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     ビートルズ随想記(11)

  解散後のリリース回想記(LP編)

 

 


  

   1970年に解散したビートルズ。よって新譜は同年のアルバム「レット・イット・ビー」を最後に途絶え、ファンが新しいアルバムを買うことは無くなった…はずであった。しかしそこはビートルズ、各種の編集盤・レアソース盤が出るわ出るわでファンにとっては有難くも他方で出費を強いられる構図が延々と続くこととなり、それはCD時代の今も変わらない。いやむしろ近年の方が激しさ(?)を増している程である。そこで今回は解散後のリリース(LPレコード)を自分の当時の思い出も加えながら回想してみることにしよう。

   解散後のビートルズにベスト盤を期待する声は多かったが、1973年に「赤盤」「青盤」が発売されてかなりの人気を呼んだことは良く知られている。この両アルバムを揃えるとビートルズ全曲のほぼ4分の1を聴けるため、解散後のファンにとっては入門用のアルバムとしても適していたようである。当時のLPは大判ポスター付きで、自分が小学6年生の時に同級生の家へ遊びに行った際、そのポスターが部屋に貼られてあったのを覚えている。

ザ・ビートルズ1962年〜1966年
ザ・ビートルズ1967年〜1970年

 

 

   オリジナルアルバムに加え通史的な「赤盤」「青盤」がリリースされ、さずがのビートルズもネタが尽きたかと思われた70年代後半、ロック作品を集めた「ロックン・ロール・ミュージック」(1976年・右上写真)と、バラード作品を集めた「ラヴ・ソングス」(1977年・右下写真)が発売された。これらは選曲テーマを設定した編集盤であり、切り口はあるものだと当時感心したものである。

   内容について興味深かった点は「ラヴ・ソングス」の選曲基準であった。このアルバムは日本(東芝EMI)とアメリカ(Capitol)の共同企画により製作されたが、まず日本側が収録候補曲をリストアップしてアメリカ側に送ったところ、3分の1は変更されて戻ってきたという。日本側はラヴ・バラードの曲調重視の選曲だったのに対しアメリカ側は歌詞重視の選曲だったようで、実際に収録された曲をみると「Words of love」「Tell me what you see」等は明らかにアメリカ側の意向なのかな?と思わせる選曲であった。


 

   そしてこの時期に忘れてはならないのがライヴ盤の発売で、デビュー直後のハンブルグ「スタークラブ」での演奏を収録した「デビュー!ビートルズ・ライヴ’62」と絶頂期のハリウッドボウルでの演奏を収録した「ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ」(右写真)が1977年に発売された。特に後者では壮絶な悲鳴の中で歌うコンサートの様子に驚かされたものである。またこのアルバムはCD未発売のため、今後のCD発売が期待される音源でもある。(その際はまた出費だな…)

 

  

   その後も70年代後半から80年代前半にかけて「ザ・ビートルズ/グレイテスト・ヒッツ」「ザ・ビートルズ・ビート」「ビートルズ・バラード・ベスト20」「ロックン・ロール・ミュージックVol.1&2」「ザ・ビートルズ・ボックス」「リール・ミュージック」「ビートルズ・イン・イタリー」「20グレイテスト・ヒッツ」等が次々と発売されたがさすがに乱発気味で、中には発売の趣旨が不明確でファンが当惑するアルバムも散見されるほどであった。

   そんな中で興味深かったのは「レアリティーズ」(1979年・右上写真)である。「アクロス・ザ・ユニバース」の別テイクで始まるこのアルバムは英国オリジナルアルバム未収録曲を中心に選曲され、当初は「ザ・ビートルズ・コレクション」というアルバムセットにのみ収録されて単品発売が行なわれていなかった(後に単品でも発売)。そのためこのボックスセットを購入した友人が一時大変羨ましく思えたものである。なお翌1980年には「レアリティーズVol.2」(右下写真)も発売、こちらはアメリカでの未収録曲およびモノラルバージョン曲を中心に選曲されていた。


 

 

   他にもトリオレコードやオーバーシーズレコード(テイチク)等から各種音源がスッパ抜きの如く次々とリリースされたが、いずれも話題性は今ひとつだったので今回は省略する。

   そして最後にモノラル・カラー・レコードを取り上げておこう。このシリーズはデビューアルバム「プリーズ・プリーズ・ミー」から10作目のアルバム「イエロー・サブマリン」までのモノラル限定盤で、1982年と1986年に発売された。(発売内容は同一だがジャケ帯仕様が異なる)  自分は1986年発売の分を発売日とその翌日に敢えて5タイトルずつ分けて購入したが、その理由はLPレコードの“重さ”であった。全10タイトル11枚、今のようなCDセットなら当然一括購入するところ、LPレコードが非常に重くかさばる当時ならではの思い出である。 なおこのモノラルシリーズは長らくCD化されず、その意味ではちょっとした“お宝”であった。ところが今回(2009年)、ついにCD「ビートルズ・MONO BOX」が大々的に発売されるに至り、その価値も下落???してしまったような気がする(涙)。

   今回はビートルズ解散後16年間のアルバムリリースを振り返ってみたが、それらに対してファンの出費はかさむばかり。そしてCD時代の到来…これは項を改めて取り上げたい。