口唇口蓋裂について > ハルトの場合 >  一回目の手術 

 1997年4月16日  初めての手術は生後4ヶ月目でした。
この時の手術は口唇手術で、裂けている左右の上唇を縫い合わせるというものでした。
手術は、午後3時頃から始まりました。全身麻酔でぐったりして手術室へ向かうハルトに私達はただ、 頑張ってね!頑張ってね!と声をかけてあげることしかできなかった。

 ハルトが手術室へ入ってからは、妻と二人、エレベータホールでハルトが帰って来るのをずっと待ち続けた。エレベーターホールには長椅子がいくつか備え付けられていた。そこには誰かが手術を終えて帰って来るのを待つ家族の方達が何組かいたが、その方達も1組また1組と帰り始め、時計が夜中の10時を回る頃には私達だけになっていた。それでもハルトは帰ってこない。私と妻は、エレベーターが上の階に上がって行く度に「今度はハルトだ!」と何度も思ってハルトの帰りを待ち侘びていた。

 手術が始まってから7時間程が経った頃、ようやく「今、手術が無事終わりました」と連絡があってエレベーターの扉が開いた。ハルトは寝台に横たわって疲れきった表情で帰ってきた。傷口を覆う包帯からは血がにじんでいて痛々しかった。ハルトの顔を見た瞬間、私達は涙してしまい、よく頑張った!と声にならない声で病室に戻る息子の姿を見送った。
待ちに待った挙句に、グッタりして帰ってきたハルトとの対面はホンの数十秒だった。思い起こせば、病院での待ち時間の割に診察時間が妙に短くなったのは、この時既に始まっていたのか!?(^^ゞ

 この世に生を受けて4ヶ月しか経っていない小さな命が全身麻酔で7時間も眠り続け、大人でも体力を消耗する長時間の手術をよく耐えてくれた!。ほんとに良く頑張ってくれた!ありがとう。その気持ち以外になにもなかった。


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 全身麻酔の影響で顔のむくみが残っていましたが、1、2日ですぐに治まりました。
唇が綺麗に縫合されていて、つぶれていた鼻も見事(!)に整形されていてまるで別人のようでした。
術後、3ヶ月くらいは、左右のほっぺを真中に引っ張る形でテープで止めて傷口を整えるように心がけていました。この間、ハルトは両腕に“抑制筒”をはめられていたので腕が曲げられずに不自由な毎日でした。これは、子供が手術したばっかりの傷口をいじったり、傷口を整えるためのテープを剥がしたりしないようにするための補助具で、市販品もあるようですがハルトの場合は、病院の薦めもあってお母さんが作ってくれました。
点滴を受けながらのミルクも、しばらくは鼻から通した管で50cc程しか飲めませんでしたが、術後8日目には点滴と鼻の管も取れてミルクの量も140ccまで飲める程に回復していました。

鼻の管が取れてからは、注射器の先(針をつける部分)にフィーディングチューブと呼ばれる管を取り付けた補助具を使ってミルクを飲ませていました。




 1997年4月26日  退院
11日間の入院生活からやっと開放されました。
術後のハルトの回復ぶりは至って順調でしたが、退院後2、3してお母さんがいつも傍にいてくれるので安心したのか、39℃の熱がでるという生まれて始めての「容態の変化」に新米お母さんと新米お父さんは少し慌て気味でした。
病院で診てもらうと、
「嘔吐下痢症」 という感染症だったらしく、手術とは何の関係もありませんでした。
しばらくして体調ももとに戻り元気が出てきたので、久しぶりに家族3人で近くの「昭和記念公園」へ出かけしました。


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 口唇の手術のあと、ハルトの口は表面的にはとてもきれいになりました。しかし、子供の成長は驚くほど早く、特に、軟骨でできている鼻は手術のあとも丁寧に矯正して行かないと変形していびつになってしまったりします。
ハルトの場合、鼻の形を整えるために、鼻の穴にいれて使用する
「レチナ」という矯正器具を約3ヶ月間使用しました。鼻の中に異物を入れられるのでハルトは最後まで(3ヶ月間)慣れる事はなく、落ちないように留めてあるテープを剥がしたり、付け外しの時は結構嫌がって暴れるので一人が両手を抑えて一人がテープで鼻に固定するという二人がかりの作業でした(ごめんねハルト。でもハルトの為だったんだよ!)。
手術の傷口を整えるための唇のテープは約2ヶ月ほどで取れました。その頃には、自分で哺乳びんを持って上手に飲めるようになっていて、私たちも少しづつ楽になりつつありました。


ごあんない
 Introduction
口唇口蓋裂のコーナーを作った事について切々と語っています(^^ゞ

 口唇口蓋裂とは?
口唇口蓋裂とはどんな病気かについて出来るだけ詳細に書いてみました

 ハルトの場合
ここでは息子の治療内容を取り上げて書いています。
「一回目の手術」では生後4ヶ月目で受けた口唇手術の様子を
「二回目の手術」では口蓋手術の様子を
「修正手術と今後」では三回目の手術となる唇の修正手術の様子をそれぞれページを分けてレポート形式にして見ました。


最近では,口唇口蓋裂をテーマに取りあげているサイトも増えました。親御さんが運営するサイトや既に成人なさった患者さん本人が運営するサイトなど、個人のサイトからは生き生きと明るい印象を受ける事がほとんどです。特に、患者さん本人が運営しているサイトを拝見していると自分の息子もこんなにたくましく育ってほしいとつくづく思うほどの力強さを感じます。このサイトを立ち上げる際にも、こういった方々のサイトから受ける影響は計り知れないものがありました。「お気に入り」のページからは独断と偏見で厳選されたホームページへお邪魔する事ができますので、是非,こちらもご覧になって下さい。

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