○佐伯裕子選(2006年角川短歌9月佳作)
この世での父と母とを見るやうに空の銀河を見つむるゆふべ
○森山晴美選(2006年角川短歌9月佳作)
介護することを拒みし兄達の去りし空間に母ほほゑめり
○米川千嘉子選(2006年角川短歌5月佳作)
傷へこみ、直しますとの看板(いた)のあり今日は
車に化けてみようか
○奥村晃作選(2005年角川短歌1月)
♪初めての秀逸♪
恋人とけんかした後(のち)ケータイを手のひらに抱き眠りゐる吾子
○伊藤一彦選(2004年角川短歌11月佳作)
何年もお祭りを見ずいつとなく心の花火忘れた日より
○三枝昂之選(2004年角川短歌2月佳作)
にっぽんの夕暮れの空に一番ぼし母の味するきらら「うめ星」
○今野寿美選(2003年角川短歌6月佳作)
白き髭持てるおのこが白鳥とふるさとなまりで話していたり
○馬場あき子選(短歌研究6月号詠草)
伝説のらんぷの精も涙せむアラジンの町バグダッド燃ゆ
○粟木京子選(うたう☆クラブ5月号)
黄なる梅秩父の山の宝物ひかり集めて青空に咲く
○馬場あき子選(短歌研究5月号詠草)
鬼ごつこすれば鬼の子混ざりけり誰も知らずにさよなら言つた
○馬場あき子(短歌研究4月号詠草・2首太字掲載^^)
大根のみづみづしさに陽が沁みて白きひかりを放つ冬の日
真昼間の高層ビルの片隅にしづかに揺るるブランコの孤独
○小島ゆかり選(うたう☆クラブ4月号)
寂しさをオレンジ色に輝かせ沈む夕陽に飛び込んでみる
○加藤治郎選(うたう☆クラブ3月)
火の山に夜毎流れる溶岩は悪しき世嘆く女神のなみだ
○穂村弘選(短歌研究2月号うたう☆クラブ)
天空の火を捕えたり右腕でその瞬間にイカロスは落つ
○岡井隆選(短歌研究2月号詠草)
恋ひ恋へば宇宙の果てはすぐそばにあると思ほゆ君の手のひら
○岡井隆選選(2003年短歌研究1月詠草)
ほとばしる飛沫も高く噴水の君を会う日はいつも虹の笑み
○粟木京子選(2003年うたう☆クラブ1月)
三葉虫の時代にありし海の潮流れながれて今朝浜に着く
○石川不二子選(2002年短歌研究11月号詠草・2首太字掲載^^)
どんどんと地球の音がするような海と山とのふれあうハワイ
真黄色のハイビスカスは風に揺れ昔の言葉を話しはじめる
○小島ゆかり選(11月うたう☆クラブ・2首)
幼き日そらへそらへと飛んでつたブランコ夕陽を抱えたままで
追いかけて手の届かぬと知った日は心うつむき海を見ている
○石川不二子選(短歌研究10月詠草)
海原を鯨は泳ぐようようと天翔ける鳥の夢を見ながら
○穂村弘選(うたう☆クラブ9月)
太陽を舳先につけて動く船手にいれたいと思う梅雨の日
○島田修二選(短歌研究9月詠草)
ボールにと命吹き込む男たち負ければ明日の陽は昇らぬと
○粟木京子選(うたう☆クラブ8月)
薔薇の木にひよひよ声がとどくとき風は言います強く育てと
○島田修二選(短歌研究8月詠草)
夕闇に溶けてしまひさうなアパートの窓明かりふわつと今灯りたる
○小島ゆかり選 >♪うたうクラブ7月王冠賞♪
じゃがいもの皮剥く時は考える我が人生のでこぼこのこと
○小島ゆかり選(うたう☆クラブ7月)
わやわやと話しの中に見えてくる一人ひとりの虹色の窓
○島田修二選(短歌研究7月詠草)
雨がふる海にはうみのその音で山にはやまの空にはそらの
○馬場あき子選(短歌研究6月詠草)
ひいふうみい花びら数へ占つた今年の春は元気だらうか
○加藤治郎選(短歌研究・うたう☆クラブ6月>双方通信)
やはらかな春の光の降る朝は Hey hey わ わ
わ と鳥たちも啼く
○松坂 弘選(角川短歌4月佳作)
この国の大きな時計かちこちと音を鳴らして何崩れゆく
○島田修二選(角川短歌2月佳作)
古代衣(きぬ)貝むらさきは鮮やかに海の底なる色紡ぎだす
○加藤治郎選(2002年3月短歌研究・うたう☆クラブ)
その命どこにあるかと尋ねられここぞと君の手のひら胸に
○小島ゆかり選(短歌研究・うたう☆クラブ)
宇宙にもホタルいるとふ闇の中なに語話して恋は始まる
白銀の世界にふたつの足跡をつけてみようか世の終わる日は
○小島ゆかり選(2002年短歌研究4月うたう☆クラブ)
大地なる名をつけられし子供ゐて土のしたから人生えるとふ
(2001年うたう☆クラブ11月)
アンシャンテ初めて君に投げキッス一時限目の仏語の時間
○伊藤一彦選(2000年 宮崎日日新聞)
ふるさとは小宇宙なる我が魂にあると知らされ旅仕度する
川あふれ山が火を噴く日本ならどこに行っても自然の公園