トップページへ The Beatles Forever へ 懐かしのレコードコレクションへ
(album) |
昭和55年の5月、ひとりの高校生が藤沢「さいか屋デパート」内のレコード店で見慣れないビートルズのLPレコードを手に取っていた。新リリースの編集盤であることは一目でわかったものの、レコード帯にある「あなたはこのアルバムに収められた作品の何曲をいままで聴いたことがありますか?」という不思議な謳い文句に惹かれていた。その高校生の名はなかぶう、アルバムの名は「レアリティーズvol.2」であった。残念ながらこのなかぶう、お小遣いが少なくて1枚2500円のLPを買うには至らなかったようである…。 月日は流れて平成23年5月、ひとりのオッサンが渋谷「レコファン」で昔懐かしいビートルズのLPレコードを手に取っていた。かつて関心を持ちながら結局買えずじまいだったアルバムが中古ながら目の前にある。よし、今度こそ買おう! …このオッサンの名とアルバムの名はあの31年前と同じであった。 さてこの「レアリティーズvol.2」は米キャビトルが企画したアルバムで、タイトル通り“珍品集”である。ただし少し前にリリースされた英国盤「レアリティーズ」とは異なりあくまでも米国に於いて珍しい(未発売の)曲集・ヴァージョン集なので、英国や日本のファンにとっては既に馴染みの曲も何曲か収録されている。それでも発売当時には全く聞いたことのないヴァージョンも収録されており、ファンの関心を惹きつけたものである。特にモノラル収録の数曲は個性的な存在で、のちに「モノラルヴァージョン」というジャンルを確立して限定発売のLPやCDで多くの曲が聴けるようになったものである。 このアルバムのジャケットは見開きジャケット(右下写真)で、左半分は有名な「ブッチャー・カバー」の写真なのがいかにも米キャピトルの企画らしい。アルバムには14曲が収められており、先述の通り発売当時(昭和55年)の日本のファンにとっては無意味に近い収録曲も少なくない。それでもモノラルの「ヘルター・スケルター」「ドント・パス・ミー・バイ」あたりは当時のファンを大いに驚かせた収録曲だったと思われる。ビートルズのメンバーが当時モノラルヴァージョンを重視していた事実は今でこそ知られているが、それらの曲に日本のファンが接するようになったのはこのアルバムが初めてだったからである。 そんなわけで 「レアリティーズvol.2」の価値について発売当時はわかったようなわからないようなレベルであった。しかし彼らの楽曲のモノラルヴァージョンへの橋渡し的な役割を果たした点で大いに価値あるアルバムだったと言えよう。
購入日:
平成23年5月25日 |
|
米国の国旗帯(米キャピトル企画の証し) ジャケットの見開きはこんな感じ |