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20グレイテスト・ヒッツ

(album)
 

 

   

   ビートルズの通史的なベストアルバムと言えばLP・CD時代を通じて「ザ・ビートルズ1962〜1966」「1967〜1970」のいわゆる「赤盤」「青盤」を多くのファンは思い出すだろう。また近年ではCD1枚にまとめた「ザ・ビートルズ1」も人気を博している。ではLPレコード時代で1枚ものの通史的ベストアルバムと言えば??  その解答が今回紹介する「20グレイテスト・ヒッツ」である。

    しかしながらこのベストアルバム、いささか存在感が薄いと感じるのは自分だけであろうか?  と言うのも解散後40年以上を経過している中で、このアルバムが世に存在したのは1982年のリリースからたったの5年間だけ、例によりビートルズのCD発売時に他の多くの編集盤と共に廃盤となっているからである。

   それでも自分がこのベストアルバムを紹介したいのは、このアルバムを初めてレコード店で手に取ったとき、LPレコードのほぼ限界まで詰め込んだ20曲収録という編集に当時大変驚いたからである。その時の驚きから経ること29年、「20グレイテスト・ヒッツ」を中古盤ながら渋谷「レコファン」で発見し、今回購入してみた。

    さて実物のレコード盤面を見ると、予想はしていたもののさすがに驚いた。SIDE1には12曲がビッシリ収録されており、曲間のグルーヴ(溝)が右下写真のようにやたら目立つ。もちろんこれは前期の楽曲の殆どが2分程度の短い曲だから成せるワザに違いない。(後期の楽曲のSIDE2は8曲収録)

    実際に針を落として順に聴いてみる。トップが「シー・ラヴズ・ユー」で2曲目が「ラヴ・ミー・ドゥ」という曲順がちょっと不思議な気もするが、以降は発表順に曲目が続く。面白いのは曲間の無音部分が通常のアルバムよりも明らかに短いことで、全20曲をギリギリで押し込むための涙ぐましい努力と取れなくもない。また本来なら7分を超える「ヘイ・ジュード」が2分ほど短縮されており、リフレインのフェイドアウトがかなり早くから始まるのもこのアルバムの特徴である。で、それが終わるともう待ちきれんとばかりに「ゲット・バック」のイントロが始まり、これが何ともせわしない。(笑)   

    というわけで今回は楽曲ビッシリの話ばかりになってしまったが、全体を聴き通した感想としてはやはりシングルヒット曲集であるためビートルズの本質には触れにくく、取りあえずビートルズに接したい入門者向けのアルバムと言える。またヒット曲でも「フロム・ミー・トゥ・ユー」「エリナー・リグビー」「サムシング」等が収録されていないが、これはLPの収録時間の限界上やむを得ず外されたものと思われる。ちなみにCD「ザ・ビートルズ1」はこの「20グレイテスト・ヒッツ」の全曲を網羅した上でさらに7曲(上述の3曲を含む)多く収録しており、現代版ベストアルバムとしての体裁をなんとか保っていると言えるだろう(「ヘイ・ジュード」の短縮もない)。逆にこの「20グレイテスト・ヒッツ」はLPレコードの限界ゆえにその体裁を保ちきれなかったため消えるべくして消えた悲運のアルバムだったのかも知れない。

   購入日: 平成23年5月25日 
   購入店: 「レコファン」渋谷BEAM店
   購入価格:2780円


 ジャケット裏面には収録された20曲のタイトル

SIDE1に12曲ビッシリ、グルーヴが目立つ