日常あるいは平穏な日々





今日は天気がいいから、散歩に行くにゃ。
外に出ると、心地よい日差しと心地よい風が吹いている。
風に揺れてシッポが揺れる。
「さて、どこに行こうかにゃ?」
ちょっと悩んで川のほうに行ってみる。
「ミャー」
壁の上から私を呼びかける声がする。
「あ、ミケ。
おはよう」
薄いピンクの色をした優しい目をした女の猫。
この町では人気のある女の猫。
「今日は風が気持ちいいね」
「ミャア♪」
「一緒に川のほうに行かにゃい?」
「ミャァ」
どうやら、誰かと待ち合わせらしい。
「じゃ、もう行くにゃ」
軽く手を振ってミケと別れる。

川岸に来ると、タイスケやトラ、マリたちがいた。
タイスケはこの町を仕切っている男の猫。
元は飼い猫だったが、主人が死んで野良猫になる。
トラとマリは双子の猫。
マリが姉でトラが弟。
他にもたくさん集まっている。
「みんな、おはよう」
「ミャー」
タイスケが顔をあげて答える。
他のみんなも一斉に顔をあげ挨拶をする。
「何の話をしてたにゃ」
今日はいつもより集まっている猫数が多い。
「ミャアミャア」
タイスケが言うには最近、交通事故が多いのでみんなを集めて 注意をしていたらしい。
私もタイスケから気をつけるように注意された。
「じゃ、散歩の続きをするにゃ」
手を振ってみんなと別れる。
そろそろ、夕飯でも買ってこようかな。
そう思って商店街へと向かう。

商店街は活気にあふれていて好きにゃ。
「あら、なるみちゃん。
新鮮なお魚が入ったから買っていかない?」
魚屋さんの前を通るとおばさんが声をかけてくる。
「ん〜、じゃ、買っていくにゃ」
「まいど」
おばさんは素早く魚を新聞にくるむと袋に入れて渡してくれる。
「また来てよ」
魚を受け取り、八百屋に向かう。
「産地直送の野菜が入ったけど買っていかないかい」
「うん、貰うにゃ」
「じゃ、サービスしとくよ」
おじさんはそう言うと野菜を詰めてくれた。
「また来てよ」
さて、買い物も住んだしそろそろ帰ろうかな。

帰る途中大きな声が聞こえてくる。
見るとアツとクロがケンカをしていた。
「ケンカをしちゃだめにゃ」
慌てて止めに行く。
かぷっ! カプッ! 止めに入ったと同時に両手を噛まれた。
「あうぅ」
私の声を訊いて慌てて離れるアツとクロ。
「みゃぁ」
と謝るアツとクロ。
「大丈夫、ちょっと痛いけど…それより、ケンカしちゃだめにゃ」
お互い、相手が悪いと言い争う。
「だめだめ、ケンカはしちゃだめなのぉ」

何とか仲直りをしてもらって家に帰ってきた。
なんでもない休日だったけど、楽しかったにゃ。



おわり




1周年記念ということで、ある日常の風景を書いてみたにゃ。
もちろん、この話はフィクションにゃ。
どうだったかにゃ?
次回また何かの機会があったら書いてみたいにゃ。




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