うさぎの極北・ヨタコケ日記・しょのイチ

 

 

 ああ……。

 とうとうこの日が、来てちまいまちた……。

 なぞの海産物屋しゃんで買ってきたこぶ巻き、佐藤水産で買い込んだ鮭のさざなみ漬けしゃんたちが、南国の冷凍庫&冷蔵庫から、消えてしまうこの悲しみの日が……。

 極北から帰国ちてはや十日。うさは冷蔵庫の前にぺたんと座り込み、力なくドアを閉めまし。ぱたん。はあぁあああぁぁー。

 うさのスキスキ極北の味覚しゃんたち、しばらくさよぉなら、でしの。南国では高級品の鮭やホタテがうさのなけなしのお小遣いでも買える、極北は本当によいところでし。値段も違うけど何より味が違うしね。ぷりぷりでおいちぃデシ。

 パタン、と冷蔵庫のドアを閉めて、うさぎはお部屋へ戻りマシ。ベランダで育てた青紫蘇をたーっぷり使っためんたいスパを食べながら、うきゅーん。もちろんこっちも大好物なんでしが、ため息。さよなら、北国の甘い海産物しゃんたち。ま・さよならというか、うさのほっぺになって、まぁるいオチリになって、こりからじゅーっと一緒に居る、という説もありましけど。ふきゅー。

 極北は今回も美味でちた。Wたなべしゃまは相変わらず最強のフリーダムしゃまでちた。ま、とにかく、うさぎの極北・初夏物語、はじまりはじまり、デシ。

 

 

 出発日・7/3の、午前11時。

 うさはおうちのおふとんの中でシクシク、シーツを濡らしておりましたのデシ。

 冒頭から景気の悪い、しょの涙の訳は話すと長くなるのでしが、まぁ聞いてくだしゃい。

 うさぎが当初、チケットを予約ちていたのは午前、9時に出発する便でごじゃいまちた。が、凪しゃんのお仕事がゴタゴタちて、しょの日のアサイチでちっと、会社に行かねばならなくなってちまったの。うえぇぇえええーんとうさは泣いたけど、まぁ、仕方ないかな、とも思ったの。

 勤労は尊いデシ。我が家のぼんやり凪しゃんを雇ってくれる会社があるというのは有難いことでし。新刊の印刷代のため、前泊のホテルと酒代のため、凪しゃんにはお仕事を頑張ってもらいまちょう。旅行に行くことは前々から言っていて、有給もとっていたから会社も知っていまちた。15時発の代わりのチケットは買ってあげるから、と、ユわりておりまちた。

 今回のたびの同行者は、晴れの国に住む人妻・いこまんデシ。前回、うさと凪しゃんが酔いつぶれてご迷惑をおかけちたにも新千歳空港で待ち合わせる予定のいこまんにも謝ったけど心の広いいこまんは許してくれたの。ホテルで夕方に落ち合い、当日は札幌で夜遊び、翌日は遊びまくりを計画をちていたから、夜までに来てくれればいいですよ、って。

 借りたレンタカーはナビつき。かっとびドライバーのいこまんは、「ナビつきなら車、ホテルまで運転しておきますよ」と仰ってくりマチタ。ああ、なんて頼りになるお方。

 即断即決・はきはきとした自己主張が、ANNA、アんたナにアそんでんのクラブメンバーの適性でし。強くなければお部屋の外では遊べないからね。

 しょんで、出発の日の朝。午前6時という信じられない時間に起きた凪しゃんは、7時前には会社でしょの時を待ち構えてマチタ。おコーヒーを飲みながらじーっと睨み付けられるファックス君は辛かったと思いまし。でもうさもじーっと見つめちゃうでしヨ。じーっ。

 ピーッ、と、音がして。

「!」

 凪しゃんはファックスに駆け寄りまし。流れてきた伝票を持ってどっかに行きまちた。帰ってきたのはほんの15分後。たったしょりだけの作業でしが、そりをちないと来月の営業に多大なサシサワリが出るとか。うさにはよく分かりましぇん。

 が。

「間に合う、かも……ッ!」

 凪しゃんが必死なのはよく分かりまちた。まだ誰も出勤ちて来ない会社を駆け抜けて、バイクで博多駅近隣から空港へと爆走。(ほんの15分)凪しゃんがヒコーキのカウンターに出頭ちたのは、午前八時三十分くらい、でちた。

 最初の切符は、実はもうキャンセルちていまちた。安い航空券は早めに手続きしないとお金が帰ってこないからネ。凪しゃんのオテテにあったのは会社が買ってくれた普通運賃のチケットでし。普通運賃はお高いデシ。代わりに変更が何回でもききまし。15時の予約ちている愉快なうさうさぎでし。早い午前便にのっけてくだしゃーい!

「空席まち扱いになりますが、よろしいですか?」

 ううっ、初夏の極北旅行は競争率が高いデシ。みんななきうさしゃまのことを好きなのでしネ。でもうさぎ負けない、負けないでしっ!空席まちをいたしまし、よろちくお願い、いたしましー!

 うさうさの旅行記をご愛読の方はご存知でちょうが、我が家の凪しゃんはイベントに行き過ぎてJALのゴールドカード持ちになってちまいまちた。しょんで、搭乗回数が多いので、クリスタルクラスとかいう優先カードも与えられておりまち。よーしゅるにそりだけお小遣いを注ぎ込んでいるヨということで、あんまりヨイこととは思っていないけど、こーゆー時は便利デシ。空席待ちも優先扱いヨ!

「それではお荷物を持たれたまま、出発口へお越しになって下さい」

 と、ユわりて凪しゃんはスーツケースを持ったまま福岡空港の出発口へ。出発口は混雑ちていまちたが、大きな荷物を持ったままの凪しゃんに空港係員のおねいしゃまはしゅぐ気づいてくりまちた。お急ぎのお客様ですかと声を掛けられ、9時発の便の空席待ちです、と答えた、うさ&凪しゃん。おねいしゃまはりりしく頷いてくりて、しょんで。

「至急のお客様一名、ご案内いたします!」

 朗々とちた声を張り上げて人波を掻き分けてくだしゃいまちた。え、あの、お急ぎのお客様とはうさたちのこと?うさたちのことでちょう。ひゅいーん!おねいしゃまの背中について、並んでいるみなしゃまに、失礼しましゅごめんなしゃいとご挨拶しつつ、列を乗り越えてスーツケースを、チェックちていただきまちた。預ける予定の荷物だったからワインオープナーが入っていて、そりは出発口から先には持ち込めないとユわりて、うさ、放棄いたちまちた。いいもん、オープナーなんか、北海○ワインにいくから、たくさん貰えるモンっ!

 実は空席待ちをちたのは、うさたち初めてデシ。どきどき。変更可能な運賃、バーゲン航空券や特典航空券で出発を繰り上げたことはありまちたが、しょの時は最初から空席があったから。福岡空港の空席待ちカウンターには数人のおシトが並んでまちた。札幌行きは一応、満席表示になっていたけれど、予備の座席の二・三席は確保してある筈なの。

「種別A、一番でお待ちのうさぎ様、お供さま」

 と、呼び出しカウンターのおねいしゃまに呼ばれて、うさうさは、はぁい!種別Aとは、クリスタルカードしょのほかを持っているシトの優先番号でし。優先ちていただける身分のうさではありましぇんが、なきうさしゃまと早く会う為でしから、ちっと失礼ちて、うふ。

「お荷物はこちらですか?荷物札をおつけしてよろしいですか?」

 うん、よいでし!お願いしましゅね、おねいしゃん。おねいしゃんはうさを乗せてくれる気満々で、てきぱきと手荷物の処置をちてくりまし。種別B、一般カードのお客様は今しばらくお待ちください、と案内がありまちた。えへへ。普段、JALにお小遣いを吸い取られているうさでしが、こーゆー時はいいなぁ。らんらん♪

 うさは安心しきっていたのでし。が。

「至急のお呼び出しを申し上げます。種別Sでお待ちの○○様、○○様いらっしゃいましたら、お近くの係員にお知らせくださいませ」

 お・でまちた、種別Sクラス!種別Sは凪しゃんが持っているクリスタルカードとは格が違う、ダイヤモンド会員と称されるシトたちが持つカード、デシ。年に100回以上の搭乗、もちくは国際線をかなり頻繁に乗らねば得られないマイルを貯めなければなりましぇーん。

9時発の札幌行き空席待ち、種別Sクラスをお待ちの○○様」

 ……えっ!

 しょりを聞いた瞬間、うさの背中が凍りつき、まちた。

 9時発の札幌行き、うさが乗りたいヒコーキでし。種別Sには、うさと凪しゃんが持つクリスタルカードなどは敗北、でし。悲しいオメメで呼び出しカウンターのおねいしゃまを見ると、おねいしゃまは気の毒しょーに会釈ちてくだしゃいまちた。

「○○だけど」

 出発口から、グランドホステスしゃまのエスコートつきで、走ってこられたとおぼしきおじしゃま二人組が、ぜぇぜぇ息を切らせながら空席待ちカウンターにカードと航空券を出されて。

「はいっ、○○様、このまま5番搭乗口へお進みください。お荷物はお預かりいたします。どうぞ!」

 きびきびしたおねいしゃまが荷物をグランドホステスしゃんからお預かり、ピッと荷札を張って、片手で抱えてタカタッと早足で走って行かれまし。

「……」

 時刻は850分。乗りたかったヒコーキしゃんの、搭乗案内が始まりまちた。

「……」

 呼び出しはありましぇん。種別Aの一番の空席待ちチケットは、哀れ、サクラ散って、ちまったの、デシ。

「……」

 あのね。

「大変申し訳ございません。本日はお席のご用が出来ませんでした」

 一度はカウンターの内側に預かった凪しゃんのスーツケースを、うんちょと運び出す、おねいしゃまは本当に気の毒そうな、慰めるよーなお顔を、ちてくだしゃいマチタ。

15時発の本来の便に、予約をお戻しさせていただきます。チェックインも今、この場で承れます。お荷物もここでお預かりすることが出来ますが、いかがいたしましょうか?」

 乗せてやるから準備しといてね、と、いう感じの対応をちてちまったことを大変気の毒に思ってくれている、しょんな様子で、おねいしゃんは本当に親切にしてくれたの。

「はい……。お願いします……」

 凪しゃんは傷ついた様子でお返事。種別Bの方々は最初からダメモトだったご様子で、おし、じゃ、出てラーメン食べに行くか、とか前向きなことを話しておらりまし。三人ほどのぐるーぷ客しゃんたちでちた。

「次の便まで時間がございますので、搭乗口からいったん出ていただけます。どうぞ、お気をつけて」

 ヨタヨタのうさと凪しゃんが気の毒だったのでちょうか。おねいしゃんは心配そーにお見送りをちてくだしゃいまちた。身軽になったうさと凪しゃんは、とぼとぼ、おうちに帰りまし。うさの巣穴は福岡空港からバイクで15分。いったんお家に帰って、うさは、うさは……。

 おフトンの中でしくしく、泣き出してちまいまちた……。

 凪しゃんもがっくりした様子でお風呂に入ってまし。うさうさはき本当に泣き泣きでし。午前便に乗れないかも知れないことは何日も前から分かっていて、そりに田イカル心構えというか、覚悟もちていたんでしが、『イケル、デキル、ヤレル!』という突破口が見えたとおもったのに、目の前で扉を閉じられて。

 う、うううぅぅう。

 うさうさは絶望でし。悲しいデシ。しくしくデシ。

 いこまん、いこまんゴメンなしゃい。迷惑おかけいたちまし。うええぇぇぇーん。

 泣きながらメールを打ちまちた。優しいいこまんは許してくりまちた。先にレンタカー運転してホテルに行っておくから、後からJRで来なさいと、札幌が二度目とも思えない頼りになるお言葉をいただいて、はいとお返事の、うさ。

 はぁ……。なんだか、本当に悲しい、なぁ……。

 勢いづいてゴゥ!と思ったとたんに壁に激突。って、ナンか誰か、いまちたね。ああ、リボーンの山本しゃんでし。幻騎士しゃんの幻術を見破って、一気呵成に攻め込もうとしたところでドガン!と、コンクリートの壁に大激突。

 今の、うさも似たような、カンジ、キモチ、でしでしの。……くっしゅん。

「はぁ……」

 凪しゃんがお風呂からあがってきまちた。うさはしょっちを向きもしぇず、しょんぼり、ちていたら。お昼時になったけどマンマを食べる元気もなく、うさぎはしくしく、オノレの運命を嘆いておりまちた。

 トラしゃんが、昔言ったことがありまし。獣はオノレより強い獣の前で無力だ、と。

 ましゃに今のうさぎがしょんなカンジ。ちっと優待さりていい気になっていたら、もっと優待さりねおシトが現れて、ばくーん、というカンジでし。ああ、やっぱりトラしゃんはトラだけあって弱肉強食の世界には詳しいのでし。ありは真理をついたお言葉でちた。しくしく。

 ピピピ、ピピピ、と。

 旅行とイベントのとき以外、バックに入れっぱなしの、凪しゃんの携帯が音をたてまちた。あ、いこまんはらだ。はぁい、うさでし。ご迷惑かけてまし。どちたの?

『……あのね、うさ、今ね、レンタカーのカウンターの前なの』

 あ、うん。お疲れ様デシ。ホントにご迷惑、たくさんおかけいたしまし。ぺこぉり。

『今、もぅ、もう……。ごめんね……、もう……』

 ど、どどど、どちまちた、いこまん!しょんなに辛い、切ない声をだちて!

 もちかちて乗ったとたんに事故ったとかでしか?レンタカーは保険が効く筈だけど、いこまんにお怪我は?!いこまんに何かあったら、うさ、タケちゃん(いこまんのシュテキ旦那しゃま)に、ナンて言えばいいの、何て言えばいいまーっ!

『今もう、久しぶりに心から、自分をのろってるの。落ち込んで、カウンターに、このまま、のめりこみそう……』

 どうちたの、いこまん!いこまんがしょんなこと言ったらダメダメでしーッ!

『あのね、レンタカーを、代わりに借りようとしたらね……』

 あ、うん。うさ電話ちておきまちたでしヨ。凪しゃんの名前で予約ちているけど、代理のいこまんでしって、ユってくりれば大丈夫って言われたよ?大丈夫じゃなかったの?

『……免許証がないの……ッ!』

 ぽぇ?

『免許証がないの。どこを探してもないの。荷物全部見たんだけどなくて、更新してからずっと、前のバックに入れっぱなしみたいで、わたしここ何ヶ月も、免許不携帯で車通勤していたみたいなの……ッ』

 ぽ。

 ぽぽぽぽ、ぽ、ひゅ。

 ……ぽっ!

「ぷっ」

 うさぎの背後で凪しゃんが笑いマチタ。ちょっと、ヤメテ。うさが我慢ちてるのに、凪しゃん笑わないでつられちゃう。いこまんは新千歳空港から送迎者で送り込まれたレンタカー会社のカウンターで、悲しいいキモチで苦しんでおらりるのにぃー!

『こんな、こんな、こんな、こんな、旅の、最初に、捨て身で、うさ日記のネタを提供してしまった……ッ!』

 ……ぷ、ぷぷぷ、ぷーっ!

 う、うさうさは、も、もう、だ、ダメ。耐えられ、ま、しぇん……!

ぷぷぷぷぷーッ!

「あは、ははははは、ははは」

 きゅ、うききゅ、きゅきゅー!

 きゅーっ!

 

 

 涙に暮れた南国に、優しいいこまんは捨て身で、微笑をもたらしてくりたぁの、でちた。

 

 

 

                うさぎの極北・まだ旅立ちの、前