2002.2.22
成瀬作品のスタッフについて


成瀬作品の素晴らしさには、成瀬組と呼ばれる美術、撮影、照明、録音、脚本
その他の数多くのスタッフの仕事が大きく貢献しています。
その一端を紹介します。


1.美術監督 中古智(ちゅうこ・さとし)

 成瀬作品において、屋外のオープンセットや室内セットの設計
 等、美術全般を担当した美術監督です。
 成瀬作品の「めし」「山の音」「流れる」などを観た時に
 登場する住宅や長屋を観て、「当時の町並みはこんな風だったんだ」
 などと漠然と感じていましたが、実は建物の多くがロケーションではなく
 オープンセット(撮影所内などの屋外に建てたもの)と知ったのは、
 中古美術監督へのロングインタビュー書である 
 「成瀬巳喜男の設計」(中古智/蓮實重彦)筑摩書房でした。
 詳細についてはこの本を読んでもらえばと思います。
 凄い点は、ロケーション風景からセットに画面が移った時に
 ほとんどその差を感じない点です。つまりロケーションかセットかわからない。
 もちろんこれは美術セットだけでなく、撮影や照明などの技術も
 職人技として優れているからでしょう。

 私にとっての成瀬作品の中古美術監督ベスト10は以下のようになります。

1.流れる
2.山の音
3.めし
4.晩菊
5.浮雲
6.放浪記
7.乱れる
8.驟雨
9.コタンの口笛
10.杏っ子


先日、故中古智さん(1994年8月6日逝去)のお宅を訪問する機会がありました。
その際、ご家族より成瀬作品を中心にロケハンの写真や撮影風景写真、など多数見せていただきました。
当ホームページでの使用をお願いし、写真の一部をお借りすることができました。
その貴重な所蔵写真の一部を特別公開します。
中古さんのご家族のご厚意に心より感謝申しあげます。

なお、下記の注意点は必ず守っていただくようお願いします


<中古家の所蔵写真一部公開>



「乱れる」の舞台となった山形・銀山温泉での
美術監督 中古智氏
(上記本のP287にも使用されています)



「乱れる」の山形・銀山温泉のロケーション撮影風景




「乱れる」で高峰秀子と加山雄三に何かを指示している
成瀬巳喜男監督
写真を見る限り、ロケ場所は静岡・清水市

このページの写真や画像等は、故中古智氏のご家族のご厚意
により、当ホームページ管理者が当ページのみの掲載をご許可
いただいたものです。写真・画像等一切の無断掲載、コピーなどの
行為は、固くお断りいたします。(当ホームページ管理者TH 2002.2.21)


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