2010年11月17日(水)


本日もアルメリアでお目覚め
靴下を洗って
外に干していたら
なかなかよく乾いていた。



我々の自費旅行訪問が
ジャポンからの公式訪問みたいな感じで
アルメリアの新聞に紹介されていた。

エロ親父さんがバッチリ写っている。

それから
エルヒド市の副市長さんからは


1kgいや2kgくらいある
記念の楯もいただいた。

今日の新聞には

昨日農家さんが言っていた
ナスがとても安値になっていることが
新聞にど〜んと出ていた。

農業新聞とかではなく
これは普通の一般地方紙なので
いかに園芸が大事なのかが
よくわかるのであった。

ということで

アルメリアの
ホテルは4連泊だったので
楽で快適だった。

本日は3日目の朝
それで
ホテルの前まではバスは入れないので
毎朝
ホテルを出て
ちっちゃい小道を通って
大通りへ出て
バスを待つのだが

この3日間
ちっちゃなドラマがあって
これが、なかなかおもしろかった。


この写真は2日前の15日の朝

歩道を歩いて行く人達は
学校へ行く学生さんとか
通勤の人とかが中心だが
このオープンカフェが8時前から
オープンして
私たちはいつも
このカフェの
隅っこの方で
バスを待っていたわけだが


この写真は17日

このおじいさん達
毎朝
一人づつ集まってきて
必ず5,6人
いつも
この席に座って
新聞を読んだり
雑談をしたり
・・・
それで、
そのうちの
一人か2人だけ
カプチーノとか
ちっちゃいケーキみたいなやつとか
頼んで食べている人がいたり

実に
のんびり
いい雰囲気なのであった。

1枚目の15日の写真の時は
出発が少し早かったので
まだ、おじいさん達は来てなくて
バスを待っているうちに
1人来て2人来て
わたしらがわいわいバスを待っているのを
気にするでもなく、他の席には座らず
わたしらの前の席にニヤッとして座るので

なんでこのおじいさんらは
空いたところいっぱいあるのに
ここへ座るのかなあ
とみなで不思議がっていると
昨日の朝も
おんなじで
今朝もおんなじ
なのであった。

今日は
おばちゃん
みたいな人も
一人来て
いろいろおじいちゃん方に話をして
去っていった。

おじいさんらは
何時まで
ここで
座っているのかはわからなかったが

とにかく
3日間
みなさん
毎朝の日課のようで
なかなか
オシャレなのであった。

もう1日あったら
我々がこの席に
先に、座っといてみようか!とか
いや
やっぱりこの席は悪いので
となりの席でどうか!
とか
みなで盛り上がりながら
バスを待っていたのであった。

ということで

本日は
アルメリアから
エルヒドの方とは反対方向で
空港の方に行って空港を越えて
さらにもうちょい行ったところへ
ゴー

エル・エヒド程は
ハウスが集積していないが


ちょっと街を抜けると
こんな荒涼とした風景も
そこらにある。

それでも
G村くらいハウスが集積したところが
あちこちあったりして

また
だんだんハウスど〜んみたいな
地域へ来た。

本日は
有機農家さんへ訪問
3人兄弟で
だいたい100haくらいの有機トマトを
作って、出荷場も自分の施設で輸出までしている方。

数年前までは
別の会社の経営者で
慣行のIPMでもっと大きな規模で
たくさんの農家をかかえて
出荷輸出販売までやっていたが、

その会社を抜けて
もっと有利な販売を
有機に特化して目指すために
自分で独立したという。

毎年売り上げは
伸び続けているが
今、新しい出荷場の建設も予定しており
投資もいっぱいしているので
今度、あなた方が来た時には
どうなっているかわからないよ。

ホントのことなのか、謙遜なのか
わからないが、
いずれにしても
この地域の中でも
かなりのチャレンジャーで
頑張っている経営者であることは
Tセンセイのお墨付きなのであった。



いろいろ話を伺ってから

まずは
選果ラインへ


有機の認証の中でも
けっこう厳しい規格の認証を取得している。

ハウスで有機でもOKだが

トマトだけの栽培では認めてもらえないそうで
出荷のメインは100haのトマトだが
有機の認証を取るために
キュウリやいろいろ他の品目も
作っているそうだ。
ようは、ずっと連作ではなく
輪作を取り入れているということが
必要ということか

この話を聴いて
びっくりした。
私は実は、天敵がバッチリ定着してきた
H12、3年位から
そんな考えを持っていて

当時から
このままIPMがどんどん進んでくると
絶対、限りなく農薬はゼロになってくるが
単一品目でIPMのままでは
いつまでたってもほんとのゼロにはならないわけで

その一線を越える必要があるのかないのかは
わからないが
篤農家の中からは
絶対、やるなら有機まで行きたい!
という人は現れてくるわけで

そうゆう人が
どうしたらいいか
考えていくと

病害虫からみても
土からみても
作物からみても
出荷流通販売からみても

単一品目で
勝負の産地よりは
ナスならナス、ピーマンならピーマンで
メインの品目は持ちながら
他のいろんなバラエチーも
持っている農家、産地
やれる農家、産地と
なっていくような方向に行くのではないか
という気がする。


例えば
生産でいうと
今は
ナス農家30a単作だが

例えばナスは20aだけにして
あとの10aはいろいろ百姓する。
そして、それを順番に輪作していく。
みたいなやり方

逆にいえば
有機農家さんも
少量多品目のまんまでは
いつまでたっても
家庭菜園の延長になってしまう場合が多いので
やっぱりメインとなる柱となる
品目は一つ二つ持つようになっている

となると
両者は限りなく
近づいてくる

実際は
ゼロか1かの差は
かなり大きいのだが

IPM、IBM・・どちらでもいいが
天敵利用農家の場合は
最初からバイオロジカルベースなので

そのへんまでホントに行き着いてきたら
有機はグンと近くなるのじゃないか。
と思うのであった。

もちろん生産だけ変えても
出荷できないので集出荷場も
今までどおりメインの品目を効率よく
選果箱詰め出荷対応できないといけないが
一方で他の雑多のバラエチーも集めて送れる
出荷場にならないといけない。

今、目の前にいる
100haの有機農家さんと
彼の出荷場は
まさに
そんな
今の高知の取り組みが
行き着いてきた先に
変わっていくかもしれない方向に
近いような
内容にすでに
なっている
・・・

ということで
どうなるかは
誰もわからないが
オランダのビヨー社もすごいが
ここはここで
なかなかのトマト農家さんなのであった。

この農家さんは
産地を先取りして
有機までやっているわけだが


アルメリアの農業のすごいところは
IPMが100%となった今の段階で
技術的には有機にまで転換することは
今すぐにでも決して不可能ではないが

まだ、流通のニーズとして
全体が転換して有機で売れる状態ではないので
やらないそうで、

今は有機は1000ha程度だが
もし、もっと増やしても
高く売れるのであれば
即対応して転換するよ!
という準備と考えがある
ところだ。



販売担当さんのオフィース
オープンだ




外観は古い建物だったが

中身は素晴らしく
衛生管理、品質管理は徹底されていた。


設備的には
新しい分
昨日の集出荷場が
素晴らしかったが

労務管理でいえば
ここが最も
厳しく徹底されているような感じだった。


もちろん
いろんな品種で
売り先によって
いろんな荷姿に
対応

産地のニーズで
出荷を分けるのではなく
売り先に応じて
対応しているところは
根本的に今の日本の古い産地とは違う!




ということで
いろいろ見せてもらって

ハウスへ行く前に
コーヒーを飲んで休憩するついでで
せっかくなので
うちのトマトを食べていけ

ということで



経営者の方のおじさんがやっているという
レストランに
3品種くらいのトマトを持ち込んでくださって
みんなでいただいた。


十分おいしかった。


生食のトマトのうまさは
これ、我々はやっぱりどうしても
トマトだけは高知のトマトの味が
ずばぬけて一番なのは
間違いない。

ということで
トマトをいただいてから
実際の有機栽培ハウスへ



おそらく一つ目のハウスは
100haの栽培ハウスのうちの
最高のハウスなのだろう

今回訪問した中では、最もでかくて新しい
5haの大型ハウスだった。

なんと
バスで進入して
社長がリモコンで
ビーとハウスの扉が開き

なんと
ハウスの中へ
バスがそのまま
入って行ける!
のであった。


オランダでもここまではないぞ

中間気候室になっていて
バスがそのまんま入れる


あれまあ・・・
という位広い
これでも
通路だけなわけで
ちょっとハウスがもったいない
・・・
が、土地もハウスも安いので
問題ないのだろう
・・・


扉があくと
換気扇がグワーと回るようになっていて
外から害虫等が
進入できないように
徹底されていた。


すごい規模です。


このハウスは
ワイヤーの水平張りではなくて
アーチ型
対風速は35m
この型で
300万以下で余裕でできるというから驚く



ハウス内に入ると
土は畝ナシで
今まで見てきたところと同じ


表面は荒い砂というか小さな礫というかで
ドリップ灌水

白く見えるのは
ウドンコ対策のイオウ


仕立ては主枝のみで
至ってシンプル


慣行のIPMでも
殺虫剤はどこもほとんどゼロなので
ようは
殺菌をゼロにすれば有機になる

現段階では
どうしても病害はゼロではなく
20%程度慣行よりは少ない収量となるそうだ。



メチャクチャ低コストの一般的なワイヤーハウスと
比べると、だいぶ高くなるわけで
わざわざ投資して
こんなにいいハウスにするメリットがあるのか?

と質問したところ
ワイヤーハウスは
天窓の換気率が悪いそうで、
このハウスは最新で写真のとおり
天窓がとても大きく
換気効率が良く
夏場の温度が全然違うので
作期を遅くまで引っ張れる
メリットがあるそうだ。

なるほど。
それからやはり
バイヤーさんとか来た時に
こういういいハウスで
バリッとした作を見せれる!
というのも大きいのじゃないか
と思った。


遮光カーテンもあるので
かなり夏対策がしっかりできる模様


加温と収穫車用のレールが見あたらないので
どうやって収穫や作業をするのかと思ったら


タイヤ付きの
レールなしで自走できる
収穫車が用意されていた。


高知の場合は
台風の浸水対策もあって
どうしても畝がいるわけだが

水がこないハウスなら
ここまで徹底して
畝ナシ栽培28000ヘクタールを
見せられると
畝なんかほんとはいらないのでは・・・
と思ってしまうのであった。


ハウスの一部に
トマトが枯れているところがあって
そこにはナスが植えられていた。



雇用さんは
ルーマニアからの方が多いそうで


作業はシンプルに徹底されているので実に早い
なんせ
ここでも
1人あたり1haこなさないといけないので
手を入れまくっているヒマはないのだ。


天敵は
ネッシー(タバコカスミカメ中心)

タバコカスミは
日本では
トマトの害虫ということに
なっているので
天敵として登録はムリと言われているが
・・・
こちらでは
今はどのトマト農家さんも
当たり前に使えて
楽〜に
害虫管理ができている

害虫って何よ?
天敵って何よ?
農取法は
ほんとに早く
グローバル・スタンダードに改正してもらいたい!

ということで
ハウスを出て
ハウスの裏へ回ると

オシャレな
パートさん専用の寮があった。

寮は無料で
食事は自由に自炊できるらしい。

Kくんは来年ここへ
研修生!
おっさん連中私設人事委員会が決定した。


それから
液肥混入する倉庫が左


オーガニックで
ドリップできる肥料がちゃんと揃っているのが
いいですね。


そして
ちょっとショック
ちょっと感動
だったのが
このハウス

面積は1aくらい

なんと
天敵用の温存ハウス!
でした。
これだけで
5ha分の
ネッシーなどを賄っているとのこと
・・・


中はほとんどナス


それから
ピーマンもちょこっと

それから
麦バンカー


ちゃん〜んと定着

普通のIPM農家では
まだここまではやってないが
さすが有機農家になると
ちゃんと、すでに
やることはやっているのでありました。

一応
高知の方が
数年早くからやっているようで
とりあえず
面目は保った!
のでありましたが
やはり
ライバルは世界
切磋琢磨して
頑張りましょうぞ!


ということで
ハウスの構造のことを
いろいろお聞きしたりしたもので
じゃあ別のハウスも見せてあげる
ということで


ちょっと離れた別のタイプのハウスにも
案内してくれた。
また、だだっぴろいところで
まだまだハウスいくらでも建てられる感じ・・・


ちょっと通り雨が降ってきて
貴重な雨の経験もできてよかった。


こちらのハウスは
高さは先ほどと同じくらいで
かなりの軒高

アーチではなく
ワイヤー式の大型ハウスだった。
しかもラック型の天窓

このタイプでも35mは大丈夫とのことだった。


ハウスメーカーのYくんに
来てもらっておけばよかった。

やっぱり
またスペインも
ツアーをやらないとダメか
・・・


トマトの木の状態は
病気の発生含めて
一番いい感じだった。


今日も結局
2時近くまで
ほんとに親切に
いろいろ全部見せてもらって
つきあってくださった
有機農家さん(右)と
みなで記念撮影
どうもありがとうございました。


ということで
初めての
スペイン訪問

どんどん伸びている産地
28000ヘクタールを
わずか4年で全部IPM
天敵利用にした産地
アルメリア

農業視察は
無事
とりあえず
エンド

となったのであった。

4,5年前から計画はしていたものの
どうやって、どこを訪問していいのやら
情報があまりにもなく
わからなかったところが

Tセンセイと出会って
おかげで
半ば強引に
結局、一緒に訪問させていただくこととなり
また言葉もできる
Iセンセイと
さらに
英国通の
Yセンセイと
三名のセンセイ方に
たいへんお世話になりました。

また、1999年のオランダ訪問から
ず〜〜〜とお世話になってきている
AリスタのKブチョーにつないでもらって
訪問できたナス農家さんも最高だったしで

また、お世話になった
コーデイネート・通訳等々の
Sさん
皆さんに感謝感謝なのであった。

それから
物好きにも
メール一本で
訪問団に参加してくれた
我々農業職の先輩後輩仲間の皆さん
にも感謝感謝なのであった。

そして
ホントは今回は
オランダの初訪問の時のメンバー
えのちゃん、みっちゃん、私
の3人一緒で
スペイン初訪問も実現したかったが
えのちゃんは留守を預かってもらって
みっちゃんと私だけの訪問となってしまったが
農水改良のファミリー一族にも
感謝感謝なのであった。


ということで
生産形態では

家族経営農家

家族経営+雇用農家

大規模企業経営農家

品目別

それから
出荷場も3パターンと
とりあえず
特徴的なところは
だいたい見せてもらったので
Tセンセイも今まで
行けなかったという

アルメリアお勧めの
美しい映画ロケ地
など
見に行こうじゃないかということで
午後の部
となるのであった。
午後の部へ




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