11月23日、Mさんと一緒に、高槻で活動している「TKK自然観察会」の定例の観察会に参加しました。今回は和歌山大学名誉教授で植物が専門のT先生の案内で秋の植物の観察です。
9時半にJR高槻駅に集合、参加者は20人余はいました。10時過ぎにバスに乗り、10時半ころ川久保で下車。それから、ゆっくりゆっくり歩き始めます。
まず着いたのが、諏訪神社。なにか秋のお祭りのようで、たき火がたかれ、雅楽のような音色も聞えてきます。ここに、高槻の古木の1つの大きなケヤキがあり、それに触ってみました。木の正面の外側の皮が根元から高さ2mくらいまで両側に大きくめくれて、中央部の木の幹の木肌が露出しています。木の直径はたぶん1.5mくらいありました。
その後、水無瀬川沿いにポンポン山(京都市との境にある700m弱の山)のほうに向かうコースを進み、途中からその道からそれて本山寺・神峯山寺に向かいました。5km余のコースを、回りの目につく草木について先生から説明してもらい、またしばしば皆さんと一緒に葉っぱや実などいろいろ触ったりしながら、4時間くらいはかけてゆっくり歩きました。途中で皆さん好みの落葉を拾い、昼食の後、集めた落葉についてわいわい言いながら先生も一緒に分類したり説明してもらったりもしました。以下に、私が触った植物の葉や実などについて書きます。(文章をまとめるのがだいぶ後回しになって、記憶が薄れてラフなまとめになりました。)
キリ:葉と実に触りました。葉はかなり大きくて内輪のような感じでした。裏に毛が密生していて、まるで毛布を触っているみたいでした。実は長さ3cm、直径2cmくらいの大きさで、2つにきれいに割れて、中には触っては分からないくらい細かい粉(種子)が入っていて、ふっと息を吹きかけると煙のように飛んでゆきました(皆さんはその微粉をルーペで観察していました)。
ケヤキ:葉や実の付いた折れた枝先に触りました。細い枝先に長さ4、5cmほどの細長い葉(回りは鋸歯になっていた)が互い違いに5、6枚付いていて、その葉の間に直径5mmもない小さな実がありました。枝先が折れて、葉が羽のようになって、風に飛ばされるようです。
タカサゴユリ:実に触りました。長さ10cmほどの縦長の筒状になっていて、先が三つに分かれています。それを逆さにして手に受けたら、中からたくさん、5mmほどの大きさのとても薄いさらさらした感じの羽のようなのが落ちてきました。この羽のようなものに種子が着いていて、ふうっと息を吹きかけるとみんな飛んで行ってしまいました。
ユズ:葉に触りました。ふつうのユズの葉の根元のほうに、長さ2cm、幅5mmくらいの小さな葉のようなものがあります!これは「単身複葉」とか言われるもので、複葉だったころのなごりだとか(ミカン科の植物ではこのような形はよく見られるらしい)。家に帰ってから小さな庭にあるユズの葉を触ってみました。多くはふつうの葉の形(単葉)ですが、まだ若い、十分に成長していないような葉ではふつうの葉の根元の葉柄のあたりがこのような形になっていました。葉の成長に連れて、単身複葉からふつうの単葉に変化するのかもしれません。
アオツヅラフジ:果実、核、種子に触りました。果実は直径6、7mmくらいで、軟らかくてなんかおいしそうに思い、ちょっと口の中に入れてみました。甘くはなくてちょっと刺激があるようでおいしいとは言えませんでした。その軟らかい果実の中には、堅い丸い核があり、さらにその堅い核を割ってみると、5mmほどのちょっと平たいうねっと巻いたような形の種子がありました。これはまるでアンモナイトのような形に見えるようで、皆さんびっくりしていました。
コナラ:葉とどんぐりに触りました。葉は形がちょっと変っていて、先端から3分の1くらいの所がいちばん幅広くなっています(ふつうは、中央からやや下がいちばん広くなっていることが多い)。どんぐりは長さ2cmほどの細長い形でした(ほかにもシイなど数種のどんぐりを触りました。名前を忘れてしまいましたが、お尻の所がぺこっと凹んでいるどんぐりもありました)。
ナギ:実と種子に触りました。実は直径1cm余の丸い形で、表面に少ししわしわがあります。実の回りの皮を剥ぎ取ると、とても堅い丸い種子が出てきました。ナギは裸子植物のマキ科の常緑高木で、しばしば神社などにも見られ、とくに熊野三山のの速玉大社のナギの巨木は有名で、熊野権現の御神木になっているそうです。
ウラジロ:触ってすぐシダの仲間だと思いました。茎から左右対称に長さ50〜60cm、幅15cm余の葉のまとまり?が伸びています。それぞれの葉のまとまりは、中央に長い軸があり、その両側に羽状に10cmほどの小さな葉?が斜めに付いていて、その小さな葉もさらに細かく分かれています。うまく表現できませんが、全体の形も触りごこちもとてもいい感じです。茎から大きな葉のまとまりが分岐する所には芽のようなのがあり、これは来年の葉の芽だそうです。(今年の葉の下には昨年の葉、その下にはさらに1年前の葉という風になっているようだ。)また、この茎からV字型に分かれたウラジロをグライダーのように飛ばす遊びを皆さん市始めました。私もちょっと試してみましたが、ぜんぜん飛びません。葉先を短くして形やバランスを整えるとうまく飛んでいるようでした。
*私はウラジロを家に持ち帰り、コップに入れて時々水を代えていました。10日ほどすると、乾燥のためなのでしょう、全体に葉がやせ細ったような感じになってきましたが、小さな葉の先がみんな内側にくるうっと丸まってきて、全体になかなか良い形になってきました。ウラジロは正月飾りにもなるらしいとのこと、なるほどと思いました。
ツチグリ:ある方が山道の土の上に露出している直径6、7cmほどの面白いものを拾って、触らせてくれました。表面は湿った感じで、へんなきのこ?かと思いました。これは「ツチグリ」と呼ばれるきのこで、中央が割れて星形に広がり、中央には袋があってその中に胞子が入っているそうです。星形に開いた殻は雨などで湿ると外に開き、乾くと内側に縮まって袋を押して中の胞子が袋の先端にの小さな穴から煙のように出されるとのこと、うまい機構になっているようです。ツチガキ(土柿)とも呼ばれ、若いものは食用になるそうです。
ハカマカズラ:葉に触りました。幅7、8cmほどの幅広の葉で、先の中央が大きく裂けていて両端が3角形にとがっています。この全体の形が袴に似ていることからの命名だとのこと、納得です。
バクチノキ:葉に触りました。長さ10数cmの細長い葉で、回りにとても鋭い鋸歯があります。全体に硬い感じで、葉の根元のほうはやや肉厚になっていました。(樹皮が鱗片状に剥がれ落ち、その様子を博打に負けて着物が剥がれていくのに例えて名付けられたとか)。
ケンポナシ:長さ10cm余の幅広の葉で、葉が始まる前、葉柄の所で葉脈が3つに分かれていて、そのまま葉に続いています。
テイカカズラ:長さ6、7cmの分厚い円形に近い形の葉で、ぶつぶつしたような模様がありました。
(2016年12月10日)