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     ビートルズ随想記(53)

      
優美な「While My Guiter Gently Weeps」


 

  

 
  
今回はちょうど50年前、1968年7月25日に時計の針を戻そう。この日はジョージ・ハリスンが自曲「While My Guiter Gently Weeps」 を初レコーディングした日だが、まずはその様子を名著「the complete BEATLES Recording Sessions」から抜粋してみよう。

    ニューアルバムのためにジョージも作品を用意してきたが、ジョンとポールの作品が優先されるあまりレコーディング開始から2ヵ月経ってようやく「While〜」のリハーサル録音ができた。このバージョンはビートルズと言うよりジョージのソロ・ワークスであり、公式発表された最終版に比べると実にすっきりした優美なバージョンであると言えるだろう。


1968年のジョージ・ハリスン
   

 

  このバージョンはその後EMIの厳重な管理のもと、誰も(ブート等で)その音源に接することは長らくなかった。ところが解散後13年経った1983(昭和58)年にEMIの企画による特別展「THE BEATLES AT ABBEY ROAD」で未発表音源を数多く含んだドキュメンタリーフィルムが上映され、そこで今回のバージョンも陽の目を見たわけである。

    これら未発表音源の多くは今では「アンソロジー」シリーズでほぼ入手可能となった(若干のアレンジが加えられてはいる)が、当時これら未発表音源はブートの格好の音源となり、かく言う自分も1985(昭和60)年に2枚組ブートLPで耳にすることができた。その中でも最も驚きを以て聴いたのがこの「While My Guiter Gently Weeps」 だったわけで、その表現技法に驚かされた。

   


ブートLPの見開き部、曲目一覧に記載が見える
  

 

   それは殆どアンプラグドと言って良い程のシンプルなアコースティック・バージョンで、のちの「アンソロジー3」や「LOVE」収録分よりも音圧は低いままだが切々とジョージが歌い上げて最後はGmをかき鳴らしフェイドアウトせずに終わる。これほど優美な未発表バージョンが有ろうとは!  昭和の若き日に繰り返し聴いたことが思い出される。

    その後このバージョンは未発表曲&別バージョン集のアルバム「Sessions」で公式発売目前だったもののメンバーの了解が得られずに企画はボツ、ファンは上述の「アンソロジー」までさらに10年待たされたのだった。(公式発売を逸したブート「Sessions」は稿を改めて取り上げてみたい)


ジョージによる貴重な手書き原稿