うーん。うさには見える、見えるぅ〜。(ような気がする)近藤しゃんに、『やつら、ねた』って報告に行くひーちゃんが、酔っ払ってヨタヨタだった、後ろ姿ぁ〜。

「玄関からは槍を持った原田が、庭伝いには沖田や土方、山南、井上が襲ってきたそうです。芹沢は初太刀を浴びますが起き上がり、八木家の奥方が眠っていた隣室に逃れます。障子を押し倒して転がり込んできたそうですが、そこで文机につまずいてしまう」

 芹沢しゃんがつまずいた文机が、しょの位置に置いてありまちた。ほ、ホンモノしょのマンマということでちぃたよ。きゃいーん!うさ、沖田しゃんのおねーちゃん・ミツさんが手習いをした机の写真も見たことありまし。近くて遠い、幕末という時代でし。まーニッポンはねぇ、藤原道長の手書きの日記が何年分も残っているよーなお国でしからネェ。

 うさには、見える、見えるぅ〜。(ような気がする)酔っ払ってヨタヨタで、おい大丈夫かって心配さりるひーちゃんがぁ〜。大丈夫だと言い張ってみんなと襲撃に参加したものの、手元がろくに定まらなくて、ヨタヨタ芹沢しゃまを追いかける、後姿ぁがぁ〜。

「ご覧下さい、鴨居に刀傷があります。あ、触らないで下さいね消えてしまいますから。以前はその横の柱にも幾つか刀傷があったそうなんですが、みなさんに撫でられて、消えてしまったそうです」

 う、うーむ。木の柱の傷なら、しょんなこともあるでちょう。昔の建物だから鴨居は低いんでしが、しょこにざっくり、はっきり刀で三角に抉った傷があったヨ!

「隣の座敷のうち、玄関側で寝ていた二人は逃走、そのまま行方不明」

 原田しゃんはハンサムで優しいシトだったらちぃからねぇ。生まれた藩では身分が低い中間で苦労ちておらりまし。一緒にネンネちていた女のシトと一緒に、きっと逃がしてあげたんだろうなぁ。

「芹沢の座敷で眠っていた他の三名はみな、一撃で即死」

 ……。

 ………………。

 人道的な問題は措いて。

 いくら寝込みを襲ったとはいえしょの腕の冴えは……。

 しゅくなくとも史実ひーちゃんではない、と、うさは思いマシ。

 沖田しゃんは言うに及ばず、山南しゃんも相当だったらちぃでしから、二人ともかどっちかか、でちょう、きっと。

「芹沢にとどめを刺したのは、原田ではないかと言われています。得物が槍ですから座敷では有利です」

 座敷のみならず、槍という武器は刀より遥かに有利でしの。油小路の決闘で大暴れちた服部しゃんを仕留めたのも結局、槍の原田しゃんだったし。リーチが違いましからねぇ。大きくて持ち歩きにくいけど。戦国時代でも槍と刀の勝負なら絶対に槍が有利だった証拠が数々、ごじゃいまし。

 以下、あくまでも、うさによる私見、妄想でごじゃいましが。

 坪庭のある縁側から襲撃ちた、主力は沖田・山南、サブと後見を兼ねてに井上のおじしゃん。酔わされてヨタヨタちながらついてきただけのひーちゃん。

 芹沢しゃんに初太刀をつけたのが沖田しゃんか山南しゃんかはビミョーでしが、まー、性格からちて沖田しゃんかなぁ。手負いにちたところをひーちゃんがトドメをさす、筈が、酔っていたしぇいでさしきれずに隣に逃がして、追いかけて斬ろうとちたけど鴨居を切って、グズグズちてたら玄関からぐるっと回り込んできた原田しゃんが助太刀ならぬ助槍をくりた、と。

 銀魂の土方しゃまは強くて怖くてしゅてきな殿方でし。

 が、史実のひーちゃんに、戦闘者として腕がよかった記録は、は、は……。

 指揮官とちては強かったけどね!顔がよかった話はゴロゴロ転がっているけどね!

「こちらが土間で、台所に繋がっていました。家人はここから勝手口を通って普段、出入りしていました。郷士屋敷ですが玄関に式台を許された、こちらは格式の高い武家式の玄関です。正式なお客様しか玄関からは出入りさせません。皆様は1000円の見学料を払っていただいた大切なお客様ですから、お玄関からどうぞ。わたくしは脇から失礼いたします。ご当主から、我々案内の者は玄関から出入りしないよう、申しつけられています」

 と、言っていただいて、うさうさ一行は芹沢しゃんやひーちゃんたちが出入りちた玄関から、お庭に出まちぃた。あぁ、最初は1000円なんて暴利だなぁと思ったけど楽しかったデシ。終ってからお菓子屋しゃんへ行って、入場券についてくる券と引き換えに、緋毛氈の上でお抹茶と屯所餅をいただきまぁし。あむ、あむ。

 ん。おいちいでし。お店の中にはお茶室も作ってあったんだけど、にじり口横の壁を抜いた、ような形になってやりマチタ。中が丸見えなの。時代劇で撮影しゅる時に使いやしゅしょうでしネェ。

「刀は持って入れないんだよね」

「丸腰かぁ。入り口狭いねぇ」

「密室だしねぇ」

「でも真ん中に炉がきってあるから」

「やかん(?)ひっくりかえして灰神楽たったりしてねぇ」

「誰かお茶の心得はありましたっけ?」

「私が知る限りは、あんまり」

 しょんなことをお話しちながらお茶をいただいて。

「これからどーします?二条城は?」

「天気が悪いからなぁ、今度でいいや」

「島原の輪違屋が公開された頃、今度はそっちを見にきましょう」

 うさうさ一行は不真面目な観光客。明日のイベントに疲れを残すわけにはいかないからネ。壬生周辺の観光を終えて、駐車場に戻って、一行が目指したのは伏見。Kらいしゃまの前頭葉方位磁石で、伏見のスーパー銭湯にたどり着いたのでしぃ〜。

 やまとの湯は壬生にもあるんでしが、伏見の方がお湯が新鮮だし広いし、と聞いていたのでうさたちはこっちに来たの。どーしぇ高速インターに乗るから伏見近辺までは来るしネ。タダ券を手に入れていたので、三人と一羽は脱衣所でお洋服を脱いで、ばっしゃーん!

 ふぅ〜、キモチイイ、でしぃ〜。

 室内はジェットプールやマッサージバスがあったよ!露天は汲んで運んできているのかなぁ温泉で、けっこうぬるぬるのお湯でちた。髪を洗ってカラダを洗って、ふぅ、いいキモチぃ。あ、いこまんだ。うさおせな流してあげる!あげ……。

 い、いこまん……。

「あー、マッサージバス、キモチよかったぁ〜」

 背中にマッサージのあわあわの痕が六ヶ所、ばっちり。ま・まぁいいか。ご本人しゃまが満足なら。お背中をながし、ながしぃ〜。

 みんなであったまって、ふかふかのうさぎと人間になって、湯上り。うさはコーヒー牛乳を飲みまし。ごくごく。凪しゃんはジュースを、みんな好きなものを飲んで、ふぅ〜。

「じゃ、大阪に行きますか」

 はぁい、さんせぇーい!

 いこまんの新車に乗り込んで、出発進行ー!お車っていいなぁ、乗り込めば個室デシ。京都南バイパスに乗り込んで、うさ一行は一路、大阪を目指しまぁーし!

 まっててね、大阪のマンマしゃーん!

 

 

                 夕方の空に絶叫しゅるうさぎ 完