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    ビートルズ随想記(50)

     Paul McCartney “One On One”

 

 

  

   ついに「One On One Japan Tour 2017」(東京ドーム)の日となった!今回は東京ドーム2日目(2017.4.29)に出陣、その様子をレポートしてみたい。

   18時30分開演のため18時にドームにやってくると相変わらずの大変な人出である。本日は土曜日のためドームの3回(木・土・日)公演の中では最も早くチケットが売り切れたようだったが、それでも当日券はS席(18,000円)・参加席(6,000円)の販売が有り、それを買っていくファンの姿もちらほら。驚いたのはこれらとは別に当日券売り場の後方で敢えて並んで待つファンが10数名いたことで、なんと開演ギリギリで解放される可能性がある好位置のS席目当ての行列とのこと。こんな裏ワザも有るんだね!


東京ドーム正面22ゲート、今回は電光掲示板になった
 
   


ごった返す外周通路とSGT.のチラシ/開演前の会場のスクリーン


当日券を求めるファンの姿も見受けられた
 
   

 

   ドームへ入場してみると早速チラシを配られ、見ると「SGT50周年記念エディション」(5/26発売)の内容だった。販促目的云々はともかく本日も「SGT」から何曲か演奏すると思われる。外周通路は飲食やグッズを買う行列・トイレへの行列などが入り乱れ、それらを縫うように歩いて自席へ辿り着く。今回は開演前に既に客席の照明を落としていて、席番を確認するのも一苦労。会場内にはビートルズ&ポールのソロ曲が延々と流れている。

   さて開演予定時刻の18時30分になるが定刻には始まらないのは十分承知で、曲が流れる中を10分・20分と過ぎていく。そして「A Day In The Life」のラスト(オーケストラの盛り上がり)が流れるといよいよ開演、ファンのヴォルテージがみるみる上がる! そして18:55、ついにポールが現れた!

へフナーベースがスクリーンに現れ、会場が盛り上がる
 
  

 

   オープニングは「A Hard Day's Night」である。今回のOne On Oneのセットリストは事前に極力知らないようにしてきたのだが、実はこれは知っていた(苦笑)。もういきなりファンもノリノリ。そして2曲目にはこれまたロックの 「Save Us」が来た。もちろん良い曲だが、木・日曜はウィングス「Junior's Farm」だったようで、自分としてはライヴ未聴の曲としてこちらを聴きたかったなぁ〜。

    「コンバンワートーキョー!」ポールの日本語は上手くなっている(かな?)「Can't Buy Me Love」「Jet」続いた後、ポールがエレクトロニクス・ソングの表現で次曲を紹介、なんと「Temporary Secretary」ではないか!意外すぎる選曲で驚いたが、どうせなら同じアルバムの「Dark Room」あたりをやれば面白かったかも(日本なので)。ジミヘン追悼の「Let Me Roll It」はいつもの通り。


オープニングは「A Hard Day's Night」
 
  

 

   次の曲は今回のセットリストで新登場の「I've Got A Feeling」で、オリジナルはポールとジョンの掛け合いが聴きどころの曲。そのためこの曲が今回選ばれた是非については、ファンの間でも意見が分かれているかも知れない。

   さてポールがピアノの前に座る。「次の曲はナンシーのために書きました」と紹介して「My Valentine」。落ち着いた曲調のため周囲で立っていた観客も次々と座り、自分も座る。続いて「1985」「Maybe I'm Amazed」とソロ時代の佳曲が続いたが、ここで今回は「The Long And Winding Road」がリスト落ちしていることに気付く。素晴らしい曲を数多く持つポールならではの悩ましいセットリストの選考過程が有ったのかもしれない。  


近年はサイリウム持参のファンも増えている感じ
 
 

 

   時刻は19:40、ポールがピアノを離れアコースティックギターを抱え「ミンナゲンキ?」「イェー」に続いて「I've Just Seen A Face」を歌う。歌い終えるとポールが観客に対して発声練習を促し、初めてレコーディングした曲ですと紹介して始まったのが「In Spite Of All The Danger」。おぉこれは「アンソロジー1」収録のクオリーメンの曲ではないか!バックコーラス部分を覚えていたので自分もコーラスを歌ってみた。

    このあとビートルズの「You Won't See Me(シンプルなアレンジ)」「Love Me Do」「And I Love Her(間奏で謎の腰振り有り)「Blackbird」と続く。今回ポールはビートルズの曲紹介の時になぜか日本語風に「Bitoruzuu!」と発音しているのが面白い。そしてポールが「OK,so, 次ハジョンニササゲマス」とくれば彼へのトリビュート「Here Today」となる。今回は幸いに全ての観客が静寂を守り、しっかり歌い終えたポールに対し万雷の拍手で応えた。なんと素晴らしい、これこそ日本ならではのオベーションだなと思った。

   20:05、ポールがアコースティックギターをスタッフに渡し、マジックピアノの前に座った。「New」に続いて・・・キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!「Queenie Eye」が! この曲にはファンが「Out!」 と合いの手を入れるタイミングが数回有るのだが、4年前・2年前とも自分はイマイチの出来だったのでさぁ今年こそはと緊張が走る(まぁこんなのオレぐらいだろうが)。そして失敗を恐れず思い切り拳を挙げて「Out!」 と叫んでみた。結果は自己採点だが過去の何れよりも良かった(笑)。もっとも周囲のファンも初めの頃よりちゃんと出来ている感じで、これには時の流れを感じた。次の歌は「The Fool On The Hill」この曲も今年で生誕50年、それなのに全然古臭くないよ!続いてはアップテンポの「Lady Madonna」となり前席の観客が次々と立ち上がったので当方も視界確保のため再び立つ。(まぁしゃぁない)


「You Won't See Me」を歌うポール
 
  

 

   次の曲は・・・「Fourfiveseconds」というリアーナとカニエ・ウエストとのコラボ曲。ポールがみんなも歌ってとバックステージに歌詞が次々と表示されるが、自分は肝心の曲調を知らなかったので今回は見学モードに甘んじてしまった。

   楽曲は「Eleanor Rigby」に続いて「I Wanna Be Your Man」が来た!この時にリ○ゴ☆が飛び入りしたらスゴいだろうなぁと妄想したのは自分だけではあるまい。「Being for the Benefit of Mr. Kite!」ではドームの屋根にカラフルな光線が流れて幻想的だったが、アリーナ前方席のファンは気づかなかったかも知れない。

   ポール「OK, This next song is dedicated to George.」と来れば「Something」だ!演奏時のバックステージにはジョージの写真が次々と映り、自分はその中でも晩年の「アンソロジー」時に3人で撮った写真になぜか感じ入ってしまった。


バックステージに「Fourfiveseconds」の歌詞が表示される
  
  

 

   楽曲は進みこのところすっかり定番となった「Ob-La-Di, Ob-La-Da」となる。ライヴ向きのオーディエンス参加型の曲で、ポールも「ミンナデ歌オゥヨ」を3回連呼してファンが盛り上がる。自分も例によりラストのOb-La-Di, Ob-La-Da, Life goes on bra! Lala how the life goes onを歌わせてもらった。ポール「イイジャ〜ン!」 

   「Band on the Run」 「Back in the U.S.S.R.」に続いては絶対に欠かせない「Let It Be」となる。ピアノを前にオリジナルのCメジャーで歌う様子はさすがに高音域はキツそうにも感じられたが、誰がそれを咎めようか?  それを補って余りある取組み姿勢であり、補って余りある素晴らしい楽曲なのだから。


「Ob-La-Di, Ob-La-Da」を歌い終えたポール
 
  

   

  定番曲は続き「Live And Let Die」はマグネシウム炸裂、インパクト抜群の演出でステージのメンバーは毎度のことながらさぞ大変だろうと思う。

   ライヴは佳境に入り遂に「Hey Jude」が始まった。リフレインになるとアリーナ席ではザ・ビートルズクラブであろうか「NA」「NA」「NA」のプラカードがビッシリと左右に揺れる様子がスクリーンに映し出される。前回は「ダンシダケ」「ジョシダケ」だったポールのコールは4年前の「ダンセイダケ」「ジョセイダケ」に戻った。さてスタートから2時間経過で自分はトイレに行きたくなったが、行くならこのリフレイン終了からアンコールスタートまでの間しかない!猛然と外周通路に出ると運良く近くにトイレあり。駆け込むと他のファンもダダダと次々に入ってきた(笑)。


毎度ながら「Live And Let Die」は激しい!
 
 

 

   そして自席に戻ると幸いアンコールは始まっておらず(間に合った)、程なくポールとメンバーが日の丸とユニオンジャックを掲げてステージを往復する。アンコール1曲目は「Yesterday」で、サイリウムを振るファンもいる。今回自分もサイリウムの持参を考えたがポールのコンサートに適するか疑問だったのでパス。しかしこれなら持ってきても良かったのかな、と考えたりもした。 

   続いて「SGT.(Reprise)」。これは翌月の発売キャンペーンかな?とファン心理をくすぐる。さらにウィングスの「Hi, Hi, Hi」、結果的に本日は「Junior's Farm」「letting Go」を聴きそびれているので嬉しい選曲だった。そしてロックの定番「I Saw Her Standing There」が来た。後日の情報によるとここは木曜が「Birthday」日曜が「Get Back」だったそうで、いずれも甲乙つけ難いビートルズのロックンロールナンバーをファンに聴かせてくれたわけだ!

   さて今回のOne On Oneはアンコール曲を一気に演奏(ダブルアンコールなし)だったので、ポールが右腕(腕時計)を示して「モウソロソロ」と言った際にあぁ残るは「あれ」だな、と思う。そして始まったのは言わずもがなアビーロードB面メドレー「Golden Slumbers/ Carry That Weight/ The End」だ。平成2年3月に初めてポールのコンサートに参陣して以来、何度このメドレーを聴いたことだろう。このメドレーはラストを“決める”ために生まれた楽曲なのだ!そして「The End」のギターソロが終わるとバックステージに陽が昇りフィナーレとなった。

       ポール「マタ会イマショウ! See you next time!」

   21:30、ステージが煙幕に覆われメンバーが去っていく。照明が灯り本日のコンサートはすべて終了した旨と、退場はブロックごとに順次行うとのアナウンスが流れた。


アンコールに颯爽と登場する


ついにアビーロードB面メドレーのフィナーレとなる
今回も実物とスクリーンのどちらを観るか悩んだ
  
 

 

   今回2時間半のショーは随所にポールの工夫が見られるステージだった。もちろん客観的な見方をすればやはりニューアルバムを引っ提げて新曲を披露して欲しいとか、未演奏のソロアルバムからも選曲して欲しいとか、希望を言えばキリがない。しかしそれらはいずれもポールが素晴らしい才能を持つがゆえのことであり、今回もショーをまとめるためには最大限の努力が有ったと考えたい。

   実は自分はいつも東京ドームでSee you next time!を聞くと果たして次は有るのだろうか?との気持ちが起こる。しかし実際にポールは今まで全て約束を実行しており、それは特筆に値する。今回も遠路日本まで来てくれてありがとうポール、いつまでもお元気で!!(次回はぜひ相撲も観戦して、ニューアルバムの懸賞金も掛けようネ!)


21:45、ファンはドームをあとに帰途につく