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    ビートルズ随想記(40)

     Paul Again!2015.4.25 Tokyo Dome

 

 

  

   ついに「Out There Japan Tour 2015」(東京ドーム)の日となった!

   当日は17時に知人と待ち合わせ。開場は16時30分だが会場整備の都合で未だ閉鎖状態とあって大変な人だかり、そこでまず周囲を観察してみることにした。 

    グッズ売り場も飲食店も並ぶのをためらう程の長〜〜い列、そして当日券売り場では本日が土曜日とあってS・A・B席はもちろん参加席も売り切れ、しかしなんと“体感席”なる席が5500円でかろうじて販売されている!これはもはやステージは観られなくとも「この場に居合わせることに意義がある」ような席なのだろう。(外野席でステージの斜め後方に位置する席と思われる)


東京ドーム22ゲートは入場者で大変な混雑(17:35撮影)
   

 

   それではドームへ入場しよう。今回の座席は3塁側1階席(右写真)である。2013年の時は鉄塔がやや目障りだったので、今回は東京ドームの席番表を研究のうえステージとの間に障害物のないブロックを慎重に選び予約した。その甲斐あって今回は観やすそうと期待もふくらむ。

   さて開演予定時刻の18時30分が近づいてきたが、実はこの時自分はトイレの長い行列にいた。定刻通りには開演しないのが通例とは言え、運営スタッフが「間もなく開演で〜す!」と連呼するのを聞くとやはり落ち着かない…そして18時45分頃自席にダッシュで戻ると周囲の座席はもうびっしり、しかしスクリーンのビデオが延々と続くばかりでなかなか始まらない。 


視界良好!今回は4本ある鉄塔を回避できた
  

 

  それでもBGMが「Temporary Secretary〜Coming Up」となると前回の経験から開演近しを実感、そして会場が暗くなるとついにポール・マッカートニーが登場した!そしてオープニングの「Eight Days A Week」2013年と同じ)が始まった。21日(大阪ドーム)と23日は「Magical Mystery Tour」だったのでいささか拍子抜けだが、演奏と観客の拍手のノリはとても良い。Good!



今回はブルーのジャケットで颯爽と登場(19:22)
オープニングの曲は「Eight Days A Week」だった
(個人的にはMagical Mystery Tourを期待していた)
  

 

  今回のセットリストは基本的に前回(2013年)と同じで 「Save Us」「All My Loving」と続く。そしてポールのMC「帰ッテキタヨ、ユウゲンジッコウ(有言実行)!」は日本人スタッフの考案と思われるが、前回の「マタアイマショウ」「元気デネ!」「マタネ〜!」を知るファンにとっては感慨しきり。

   さて4曲目で変化あり、「Jet」が来た!自分はこの曲に特段の思い入れがある。それは1990年のコンサート、2曲目にこの馴染みのWingsの曲が来て初めていま眼前には自分が知っている本物のポールがいるんだ!と思うやもうウルウル状態でステージを直視できず、力が抜けて自席にヘタり込んでしまったことが思い出される。さらに「Let Me Roll It」と続き、「Paperback Writer」では「このギターで作りました」とエピフォンカジノでの演奏を聴かせてくれた。  


前回同様、スクリーンを観るかナマを観るか悩むところ
 

 

   19:47、ポールがギターをスタッフに渡し、ステージ右手のピアノへ移った。「My Valentine」「1985」「The Long And Winding Road」「Maybe I'm Amazed」と続く。いずれもピアノで聴かせてくれる曲なのだが、情感たっぷりの曲と躍動感ある曲とを交互に配するあたりはさすがポールである。

   ピアノの次はアコースティックギターをメインとする曲「I've Just Seen A Face」「We Can Work It Out」、そして佳曲ながら相変わらず手拍子の難しい「Another Day」と続く。ポールはエレキだけでなくアコギも演奏曲ごとに頻繁にチェンジして聴かせてくれるので、楽器に詳しいファンにとってはたまらないだろう。このあたりから自分の周囲では着席する観客が増えた。スタンド席はアリーナ席とは異なり着席してもステージを鑑賞できるので有難い(オジサン的な価値観だネ)。

   次の曲を聴いて「んっなんだっけ?」と暫くわからず、少しして今回唯一の新曲「Hope For The Future」とわかった。ポールの曲はいずれもイントロさえ聴けばわかるのに、この曲だけは聴き込みが不足していたようで猛省しきり。ゲームソフト用に書かれた曲らしくスクリーンにはゲーム画面をイメージした動画が流れた。アコースティックのコーナーは「And I Love Her」「Blackbird」と続きジョンへのトリビュート「Here Today」となる。静まり返るなか、この曲のイントロ部でレフトスタンド方から誰かが大声で叫んだためポールが「えっ?」と驚く様子がスクリーンに。この曲の趣旨を知っていればおよそ有り得ないハプニングで、これは甚だ残念だった。

   さてポールがアコースティックギターをスタッフに渡し、マジックピアノの前に座った。ニューアルバムからの「New」「Queenie Eye」である。「Queenie〜」には曲中にファンが「Out!」 と合いの手を入れる場面が数回あり、自分は前回その点がイマイチだったので今日こそは!と意気込んで臨んだのだが、結果は……イマイチだった(苦笑)。

 


「The Long And Winding Road」を弾き語り(19:58)
 

ピアノを弾くポール(スクリーンを撮影)
  

 

   「Lady Madonna」をはさんでポールが子供のために書いた曲と紹介したのが「All Together Now」。バックのスクリーンも子供向きのシーンが流れるなか、今回もファンのみんなで合唱した。(オ・ケ・ラじゃないヨ)

   「Lovely Rita」「Eleanor Rigby」「Being for the Benefit of Mr. Kite!」とビートルズ中期の曲が続く。アルバム「SGT」収録曲は凝った音作りのためライヴ演奏には不向きと評されたこともあったが、それを当のポールが覆すさまは痛快である。「Being〜」ではサーカスのイメージか、ドームの屋根にカラフルな光線が流れた。

   20:52、ポールが「次はジョージの曲です。」とウクレレを持てば「Something」が始まる。曲の後半からアップテンポなアレンジとなるのも前回と同じだった。


ウクレレで「Something」を歌うポール
  

 

   前回と同じと言えば「次はみんなに途中から歌ってほしいんだ」と言って始まった「Ob-La-Di, Ob-La-Da」も良く知られたビートルズの曲で、自分も再び立ち上がって声を振り絞りラストのOb-La-Di, Ob-La-Da, Life goes on bra!(高音域絶叫)  Lala how the life goes onの繰り返しをシッカリと歌った。まぁ50過ぎのオジサン絶叫だったわけだが、当のポールは72才なのだからホント頭の下がる思いである。 

   ところで東京ドーム内の観客について感想を書くと、アリーナ席はともかくスタンド席はビッシリ埋まりながらも着席して「ちゃんと楽曲を聴いて自分の心に留める」ような大人のファンが多かったように感じられた。


1・2Fのスタンド席もビッシリ埋まっている
  

   

   曲目はさらに進んで定番曲の「Band on the Run」となった。同名アルバムジャケットの写真がバックに映る(右写真)。長いポールのキャリアから見ても今日はこのアルバムから4曲も取り上げられており、これが彼のお気に入り且つ代表作であることがわかる。

   「Back in the U.S.S.R.」は例によりソビエト連邦のイメージフィルムがバックに流れる中をファンがコーラスした。そして「Let It Be」は再びビアノで聴かせてくれた。この曲こそは39年前に自分が初めてストックした記念すべきビートルズナンバーで、今なお思い入れが深い。次の「Live And Let Die」はマグネシウムドッカ〜ンがお決まりながらさすがに至近距離では凄かったのかポールも驚き(疲れ?)の表情を隠さなかった。


アルバム「Band On The Run」の写真をバックに
 

 

   21:19、「Live And 〜」からMCなしで超定番の「Hey Jude」が始まった。今さらながらライヴにピッタリの曲、前回リフレイン時に「ダンセイダケ」「ジョセイダケ」と指揮したポール、今回は「ダンシダケ」「ジョシダケ」と少し単語を変えたが、もちろんスタッフが変えたのだろう。 

   これで本編は終わり、一旦メンバーがステージから去る。そして日の丸とユニオンジャックを振りかざしての再登場、アンコールは「Day Tripper」「Hi, Hi, Hi」とノリの良い曲、次は過去の経験から「Get Back」か「I Saw Her Standing There」のどちらだ?と思ったら何と「Can't Buy Me Love」、もちろんファンもノリノリである。 そして映画「ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の挿入曲ということもあり、バックには映画のシーンが流れた。

   「Can't 〜」が終わるとメンバーがステージから去るが、今回もダブルアンコールあり。そして1曲目は「Yesterday」で、会場には点々と赤いサイリウムを振るファンが目につく。本日は1年半前と異なりサイリウムの配布は無かったが、当時のステージを思い出したりした。 

   「Yesterday」が終われば次は曲調としては対極にある「Helter Skelter」だっ!激烈なロックのためポールも曲の後半、曲名のリフレイン部分でさすがに声が出なくなる場面があったが、今や誰もそんなことを責めたりはしない。72才でこの曲を歌うことが凄いのだから。 

   21:49、ポールがピアノへ。「そろそろ帰る時間です」と言った後に「でも帰る前に感謝したい人たちがいるんだ」と、メンバー、クルー、そしてファンのみんなに感謝の気持ちを伝えた。


今回は「ダンシダケ」「ジョシダケ」


「Can't Buy Me Love」の演奏時には当時の映像が流れた
 

 

   コンサートはいよいよ最終場面、もはやこのメドレーしかない!アビー・ロードB面メドレー「Golden Slumbers/ Carry That Weight/ The End」となった。このメドレーはアンコールラストとして完全に定着している(1993年のみ「Hey Jude」がアンコールラストだった)。 

   コンサートのフィナーレにふさわしい曲調が次々展開されて 21:56、スクリーンにはメドレーの完結をあらわすサンライズのシーン(右写真)が現れた。演奏を終えステージを去るポールが最後に残したメッセージを記そう。

   Paul : See you next time!


The love you take is epual to the love you make.
 

 

   ポールの日本公演はこのあと27日(東京ドーム)・28日(日本武道館)と続き、5月1日には次の訪問地ソウルをめざし離日した。

   今回のコンサートについてはセットリストが前回と殆ど同じでサプライズが無く、また個人的には都合がつけば武道館公演にも関心があったのだが、昨年の全行程直前キャンセルを思えばファンとして幸福な時間を持てたことを感謝すべきだろう。今回も楽しい時間をありがとうポール、1990年と1993年の「マタキマス!」、2001年の「マタネ〜」、2013年の「マタ会イマショウ」「元気デネ」「マタネ〜」はすべて有言実行され、まさに特筆ものである。いつの日か元気なポールにまた会えることを楽しみにして拙文の終わりとしたい。