明石天文科学館の観望会に参加しました

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 12月11日、明石市立天文科学館の観望会に参加しました。見えない人が観望会に行ってどうするのだろう?と思われる方もおられると思いますが、私はもともと星が好きですし、参加した人たちがどんな風に見えているのか、見ているのか、その様子を聞いて私もそれなりに想像し少しは楽しんでいます。これまでにも2回くらいは観望会に参加したことがあります。
 明石市立天文科学館では月に1回くらい観望会をしているようです。2週間前までに申し込み、定員20名で抽選制です。今回運よく抽選に当たって参加できました。市街地にある天文科学館なので、星を見るには適していないでしょうが、どんな風に実施しているのかにもちょっと興味がありました。ホームページによれば、今回は、月、天王星、すばるが対象になっていました。
 受付は6時半からで、それに合せて天文科学館に向かったのですが、科学館近くの道沿いに、表面に星座が浮き出しになった石材がいくつも並んでいました。星の明るさで星の円の大きさが変えてあり、星座線もよく分かります。ふたご座、りゅう座、わし座、はくちょう座、しし座、おおいぬ座、へび座とへびつかい座、ペガスス座など触りましたが、その日に見ることになっているすばるのあるおうし座には会うことはできませんでした。
 受付を済ませてからしばらくすると、スタッフの方が『ホシオくん 天文台へゆく』の点図だけを抜粋した冊子を持って来てくださいました!そしてその日に観ることになっている月や天王星、すばるなどの図の所に付箋をつけてくれていました。思いもかけない配慮で、ちょっと感激でした。
 観望会は7時に開始、1班と2班に別れ、私たち1班はまず16階の観測室へ(2班は4階の日時計広場へ。その後場所を交代する)。16階の観測室には40cmの反射望遠鏡があり、まず準備です。若いスタッフの方が屋根を開き、望遠鏡を(天王星の見える南の方向に)回転させ、望遠鏡の蓋を開きます。そして天王星がうまく入っているか確かめます。その後参加者1人1人が望遠鏡を覗き込みます。参加者は、私たち以外はみなさん親子連れで、とくにお父さんと子供の組が多かったです。すぐにはうまく見えないこともあるようで、「見えるか」「どんな風に見えてる?」など声が聞こえます。青ないし水色っぽく、とてもきれいに見えるそうです。薄青っぽく見えるのは、天王星の大気中にあるメタンの雲が太陽光の赤色側の部分を吸収しているためだとのことです。(天王星の最大光度は5.7等ということなので、条件がよければ肉眼でもかろうじて見えるということになります。)
 その後、時間があるので、スタッフの方が、月と木星のどちらを見ますか、と参加者に尋ね、木星を見ることになりました。(木星は南南西に見えて、天王星の近くに見えているようだ。)また順番に見て行きます。縞模様がぼんやりと見え、また木星の4個のガリレオ衛星もしっかり見えているようです。木星から左斜め上に4個の点点がほぼ一直線に見えているとか。4個のガリレオ衛星は公転周期がそれぞれ大きく異なっているので、4個が木星から一直線に見えるのはかなり運のよいことのように思います。
 (各ガリレオ衛星の木星からの距離と公転周期は、内側から外側へ順に、イオ:42万1800km、1.77日、エウロパ:67万1000km、3.55日、ガニメデ:107万520km、7.15日、カリスト:188万2940km、16.69日。)
 
 その後場所を交代し、私たちは4階の日時計広場へ。ここには小さな望遠鏡が数台あって、それぞれスタッフの方が調整して、月や木星や土星、さらにすばるなどいくつか恒星を観ました。
 その日は月齢が7くらいで、ちょうど半月(上弦の月)。右側半分(西側)が見えているようです(上弦=上が欠けて見えるのは月が沈むころ)。半月の縁あたりで月の地形のぎざぎざが見え、クレーターもよく見えているとか(満月の時よりも半月のほうが、月の地形やクレーターはよく見えるそうです)。また、月の模様(黒っぽい海の部分)もよく見えているとのこと。私も月の点図を触ってうさぎの耳のような模様を確かめてみました。木星の縞模様は、見えたり見えなかったりのようです(一時的に薄雲がかかったりしていました)。土星の環はよく見えていたようです。
 すばるは、6個ほどの大きな星の集まりとその回りにちらちらと小さな星が見えたそうです(すばるはおうし座の肩あたりにある散開星団で、若い星々)。その他、カペラ(ギョシャ座)、ベテルギウス(オリオン座の左上)、リゲル(オリオン座の右下)、フォーマルハウト(みなみのうお座のα星)に望遠鏡を合わせ、見ていました。星によって色の違いがあり、それは表面温度を反映していることを示したかったようです(カペラは黄色っぽい、リゲルは白っぽい、ベテルギウスは赤っぽいということだが、言われればそうかなというくらいで、色の違いはそんなにはっきりとは見て取れないようだ)。
 
 今回の観望会は天候にもめぐまれ、月や惑星、それに1等星を中心に明るい星々を皆さん楽しんでいました。私も皆さんの反応を聞きながら頭の中で想像をふくらませて楽しみました。
 
*翌日の午前には、明石城跡にある明石公園を散策しました。(明石城は徳川家康の外孫に当たる小笠原忠真が1618〜1620年に築城したもので、天守閣は設けず櫓だけだとのこと。)城のすごい石垣に触れたり、いろいろな樹木に触りました。中でもよかったのが、名前は分からなかったが、私の木彫の「住み家」をちょっと連想させるような、変った大きな樹。根本付近が両側に開いたほらのようになり(反対側まで貫通している所もあった)、その上の斜めに伸びる大きな枝もまるで滑り台ないし筧のように両側に開いて中央がへこんだ路のようになっています(下の幹のほらの部分では開いた片側が内側に巻き込んで円い細い木のようになっていた。木の修復力で中心部を再生させ、生き延びているのだろう。)その他、クロガネモチ(枝が水平に伸びた先で垂直に上に伸びていた。先のとがった細長の楕円の数枚の葉の付け根に小さな赤い実があった)、カリン(幹がぼこぼこしていて、円錐形のとげのようなのがあった。バラ科だとのこと)、白骨松(ふつうは白松と言う。松はふつう細い葉が2本で1組だが、この松では3本で1組。名前は、樹皮が剥げて白っぽいことから)などに触りました。また、1つの同じ所から3種の異なる木(モッコク、クロガネモチ、もう1種は名前が分からない)が生えているのはとてもふしぎでしたし、アラカシの丸いどんぐりが多量に落ちてまるで地面がベアリングで敷き詰められたようになっていたり…、晩秋の自然を楽しみました。その後、隣接する明石市立文化博物館にも行きましたが、コロナ対策とかで本来触れられる物にも触れられませんでした。
 
(2021年12月17日)