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   ビートルズ随想記(55)

「Freshen Up Tour」東京ドーム初日
 
 

 

     

   ついにポール・マッカートニー「Freshen Up Tour」初日だ!
 
ポールは今秋ニューアルバム「Egypt Station」をリリースしており、どんな曲を取り上げるか興味津々である。そのため他国で先行開催されたセットリスト情報には(安易にネット等で)触れずにコンサートに臨むことにした。

   今回のチケットは10月31日(水)の東京ドーム初日で、当日は日中の仕事が外せずドームに着いたのは18:10と開演の18:30が近い。それでもまぁ実際のスタートは過去の例から19時頃と考えてすぐには入場せずにドーム近辺を歩いて開演前の雰囲気に浸ってみた。


ツアー名も新しく「Freshen Up」
   

  

   例により当日券売り場を覗くと・・・当日券の販売は有った。しかし今回はS席18,500円のみで、いつもは有る参加席等の設定は無かった。その理由は入場後にわかったので後述する。

    いつものようにグッズ購入は公式パンフレットのみと決めていたので専用のコーナーで1冊買う。あっ今回は3,000円ではなく3,500円か・・・まぁいいや。でも袋なしの手渡しかぁと思っていたところ、ドーム入場ゲートで各種チラシ類をビニール袋に入れて配布していたのでこれを流用した(パンフレットはキレイに保存したいよね)。 なお毎度のことながら開演前のトイレは長蛇の列、しかしこれを面倒がるとコンサートに集中できなくなるためちゃんと並んだ(笑)。


東京ドームに次々とファンが集まる
   

  

   時刻は18:30となったので外周通路から黒い幕で仕切られた観客席エリアへ入る。自席(S席)は右下写真の位置で、野球で言うなら3塁側1階内野指定席である。なお今回のチケットは渋谷「レコファン」での手売り販売を利用した。店員さんが予め座席表(ブロック)を見せたうえでの販売に納得感、ネットのシステム利用料や発券手数料・郵送料等が皆無なのも良かった。

   自席に着席して周囲を見渡す。「おや?」と思ったのはレフトポール際の内野席とその先の外野席に黒シートが被さっていたことで、ツアースケジュールその他の事情でここまでは埋まらなかったのだなとわかった。外野席は参加席として売られることが多く、その設定がない点もこれで理解できた。


さぁ、外周通路から観客席へ!
   

  

    ところで今回のコンサートには或る「こだわり」を以って臨んでみた。それはペンライト(の持参で、そろそろポールのツアーでも普及するか?との期待を込めての判断である。(その結果については後述)。

   開演前のステージでは例によりスクリーン映像のスクロールがポールの楽曲ととも進んでいる。すると意外に早く18:45に「A Day In The Life」のクライマックス演奏となり会場の照明が消えた。スクリーンはヘフナーベースのアップとなりファンのヴォルティジも最高潮に達し、さぁ(Sir)、ポール・マッカートニーの登場だ!!


自席からステージの位置はこんな具合
   

  

   「ジャーン!」のイントロとくれば「A Hard Day's Night」でファンは早くもノリノリ、続いてウィングスの「Hi, Hi, Hi」が2曲目に来るとは意外な曲順だが翌日の2曲目は「Junior's Farm」だったそうでこれはまたも聴き逃した(涙)。

    ポール「コンバンワ〜トーキョー」「タダイマー」もだいぶ慣れてきたような感じ。そして「All My Loving」はもう55年も前の曲だが永遠に若い曲。「今回モ日本語ガンバリマス。ミンナ、イチバーン!」

   18:57、4曲目には「Letting Go」が来た。前回はセットリストの関係で聞きそびれていたので有難い。なお今回は通常の5人編成の演奏に加えてブラスセクションのメンバーがおり、この曲などはまさにうってつけの好演となった。


いざ、ポールの登場だ!
   

  

   ニューアルバム「Egypt Station」から「Who Cares」「Come On To Me」を続けて歌うポール、ヴォーカルは力強く76才とは思えない頑張りだ! 19:10、上着を脱ぎキターを替えてジミヘントリビュートの「Let Me Roll It」はポールのこだわりの選曲、歌いながら腕まくりをして気合いが漲る。次の「I've Got A Feeling」はエンディングにアレンジが加えられていた。

   19:23、ポールがピアノの前に座った。この後も何度かピアノへ向かうが、これはコンサートに抑揚をつけると共に立ち尽くしを回避する工夫とも取れる。「Let 'Em In」に続き奥さんの「ナンシーノタメニ書キマシタ。」と来れば定番の「My Valentine」だ。モノクロ調のスクリーンと共にポールが切々と歌う。


ウィングスの“Letting Go” を歌うポール(スクリーン画像)
   

  

   ポールのピアノがアップテンポになった。「1985」「Maybe I'm Amazed」は1970年代の佳曲として近年では必ず取り上げられ、ポールは曲間にベストアルバム「Wingspan」ジャケットの手振りを交えてみせた。

   19:42、「ミンナ大スキ」とポールが言いながらアコースティックギターのコーナーへ。「I've Just Seen A Face」に続き「次ハ…ビートルズ初レコーディングゥ」と来たのであぁあのデビュー前の曲だとわかった。その「In Spite Of All Danger」では前回同様ポールが観客にバックコーラスを促す場面があり、これは難なくクリアした(笑)。


スクリーン画像から後方のイメージを作成
   

  

   19:50、続くはビートルズ初期の「From Me To You」が来てビックリ!日本公演では初の楽曲で、メンバーのウィックスがハーモニカを吹いている。さらにこれも初期、と言うよりデビュー曲の「Love Me Do」の登場となった。 

   ステージ両脇の画面にはポールのコメントの日本語訳が綴られていくが、そこに“公民権運動”の言葉が。そう、ちょうど50年前に発表した「Blackbird」が取り上げたテーマで、ポールはアコギ1本でシンプルに歌い上げた。そして「次ハジョンニ捧ゲマス。ジョンニ拍手ヲ!」に続いて「Here Today」となった。今回も幸いに演奏中は静かに聴き入る観客ばかりで大変良い雰囲気だった。 

   

 

   ところでペンライトのファン有りや否や?取りあえず右上写真のような具合。

   時刻は20時を回り、ポールはマジックピアノへ。なんと「Queenie Eye」ではないか! 歌唱中にファンが合いの手を入れる楽曲だが今回それは新曲の「Back In Brazil」(日本語のイチバン!の反復あり)だろうとヤマを張るも見事ハズレ。それでも今回はペンライトがある!「Out!」 反復の場面で思い切り振ってみた。

   再びビートルズの楽曲「Lady Madonna」「Eleanor Rigby」と続く。「Eleanor〜」ではスタッカートを効かしたギター演奏が印象的で、かつてアンソロジープロジェクトの際に当時のポールが同様に弾き語りしていたのが思い出された。

  


Eleanor Rigby を歌うポール(スクリーン画像)
   

  

   20:10、再びポールはアコギからヘフナーに。今回初公開と称されたのは新曲の「Fur You」で、今回ニューアルバム「Egypt Station」からはこの曲を含め3曲取り上げられた。しかしシングルタイトル曲の「I Don't Know」はセットリストに無く、孤高の佳曲と言ったところだろうか?

   ここからビートルズの曲が3曲続く。「Being for the Benefit of Mr. Kite!」「Something」「Ob-La-Di, Ob-La-Da」はいずれも近年のツアーでは定番曲となっている。「Being〜」では例によりドーム天井に光線が映える。「Something」ではジョージがウクレレが上手かった旨のコメント、「Ob-La-Di 〜」では「イッショニウタオヨ!」(Yes, Sir !)。


やはりスクリーンよりもナマを注視したいが・・・
 

  

 
   ここでバンドのメンバーを簡単に紹介しておこう。右写真は自席からのアングルで少々遠く、風貌がわからない点はご容赦のほどを。ポジションの一例として左からポール・ウィックス・ウィケンズ(キーボード)、エイブ・ラボリエル・ジュニア(ドラムス)、ラスティ・アンダーソン(ギター)、ポール・マッカートニー(ベース)、ブライアン・レイ(ギター)となっている。

   特筆すべき点としてこのメンバーは2002年に来日(Driving Japan)して以来全く不動のメンバーであり、彼らはもう16年以上もポールを支えてきたわけだ(スバラシイね)。


今世紀初頭から不動のツアーメンバーたち
   

  

   時刻は20:30、「Band On The Run」となった。曲調が変わることで知られる名曲だが、2回目の転調でいよいよ!という時に観客席から拍手が湧き起こった。予期しなかった展開だがタイミングは良く、観客からポールへのナイスオベイションとなった。そして次は「Back In The U.S.S.R.」と定番の曲が続くが、この曲の場合は11月発売の「ホワイトアルバム」の宣伝の意味も有ったのかな?

   20:39、ポールがピアノへ。ショーのクライマックス近しを思わせるなか、「Let It Be」が始まる。曲調に合わせてペンライトではない光源を振るファンがちらほら、手にするのはどうやらスマホのようだ。


Let It Be をビアノで弾き語り(スクリーン画像)
   

  

   さてピアノ曲の第2弾とくれば「Live And Let Die」しかない。例によりマグネシウム炸裂で火柱が上がるド派手な演出、演奏後のポールは「煙い・轟音だ」と取れるような仕草をした。

   さぁここまで来れば次は締めのあの曲しかない。そう、「Hey Jude」である。曲が進むにつれ先ほどから振られ始めたスマホの照明がスタンド席を中心に次々と増え始めて右写真のようになった。もちろんファン参加型の楽曲なので構わないのだが、見た目はやや無粋と言えなくもない。これならカラーのペンライトのほうが格段に雰囲気が良いのは明白で、少数派でも今回持参して良かったと思えた場面であった。


Hey Jude のリフレインでスマホ?を振る観客席
   

  

   本編が終わりいったんステージを去ったメンバーは20:57にアンコールとして再登場、本日がハロウィンのためドクロの面をつけて登場して観客を湧かせた。そしてアンコール1曲目は「Yesterday」。切々と歌うポールはいつも通りだが、後日の情報では日本での残り3回のステージでは歌わなかったとのこと。「Yesterday」をセットリストから外すのはある意味“事件”にも思えるが、真相や如何に?

   ポール「モット聴キタイ?」とファンに問う。次は「SGT. Reprise」、アップテンポにつられて周囲のファンが次々立ち始めたので自分も立つ。そして「Helter Skelter」。これ以上ないハードな曲なのによく声が出るね〜頭下がるよホント。


アンコールでの Yesterday
   

  

   時刻は進み21:08、ポールがピアノへ。そして「モウソロソロ」とはそのあとに“We have to go back..”が略された彼らしい日本語で、前回も使っているので覚えた表現かな?と思わせる。ラスト前にツアーのクルーをねぎらい、バンドのメンバーにも感謝のメッセージ。そして「Golden Slumbers/ Carry That Weight/ The End」のメドレーとなった。もうこれで終わりと思うとペンライトを握る手にも力がはいった。

          21:16、ポール:  
               「マタアイマショウ!」
                      「See you next time!」


名残惜しくもフィナーレ

  

   メンバーがステージから去った後の会場内点灯に時間を要したためサプライズアンコール有りか?との雰囲気が会場をよぎったがさすがにそれは無く、ようやく明るくなると係員指示によるブロックごとの退場となった。

   さて今回は公演決定から実施までの期間が短く、また平日のみの開催だったためファンの出足が鈍かった感は否めなかった。しかしそれでも新曲を携え“76歳の元気”でステージを完遂したポールに「今回も来日してくれてありがとう」----これが今の自分の気持ちである。まもなく平成時代は終わるが、7回もの来日コンサートを昭和時代に誰が予想できただろうか?殆ど僥倖に近い至福の時間をありがとうポール!


帰宅に向かうファンがドーム外へ