なかなかやるぞ!ナミテントウ

(2003・3・10 安芸市Y崎氏ハウスにて)



赤丸が害虫のモモアカアブラムシで、青丸がそのモモアカに
天敵のコレマンアブラバチが寄生してできたマミー
そして、二つ赤星のかわいいテントウムシがナミテントウの成虫だ。








アブラムシの天敵は自然界にもいろいろいるし
天敵農薬として販売している種も増えてきた。

安芸郡では、アザミウマ類に対してククメリスカブリダニを
主に利用する場合は、アブラムシに対しては、コレマンアブラバチ
のみを利用していた。圃場内でマミーが出来ていたら
あとは、ちょっと天敵の定着の方がアブラムシの増殖より
遅れそうな場合や、マミーにならないヒゲナガアブラムシ類
などが発生した場合などは、チェスを全面に散布すれば
天敵温存で問題なく防除できていたため、
アブラムシ対策は簡単だ!と考えていた。

一方、そのころ天敵利用の先進地オランダでは
アザミウマの防除は天敵で簡単に出来るが
アブラムシ類の防除が天敵利用では一番難しいのだ。
という話を聞いた。

なんで、あんなに天敵利用が進んでいるのに
アブラムシなんかが問題なのだろうと思っていたが
最近になって、安芸でもようやくその理由がわかってきた。
ククメリスカブリダニに加えて、タイリクヒメハナカメムシを
どんどん利用するようになってくると、
確かに、アザミウマ類の防除はカメムシが定着すれば大丈夫
だが、その定着途中や定着後もアザミウマを食い尽くしてしまって
カメムシの密度が低くなったときなどに、アブラムシ類が
増えてくると、それは、ただ圃場にコレマンアブラバチを入れて
いれば大丈夫!というような簡単なものではなく
なかなかたいへんだ!というのが本当にわかってきたのだ。

チェスがタイリクヒメハナカメムシに影響があるために
チェスの全面散布はできるだけしたくないわけで
わずか、一回の殺虫剤散布ができない!
それだけのことで
コレマンが防除を最も得意とするモモアカアブラムシですら
発見が遅れた場合や、コレマンの導入が遅れた場合
さらに、コレマンが定着してマミーだらけになっていても
マミーに寄生する2次寄生蜂(高次寄生蜂)(天敵の天敵)
が入った場合などなど、たちまち対策に困るのである。

コレマンの導入と定着が、アブラムシの増殖に遅れないようにする
には、バンカー法の利用が最もいい方法だ。
さらに、ナスやピーマンでは、キュウリやスイカを植えておくと
ナスやピーマンより先に、キュウリヤスイカで
ワタアブラムシが発生する場合が多いので
そのおとり作物を利用する手を推進している。

それから、マミーにならない
モモアカ、ワタ以外のヒゲナガアブラムシ類が
発生した場合も、コレマンだけではどうしようもない。

その切り札が
導入天敵では
ショクガタマバエと、このナミテントウと、クサカゲロウ
ということになる。
実際のハウスでは、ヒラタアブの活躍が目立つのだが
なかなか単体でピシャっといく決め手はないので
いろんな虫がバランスを取ることが一番安定するようである。

その状態の一つが、このページの冒頭の写真ということだ。



これが、ナスの葉に産み付けられた
ナミテントウの卵




これがナミテントウの幼虫
だいぶ大きくなったところで
卵から生まれたての幼令は形は同じだが
もっともっと小さい
これくらいの大きい幼虫は、とにかくムシャムシャと
なんでもよく食べる。



これは幼虫の脱け殻



これは、蛹の状態




すごいなあと思ったのは、これで
トマトだかマメだが知りませんがハモグリバエの幼虫
に張り付いて、葉の上からムシャムシャ食べておりました。


まあ、とにかく
今のところ、キャッツアグリシステムズより
販売されるようになり
100匹で7500円くらいと
なかなかお高い天敵ですが・・・
なかなかやるもんです。

Y崎さんところでは
ジャガヒゲが発生した所へスポット放飼して
そのジャガヒゲのコロニーは完全に消滅したようです。
それから、モモアカの大きいコロニーにまた放飼をして
さらに、そのジャガヒゲのところで増えた幼虫などを
自分で捕まえて移動させて、
更に、ハウス回りの雑草などにわいた、普通のナナホシテントウ
なども卵や親を捕まえて防除に成功しているようです。
もちろん、バンカーでしっかりコレマンが増えており
どっさりマミーがちゃんとあるというのは必須条件でございます!

正面からみたらなんかお目目になっていてかわいい。



ちょっと色がうすいやつ





幼虫の段階でわきの両側にオレンジのラインが
二つあるのがナミテントウらしい。
ナナホシテントウは違うらしい。





おまけ


しっかり定着した
タイリクヒメハナカメムシが
アブラムシのマミーから出てきた
コレマンアブラバチをプシュっと刺してしまったところ!


ああ、ハウスの中の生態系って
ほんとにおもしろいじゃないか!!




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