トップページへ     The Beatles Forever へ    ビートルズ随想記へ

  

     
     ビートルズ随想記(43)

 

「ビートルズ叙勲」から50年

  


 
 

  

   1965年10月26日、イギリスのバッキンガム宮殿前にはビートルズのファンが群がった。それはビートルズがMBE勲章を王室から授与されるからであった。多大なる外貨獲得が叙勲の理由とは言え、当時ロックスターの叙勲は全くの異例で(のちにエルトン・ジョンやジミー・ペイジなどにも授与)、そのせいか当時の日本ではビートルズに詳しくない人にも「ビートルズ=勲章をもらったアイドルスター」としてその名を知られるようになったとされる。

 

   しかし実際のところ当のメンバーもファンも、叙勲によってさして変わるものも無いと考えており、結局のところ叙勲は英国政治家によるウケ狙いの話題作りに過ぎなかったのかも知れない。

 

   この叙勲についてはそれを不満として勲章を返還する英国の元軍人に対するジョンのコメント「戦争で人を殺した人たちよりも音楽で人を楽しませた自分たちのほうが叙勲にふさわしい」や、1969年11月にそのジョン自身も英国の政策に対する不満やシングル「コールド・ターキー」のチャート降下を理由に結局勲章を返還してしまう話が良く知られている。

 

    ところでジョンが勲章を返還した理由は上記の通りなのだが、果たしてそれらは真の理由だったのか?今回はこの点に少々言及したい。1969年11月といえばオノ・ヨーコと反戦活動を中心としたソロ・プロジェクトに打ち込んでいた時期、即ち自分にビートルズはもういらない、その自分をビートルズに縛り付ける一種の象徴・MBE勲章を返還してその関係を断ち切りたい! ジョンはそう考えたのではないかという説も有力で、自分は通説よりもこちらを採りたいと思っている。