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APPLE TRACKS VOLUME 1
(bootleg)
 

 

   

   今回は1969年1月のゲットバックセッションを扱った2枚組ブートレグ「APPLE TRACKS VOLUME 1」を取り上げてみたい。このブートは「〜2」「〜3」の続編があり、いずれも既にリリースされていた海賊版「Black Album」等の音源をコピーした廉価版である。

   ゲットバックセッションについては今ではその全容がほぼ解明され、その内容を網羅したブートCDシリーズもリリースされている。ところがこの「〜1」を買った当時(昭和59年)は情報が非常に乏しい時代であり、そのため実際に聴いてみるまで何が飛び出すかわからない有様で、帰宅後ドキドキしながらレコードの針を下したものである。(懐かしい)

   アルバムの内容についてはリハーサル集とあってラフな演奏で、曲の途中から始まり途中で終わるものも少なくない。またスリーブの曲目紹介には故意に曲目を変えているものも散見され、ブート業者がさも新しい音源を提供しているかのように見せかけた工夫と取れなくもない。

   もちろんブートならではの魅力もあり、その最たるものはSIDE3の“LET IT BE”であろう。ポールが♪C〜G〜Am〜F、とピアノを弾きながら他のメンバーに自作曲の内容を教える場面があり、ビートルズの曲作りの過程がわかる貴重なテイクと言える。そしてSIDE1ラストの“LET IT BE”はピアノとコーラスでシンプルにまとめられていて、こちらは曲が出来上がりつつある途上を思わせる内容となっている。

    ゲットバックセッションは膨大な内容であり、その全てに取り組むには大変な労力と出費を要する。しかしそのエッセンスを要領よくまとめたアルバム(今ならCD)も存在しており、ブート入門者〜中級者にはこのようなアルバムも十分お勧めだと思われる。

   購入日: 昭和59年6月1日 
   購入店: 「ディスク・ユニオン」関内店
   購入価格:5300円


1968年のフォトセッションをスリーヴに使用

 曲目紹介にはブートレグらしい“改変”も見られる
”OLD HILLBILLY WAY” は ”TENNESSEE”(スタンダード曲)
“ON OUR WAY HOME”は“TWO OF US”
“SILVER SPOON”は“SHE CAME IN THROUGH THE BATHROOM WINDOW”など、他にもおや?と思う曲目が散見される