出会ったすてきな短歌たち



東風吹けば匂ひおこせよ梅の花あるじなしとて春な忘れそ  菅原道真
桜花ぬしを忘れぬものならば吹きゆく風にことづけはせよ   菅原道真


遠つ人松浦佐用姫夫恋ひに領巾振りしより負へる山の名  万葉集(旅人)


三輪山をしかも隠すか雲だにもこころあらなも隠さふべしや  額田王


ささの葉はみ山にさやにさやげどもわれは妹思ふ別れきぬれば  柿本人麻呂


しづやしづしづのおだまきくり返し昔をいまにするよしもがな  静御前


一の谷も屋島も壇ノ浦さへもまもりえずして赤旗沈む  川田順


桜花幾春かけて老いゆかん身に水流の音ひびくなり  馬場あき子


桜ばな命いっぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり  岡本かの子


ただ一度生れ来しなり「さくらさくら」歌ふべラフォンテも我も悲しき  島田修二


みわたせば西も東も霞むなり君はかへらずまた春や来し  九条武子


うす紅に葉はいちはやく萌えいでて咲かむとすなり山桜花  若山牧水


きけな神恋はすみれの紫にゆふべの春の讃嘆のこゑ  与謝野晶子


君にちかふ阿蘇のけむりの絶ゆるとも万葉集の歌ほろぶとも  吉井勇


顔をあげればうしろが見ゆる晩年のわがかげに添ふ挽歌あるべし   辰巳泰子  


マッチ擦るつかのまの海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや  寺山修司


母の名は茜子の名は雲なりき丘をしづかに下る野生馬   伊藤一彦


万智ちゃんがほしいと言われ心だけついていきたい花いちもんめ  俵万智 


潮かをる北の浜辺の 砂山のかの浜薔薇よ 今年も咲けるや   石川啄木





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