祝 成瀬巳喜男 ホームページ


私は成瀬の映画をたくさん観賞(み)てはいないどちらかというと小津派である。
でも、明らかに成瀬が小津に勝っていることがある。それは空気だ。
成瀬の映画は空気がとてつもなく綺麗なのだ。
小津はまるで絵画と錯覚するほど空間を美でまとめている。
しかし、そこには観賞側を圧倒するような空気は存在しない。登場人物が死なない
程度の空気しかない。成瀬の映画は空気が見えるのだ。
澄んだ綺麗な、おそらく庶民が暮らしていたそのままの空気が画面に溢れている。
「浮雲」があそこまでけだるいのは森雅之の芝居の凄さよりも成瀬の描く空気の
所為だ。
その他、「めし」はたまらなくなる夫婦の間を綺麗な空気が救っているし、
「まこごろ」の場合は暖かい空気で話を実に閑かな感じにしている。
これだけ空気を扱える監督を私は他に知らない。
言うなれば、成瀬巳喜男は空気の巨匠なのだ。

このページを提供する人はどんな人物か皆さんは知らんだろうが、
成瀬を愛しているのであるから、絶対に信じてよろしいのです。
それに邦画は面白いよと立川志らくに教えてくれたのも実はこの人なのです。

何であれ、成瀬のホームページが出来て嬉しいかぎりでござんすな。

立川 志らく

私が最も敬愛する落語家 立川志らく師匠から、私のホームページ開設へ寄せてこんな素敵な格調高い文章をいただきました。志らく師匠、本当にありがとうございました。
なお、文章の著作権は立川志らく師匠に帰属します。文章の無断転載は固くお断りいたします。


成瀬監督関連ページへ戻る