トップページへ     The Beatles Forever へ     ビートルズ随想記へ

 

   
    ビートルズ随想記(25)

     OUT THERE JAPAN TOUR (オンステージ編)

 

 

  

   19:25、オープニングは「Eight Days A Week」だ!

   フェイドインでないとかジョンのパートをポールが歌っているとかは全く些末なハナシで、赤ジャケットも鮮やかに颯爽と登場したポールを11年ぶりに観られた事実にもう感動しきり、コツを要する手拍子も余裕でOK。そして2曲目はロックの新曲「Save Us」で、大変ノリの良いナンバーが続く。思えば今までの2曲目は「Jet」が定番であったが、この曲もなかなかの佳曲である。 

   「コンバンワ〜トーキョー」「タダイマ〜」 ポールの日本語のあいさつに続いては「All My Loving」が来た!何と前の「Save Us」とは50年もの発表間隔があり、ポールのキャリアの長さに驚くばかりである。


ビートルズナンバーの「Eight Days A Week」でスタート
   

 

   かねてから聴きたかった「Listen To What The Man Said」に続き「Let Me Roll It」ではジミー・ヘンドリクスにささげるよとのポールのコメント、「Paperback Writer」では自分がコーラスをアシストしてみた。なお東京ドームでは2日目の19日に限り「Listen〜」の代わりに「Jet」が演奏されたそうである。

   ポールが日本語で「次の曲はナンシー(注:今の奥さん)のためです。」そして「My Valentine」が始まった。昨年発表のジャズアルバムからの1曲で、ポールがピアノでしっとりと聴かせる。そして次曲は意外?にもアルバム「バンド・オン・ザ・ラン」から「1985」の登場だ。ポールのヴォーカルも曲調に合わせテンションが上がり、ピアノ伴奏もアップテンポとなった。 


モニタースクリーンは見やすいが生ポールを見なければ!
  

 

   さて時刻はほぼ20時、引き続きピアノのポールが歌い始めたのは「The Long And Winding Road」だ。ウィングス時代からコンサートで取り上げている定番で、やはりピアノでシンプルに歌うのがこの曲の真髄なのだろう。

   曲が終わるとポールが日本語で「次の曲はリンダのために書きました…書きました。」…うん?「My Love」あたりかなと思った瞬間に始まったのは「Maybe I'm Amazed」で、やはりピアノで聴かせるソロ初期のロッカ・バラードである。この曲はビートルズ解散前後のピアノをフィーチャーした曲として「The Long And Winding Road」「Let It Be」にも劣らない名曲だと自分は思っているが、ソロとして発表された故に知名度が前2曲よりも低いのが何とも残念、もっと評価されていい曲である。


ピアノを弾くポール(スクリーンを撮影)
  

 

   さてポールが手を振りながらステージ中央に戻り、アコースティックギターを持った。20:07「ミンナゲンキカイ?」と言って「I've Just Seen A Face」「We Can Work It Out」とビートルズナンバーを演奏、そのあとコンサートで初めて聴く「Another Day」 へと続く。この曲はソロ初期の軽快な曲で自分もお気に入りなのだが、ライヴでは手拍子を取るのが意外に難しい曲だと感じた。

   アコーステッィクギターのコーナーは続き、「And I Love Her」はライヴ初登場、「Blackbird」ではアメリカ黒人の公民権運動に触れた。そして「次の歌はジョンのためです」と来れば「Here Today」。前回(平成14年)と同じ様に音も無く滝が流れる様子が映し出された。 


アコースティックギターで歌うポール
 

 

   20:29、今度はポールがエレピの演奏でニューアルバムから「New」「Queenie Eye」を取り上げる。スタートから1時間経過でトイレへ向かうファンも少なからずいるが、やはりビートルズナンバーではなく新曲の時を選ぶ様子を複雑な心境で眺めた。なお「Queenie Eye」の歌詞でファンが“Out!”と合いの手を入れる場面が何ヵ所かあるのだが、ちょっと浸透していなかった感じ…まぁアルバム発売から1ヶ月では止むを得ないところかな?

   20:35、「Lady Madonna」、ポール、イイネ〜と日本語でメッセージ。今回は日本語を話すシーンが多いのが特色と言える。次は…イエローサブマリンと聞こえたが…同名アルバムから「All Together Now」。これはラストの盛り上がりをファンのみんなで合唱、ライヴ向きの曲だ!(Good!)


「Queenie Eye」を演奏 (スクリーンを撮影)
  

 

   「Lovely Rita」「Everybody Out There」「Eleanor Rigby」と続いて次の曲は「Being for the Benefit of Mr. Kite!」だ。ジョンの曲だがポールも気に入っているのだろう。さらに「次はジョージの曲です。」と告げてウクレレを持てばもう「Something」でキマリだ。途中まではポールひとりでシンプルに歌ったがサビの部分から突然曲調が激変、メンバー全員でのヘビーなアレンジを聴かせてくれた(ポールはアコースティックギターに持ち替えた) 歌い終えたポール「ジョージ、美しい曲をありがとう。」

   時刻は21時、ポールが「次はみんなに途中から歌ってほしいんだ」と言って始まった曲は「Ob-La-Di, Ob-La-Da」。今までコンサートで未演奏だったのが不思議なくらいノリの良い曲で、つい自分も(始めから)歌わせてもらった。 


“Ob-La-Di, Ob-La-Da, Life goes on bra!”(スクリーンを撮影)
  

 

   「Band on the Run」は定番曲、「Back in the U.S.S.R.」はコーラスをファンがやり、「Let It Be」は再びビアノで聴かせてくれた。そして「Live And Let Die」は東京ドームで炎演出の許可がよく取れたな〜と思わず感心するほどのド迫力!ポールの髪も乱れ気味で演奏後「スゴイネ〜キコエナイ〜ダイジョーブ」と日本語を連発した。

   21:22、ポールが再び中央のエレピへ。そして超定番の「Hey Jude」が始まった。思えば1990年にここでこの曲のリフレインを一緒に歌ったことが夢のようだったではないか!そしてその夢は眼前で再び現実となっていて、まさに“至福の時”だ。リフレイン時のポールは日本語で「ダンセイダケ」「ジョセイダケ」「ミンナデ」…素晴らしい、ポールの頑張りに頭が下がる思いである。 


「Live And Let Die」とくればコレだ!
  

 

   これで本編は終わり、立ちづくめの当方もいったん座る。場内は拍手が鳴り止まない。21:30、ポールが日の丸をかざして再登場、アンコールはノリの良い「Day Tripper」「Hi, Hi, Hi」と続き、ポールが「モットキキタイ?」観客「イェ〜!」のやりとりのあと「Get Back」が来た!曲の間奏で飛び跳ねるポールはとても71歳とは思えない。なお2日目の19日に限り「Get Back」の代わりに「I Saw Her Standing There」が演奏されたそうである。 

   「Get Back」が終わるとメンバーがステージから一旦去るが、もちろん再アンコールあり。21:46、再々登場しての1曲目は「Yesterday」で、会場には事前配布された赤いサイリウムが曲調に合わせゆっくりと左右に振られて幻想的。このサイリウムは本日(最終日)のみの演出だったそうである。 


「Yesterday」サイリウムが左右に揺られる
 

 

   「Yesterday」が終わるとポールはギターをユニオンジャックのベースに持ち替えた。ポール「イク〜ゼ〜」の掛け声と共に激しいギターのイントロ、なんと「Helter Skelter」だっ!もうこれ以上のロックは無いって程のノリで、観客も先ほどのサイリウムを強く前後に振りまくって応えている。それにしてもこの年齢でこの選曲、凄いとしか言いようがない。 

   21:54、ポールが「ソロソロ帰る時間でス。」と言いながらツアーのクルーにねぎらいの言葉を掛けた。そして「You, You, You, ミンナに感謝したい」とファンにも声をかけラストの「Golden Slumbers/ Carry That Weight/ The End」が始まった。今更だがこのメドレーはコンサートのラストにピッタリの抑揚を備えている。そして中央のモニターに朝日が昇った(右写真)。 


The love you take is epual to the love you make.
 

 

  “〜 Love you make. Ah Ah ”ギターソロに続きファイナルの“ジャーン!” これで全編の終わり、ファンは総立ちで拍手歓声をステージへ向ける。 
 
 
    ポール

   「マタアイマショウ」

   「元気デネ!」

   「マタネ〜!」


感動をありがとうポール
   

 

   22:02、アリーナ席にはサラサラと紙吹雪が舞い降りてきた。これが降るとホントに終わりのシルシで、程なく場内の照明が灯った。

   ポールの日本公演はこれで全行程を終了し、翌日には帰国の途についたそうである。大阪ではビートルズ来日時のように法被を着て空港に現れ、福岡では大相撲観戦・懸賞金も掛けたりと、2週間の滞在中にいろいろ話題を振りまいてくれたポールだったが、なんといってもこの3時間近いライヴを敢行できる心身の力には感服するばかりであった。今回も感動をありがとうポール、彼の音楽活動が末永く続くことを祈念して拙文を終わりとしたい。