日常あるいは平穏な日々(5)





朝早くの仕事がしばらく続いていたので、一段落した今日も早い時間に目が覚めてしまったにゃ。
夏になったとはいえ、窓を開けるとこの時間は薄ら寒い風が入ってくるにゃ。
また寝直すのももったいない気がして、着替えて散歩に出たにゃ。
日が昇り始めたばかりなので、まだ薄暗く星も見えているにゃ。
川の土手のほうに行くと、こんな時間なのに散歩をしている人やジョギングしている人がいるにゃ。
そういえば以前出張で行ったところでも、海に散歩に出たら散歩している人やジョギングしている人がいたにゃ。
こういう風景は、どこも同じなんだにゃ。
あ、あそこにいるのは……。
「ひこ君!」
「あ、なるにゃん」
こっちに気がついたひこ君が、手を振って答える。
「朝早くから何してるのにゃ?」
「今、夏競馬の時期でしょ。だから、こうして朝の空気を味わって精神を研ぎ澄ましているんだよ」
ひこ君はそう言って、ニカッっと笑う。
それにしても、さすが競馬好き。競馬のためにそこまでするのにゃ。
「なるにゃんは、何をしてるんだい?」
「この前まで出張にいてて、向こうで早起きしていた癖で帰ってきてからも早く目が覚めたから、
 せっかくだから散歩しようと土手に来たのにゃ」
「へ〜、確かに生活サイクルが狂うと急には直らないよね。
 ところで、どこに出張していたの?」
「北海道だにゃ」
「お、いいな〜」
ひこ君がうらやましそうに、こっちを見る。
ふっふっふ。
「向こうでは、美味しい海の幸をたくさん食べてきたのにゃ」
「なるほど、だから少し丸くなったんだね」
「キィーッ! 丸くなってなんかないのにゃ!」
酷いこというな、ひこ君は。確かにちょっと気にはなってたけど。
「で、お土産は?」
「ジンギスカンキャラメルならあるにゃ」
「うっ、それはいりません」
「なら、あとでいつものところにもって行くから、来るといいにゃ」
オッケーと頷くひこ君。
そのとき、川の美奈もがキラッと光った。
「あ、日がだいぶ昇ってきたにゃ」
「本当だ。いつ見ても日の出はいいね」
ひこ君も同じほうを向いて、太陽を眺める。
この感じなら今日も晴れそうだにゃ。
「さて、そろそろ帰るよ。また後で」
ひこ君はまぶしそうにしながら、手を振って帰って行ったにゃ。
さて、私も家に帰って朝ごはんにするにゃ。
北海道での朝日も綺麗だけど、地元も綺麗だにゃ。
そんなことを思いながら、家へと帰ったにゃ。



おわり




遅くなりましたが、5周年記念にゃ。
5年経っていまだに3千台のヒット数は、ちょっとあれだけど、
来てくれている人がいるみたいなのでこれからもがんばるにゃ。
あ、もちろん、この話はフィクションにゃ。
登場する人物、団体などは実在の人物、団体とは関係ないにゃ。




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