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1982(昭和57)年・ある秋の日、自分が当時の地元「すみや大船店」でビートルズのLPコーナーを眺めていたところ、何とも奇妙なレコードを発見して驚いた。それはニューリリースのライヴ盤のようなタイトルながらライヴ盤ではなく、いかにも寄せ集め的な曲目ばかりが並び、ジャケットを裏返すと怒ったような顔つきの4人のメンバーの写真……わけのわからんそのアルバムのタイトルは「ビートルズ・イン・イタリー」という編集盤であった。 「ビートルズ・イン・イタリー」…このアルバムについて感慨ある日本のファンがどれ程いるだろうか?おそらく非常に少ないと思われる。いや、もちろんそれで良いのだ。なにせこのアルバムは発売当時から不人気編集盤の代名詞的存在で、市場に出回った枚数も少ないまま廃盤になっているからである。ところが皮肉なことにその希少性ゆえに今や中古市場では滅多に見かけないコレクターズアイテムとなり、自分も長らく中古レコード店に通ってようやく入手できたものである。(それなら初めから買えよって話はナシね……) さてここまでこのアルバムの悪口(?)ばかり書いてしまったので、アルバムの内容を客観的に眺めてみよう。収録曲は右上の通りで、特徴としてはA面6曲目の「Ticket To Ride」以外は英オリジナルアルバム非収録曲となっている。そうであればこのアルバム購入によりシングルやコンパクト盤を何枚か買う手間が省けそうだが、そこは曲目収集の点でより収録曲の多い「レアリティーズ」が昭和54年に単品発売されているので、残念ながらこの点で当アルバムは劣後する。 それでもなんとかこのアルバムならではの魅力を探してみよう。ライナーノーツ&歌詞対訳のレイアウトはそれまでの国旗帯盤と異なる仕様だが、よく見ると末尾の曲目解説が全曲ではなく5曲、つまり別テイク収録曲に絞っての解説となっている。これにはワケがあり、この昭和57(1982)年はテイク違いの多いモノラルアルバムシリーズが初めてリリースされ、さらにムック本「The Beatles Forever(ビートルズ・シネ・クラブ編/テイク違いの解説が充実)」の刊行もあって、言うなれば「音源研究元年」だったのである。このジャンルはCD時代の現在も受け継がれており、その点ではこの「ビートルズ・イン・イタリー」を草分け的存在の1枚と見なすことも出来るだろう。 それにしてもこのアルバムは相変わらず中古市場店頭で見かけることが稀(帯付き盤はなおさら)であり、やがて昭和50年代のレコード事情を知らないファンが増えるにつれその存在すら風化するであろう。その抗いとして今回HPにUPしてみたので、まぁ当時はこんなことも有ったのだと拙文から感じ取って頂ければ幸いである。
(追記)どうせならイタリア国旗帯でリリースして欲しかったよね…(笑)
購入日: 平成28年4月2日 |
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ライヴの写真はワシントンDCでのもので、イタリアに非ず 通称「シャンパン・カバー」、初めて見たときは違和感ばかり 松本常男氏による曲目解説は別テイク曲を中心に |