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ビートルズ随想記(53)
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ニューアルバムのためにジョージも作品を用意してきたが、ジョンとポールの作品が優先されるあまりレコーディング開始から2ヵ月経ってようやく「While〜」のリハーサル録音ができた。このバージョンはビートルズと言うよりジョージのソロ・ワークスであり、公式発表された最終版に比べると実にすっきりした優美なバージョンであると言えるだろう。 |
1968年のジョージ・ハリスン |
このバージョンはその後EMIの厳重な管理のもと、誰も(ブート等で)その音源に接することは長らくなかった。ところが解散後13年経った1983(昭和58)年にEMIの企画による特別展「THE BEATLES AT ABBEY ROAD」で未発表音源を数多く含んだドキュメンタリーフィルムが上映され、そこで今回のバージョンも陽の目を見たわけである。 これら未発表音源の多くは今では「アンソロジー」シリーズでほぼ入手可能となった(若干のアレンジが加えられてはいる)が、当時これら未発表音源はブートの格好の音源となり、かく言う自分も1985(昭和60)年に2枚組ブートLPで耳にすることができた。その中でも最も驚きを以て聴いたのがこの「While My Guiter Gently Weeps」 だったわけで、その表現技法に驚かされた。
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ブートLPの見開き部、曲目一覧に記載が見える |
それは殆どアンプラグドと言って良い程のシンプルなアコースティック・バージョンで、のちの「アンソロジー3」や「LOVE」収録分よりも音圧は低いままだが切々とジョージが歌い上げて最後はGmをかき鳴らしフェイドアウトせずに終わる。これほど優美な未発表バージョンが有ろうとは! 昭和の若き日に繰り返し聴いたことが思い出される。 その後このバージョンは未発表曲&別バージョン集のアルバム「Sessions」で公式発売目前だったもののメンバーの了解が得られずに企画はボツ、ファンは上述の「アンソロジー」までさらに10年待たされたのだった。(公式発売を逸したブート「Sessions」は稿を改めて取り上げてみたい) |
ジョージによる貴重な手書き原稿 |