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     ビートルズ随想記(12)

  解散後のリリース回想記(CD前編
 

      


    昭和60年代に急速に普及したニューメディア「コンパクト・ディスク(CD)」、その音の良さから短期間でアナログレコードに取ってかわったが、ビートルズの初CD化はいつだったか? 普通に考えれば昭和62年の英オリジナルアルバム発売時だが、実は日本では昭和57〜58年頃に「アビー・ロード」が発売されていることは意外に知られていない。CDが出始めた頃にその普及の観点からビートルズの作品からも取り敢えず1枚出したような感じであったが、肝心の英Apple社や各メンバーからの承諾が無かったらしく短期間で回収されている。とんだフライング発売であったようだが、所有しているファンにとっては貴重なアイテムと言えそうである。

 

    そして昭和62年。2月から数作ずつ発売して年内には英オリジナルの全アルバムが揃い、翌年には補遺集の「パスト・マスターズ1&2」が発売された。ファンにはまとまった出費を強いられる場面であるが、媒体メディアの進化は時代の流れとして殆どのファンが受け入れたと思われる。その結果この年から平成21年(2009年)にデジタル・リマスター盤が発売されるまでの22年間、 このシリーズが公式盤として広く聴かれるようになったわけである。今から思えば一部アルバムのモノラル仕様リリースや音のバランス・音圧・マスターテープ起因のノイズなど問題はあったが、それまでのLPからは明らかな進化であり新時代の賜物には間違いなかった。

    自分は昭和63年にCDプレイヤー付きのステレオコンポを購入してCDへシフトし始めたが、最初に購入したのは意外?にも「イエロー・サブマリン」(写真右上)であった。理由は簡単で、当該LPを持っていなかったからである。ちなみにこのCDを含め揃えたCDは全て外国盤(輸入盤)で、当時2000円程度で買えたのが有難かった。(国内盤は3200円だった。)

   なお輸入盤ではないが、写真右下は台湾旅行時に買った「ウィズ・ザ・ビートルズ(與披頭同行)」である。CD帯に記載されている“披頭合唱團”はビートルズのことであり、その表現に面白さを感じたものである。


 

   平成に入りしばらくは新しいリリースがなかったが、平成5年からまた忙しくなる。まず「赤盤」「青盤」が紆余曲折のうえCD各2枚組として発売された。そして翌平成6年には「ザ・ビートルズ・ライヴ!!アット・ザ・BBC」(右写真)がリリースされる。これは当時のラジオ番組での演奏集で、既に多く出回っていた海賊盤対策があったものと思われる。曲目にはオリジナル曲のほかデビュー前から演奏していたカヴァー曲も多く、ファンとしてはビートルズのルーツを楽しめる内容となっている。なおこのCDは当初限定発売であったが何年か後に再発売されており、やはり出せば儲かるビートルズのCDゆえかなと思われた。

 

  

   そして平成7年、ファンにとっての一大プロジェクトが始まる。
   それは「アンソロジー・プロジェクト」であった。

    ビートルズの軌跡をCD・ビデオ(レーザーディスク)・書籍で発売するこのプロジェクトは日本でもニュースで取り上げられるほどの話題となり、特に未発表曲&別テイク曲を中心に選曲されたCDには人気が集中した。まず平成7年11月に「アンソロジー1」(右上写真)が発売されるとこの年の大晦日にはアンソロジーの長時間特番がTV放映され、ファンのヴォルテージは上がるばかり。ちなみに年明けには複数の友人から「アンソロジー買った」旨のコメントを年賀状でもらい、ファンの間では新年の挨拶がわりになっていたのが思い出される。

   続く平成8年3月には「アンソロジー2」(右中写真)、10月には「アンソロジー3」(右下写真)がリリースされ、この時期はまさにアンソロジーブームだったと言えよう。また同時にビデオ・レーザーディスクや書籍を買ったファンも多く、この点はまさに散財だったと思われる。自分は動画についてはビデオではなくレーザーディスク(8枚組)を買ったのだが、なんとそのレーザーディスクは数年経つとDVDにその座を奪われ事実上廃れてしまいガックリ。そのため後年発売のDVDも買ってしまい…あぁこれぞまさに散財、ファンとして避けられない運命だったのだろうか?

   この「アンソロジー・プロジェクト」のCD発売にはそれまで流布していた海賊盤(未発表曲&別テイク曲)対策もあったようで、それは相応の成果があったと思われる。その反面今度こそはビートルズの新CDリリースもネタ切れでほとんど終わりかと思われた、が…そうではなかった。これについては項を改めて取り上げたい。