いきもの☆いろいろ

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 毎週日曜日朝、NHKで5時半過ぎから「いきもの☆いろいろ」が放送されています。いろいろな植物、魚、昆虫、鳥などについて、各専門家の方とアナウンサーが対話形式で解説します。とくに、写真やときには実物資料を持ち込んで、それらを見たり触ったりしながら解説してくれるので、リアル感もあります。
 だんだんとあちこちに出かけて植物などに触れる機会が減ってきたので、私にとっては居ながらにして楽しめるよい番組です。しばらく前からメモを取りまとめるようになりましたので、それを適宜アップして行きます。
 
●9月23日(日)「北海道の湿原に棲む鳥〜タンチョウ〜」
 タンチョウ(Grus japonensis; red-crowned crane)は、全長150cm以上になるものもあり、翼を広げると2mにもなる。
 タンチョウは、アイヌでは「サロルンカムイ」ないし「サルルンカムイ」(湿原の神)、日本語の丹頂は、頂が赤いという意味(牡丹の丹で、丹は赤・紅の意)。赤い部分は、羽がなくて皮膚が裸出している所で、その面積は興奮状態になると広がる。
 タンチョウは今は道東にだけ分布するが、以前には本州にまで広く見られ、神話や家紋などに取り入れられ、また将軍が丹頂狩りをしたという話もある。
 タンチョウの鳴き交わし:「クーカ」ないし「クーカッカ」と聞える。「クー」は雄、「カ」「カッカ」は雌の声で、ペアで聞える。(姿で雄と雌を区別するのはなかなか難しい。雄がわずかに大きい。)
急減し一時は絶滅したかと思われたが、1924年に釧路湿原で十数羽が再発見され保護が始まった。しかし当初はなかなか増えなかった。1952年の冬からは給餌が始められ、次第に増えて今は2千羽くらいになっている。冬は給餌場に集まっているが、夏はペアごとに湿原のあちこちに散って家族ごとに生活している。
 
●10月7日(日)「サメ類の繁殖」
 サメの雄は、腹鰭の先が変化して交尾器(左右1対)になっており、体内受精する。
 受精後は、卵生のものと胎生のものがある。卵生が4割、胎生が6割。
 胎生はさらに、卵黄依存型と母体依存型に別れる。卵黄依存型は、自分の卵黄だけで体内で成長する。
 母体依存型は、卵黄のほかに母体からなんらかのかたちで栄養をもらうもので、次の3つに別れる。子宮の中で卵黄で育ってある程度大きくなった後、母親の子宮内で出来てくる無精卵を栄養にする卵食タイプ、子宮中に出てくる特殊な栄養のある液を特殊な構造の皮膚や口で摂取する子宮ミルクタイプ、卵黄を栄養にした後卵を包んでいる膜が胎盤に変わり、その胎盤を通して母体から栄養をもらう胎盤タイプ。
 
 ナヌカザメの卵とネコザメの卵。ナヌカザメの卵は、長さ10cm、幅3cmくらいの細長い財布型で、両端に螺旋状の紐のようなのがある。全体に白っぽくて中が透けて見え、中にいくつもの金色の卵が見える(外側は卵殻)。紐を昆布などに巻き付けて岩などの突起物にくっついている。財布の中に金貨があるように見えるので、「人魚の財布」と呼ばれる。ネコザメの卵は、昆布のような黒色で、長さ20cm弱、太い所で10cmくらいの大きなねじないしドリル型。これ1個で1つの卵で、孵化するまで半年から1年かかるので、大きな石の間などにねじを入れるようにして安定させている。卵の形としては、ナヌカザメのような財布型が多い。
 
*『ほぼ命がけサメ図鑑』(沼口 麻子 著、2018年5月、講談社)を読みました。22種のサメについてのデータがあり、その内繁殖方法が不明なツラナガコビトザメ(ツノザメ目 ヨロイザメ科)とミッシェルエポレットシャーク(テンジクザメ目 テンジクザメ科)を除いた20種について以下に紹介します。
ホホジロザメ(ネズミザメ目 ネズミザメ科):胎生(母体依存型・卵食)。1度に2〜10尾を出産。
カグラザメ(カグラザメ目 カグラザメ科):胎生(卵黄依存型)。サメの中では多産で、雌の体内に最大108尾の胎子が確認された例がある。
サガミザメ(ツノザメ目 アイザメ科):胎生(卵黄依存型)。 1度に12尾を産んだ例がある。
ミツクリザメ(ネズミザメ目 ミツクリザメ科):胎生(母体依存型・卵食)と考えられているが、詳細は不明。
ラブカ(カグラザメ目 ラブカ科):胎生(卵黄依存型)。 1度に2〜12尾を出産。妊娠期間が非常に長く、3年半と言われている。
メガマウスザメ(ネズミザメ目 メガマウスザメ科):胎生(母体依存型・卵食)と考えられているが、詳細は不明。
ネコザメ(ネコザメ目 ネコザメ科):卵生。
カスザメ(カスザメ目 カスザメ科):胎生(卵黄依存型)
オオセ(テンジクザメ目 オオセ科):胎生(卵黄依存型)。 1度に20尾ほどを出産。
シロワニ(ネズミザメ目 オオワニザメ科)。胎生(母体依存型・卵食)。体内の子ザメは卵を食べるだけでなく子宮内で共生をし、その結果、2つある子宮の中でそれぞれ生き残った1尾ずつが生まれる。
ハチワレ(ネズミザメ目 オナガザメ科):胎生(母体依存型・卵食)。 1度に2〜4尾の子ザメを産む。
ジンベエザメ(テンジクザメ目 ジンベエザメ科):胎生(卵黄依存型)。体内から 1度に300尾もの胎子が発見されたことがあり、多産なサメとして知られる。
ダルマザメ(ツノザメ目 ヨロイザメ科):胎生(卵黄依存型)。 1度に6〜9尾を出産。
ウバザメ(ネズミザメ目 ウバザメ科):胎生(母体依存型・卵食)。 1度に6尾ほどを産む。
アブラツノザメ(ツノザメ目 ツノザメ科):胎生(卵黄依存型)。1度に 2〜12尾を出産。
ネズミザメ(ネズミザメ目 ネズミザメ科):胎生(母体依存型・卵食)。 1度に 2〜5尾を産む。
ホコサキ(メジロザメ目 メジロザメ科):胎生(母体依存型・胎盤)。 2年に1度、1〜2尾を産む。
ヨシキリザメ(メジロザメ目 メジロザメ科):胎生(母体依存型・胎盤)。ふつうは15〜30尾を産む。最大135尾の胎子を妊娠していた個体の記録がある。サメの中でも交尾がとくに激しいことで知られ、成熟した雌には体に雄に噛まれた歯形が付いていることが多い。
アカシュモクザメ(メジロザメ目 シュモクザメ科):胎生(母体依存型・胎盤)。 13〜32尾を産む。
ドチザメ(メジロザメ目 ドチザメ科):胎生(卵黄依存型)。 10〜24尾を産む。
 上のリストには、子宮ミルクタイプはありませんが、卵食タイプのホホジロザメは卵食を始める前に栄養源として子宮内ミルクを利用しているそうです。またイタチザメ(メジロザメ目 メジロザメ科)は卵黄依存型ですが、卵黄ばかりでなく子宮ミルクからも栄養を得ているそうです。
 
●10月14日(日)「ヤマブドウ」
 世界で一番生産量の多い果物はブドウ。食べるとともに、ワインの原料ともなる。果物として栽培される品種の多くは、ヨーロッパ原産のヨーロッパブドウがもとになっている。
 日本にはもともとはヨーロッパブドウはなく、日本の野生のブドウの代表はヤマブドウ。ヤマブドウは、北海道から本州、四国にかけて、やや寒い所(東京付近では千メートル以上の山地)に成育する。つる性の植物で林道付近の陽当たりのよい森で樹木に巻き付いている。ヤマブドウの実はとてもおいしい。最近はヤマブドウの実を使ったワインも作られている。ヤマブドウには雄と雌があり、雌の株にしか実は付かない。
 ヤマブドウは秋に赤くきれいに紅葉し、真っ赤なカーテンのように見える。葉は、付け根がハート型、先が少し3つに別れていて、5角形のような形。大きいものは直径30cmくらいのもある。枯れたヤマブドウの葉は、冬ごもりする生き物にとってよい住み家となっている。つるからぶら下がった枯れてしわしわになった葉や、地面に落ちて丸まった葉の中に、カミキリムシ、ゴミムシ、ハサミムシなどがよくいる。大きい葉がくるうっと丸まっていると、その中では雨風や寒さがしのぎやすい。くるうっと丸まった葉の中からコウモリが出てきたこともある。
 ヤマブドウの見られない低地にはエビヅルというブドウが分布する。葉や実はヤマブドウよりも小さいが、実はおいしい。古い日本語ではブドウのことをエビと言ったようで、ヤマブドウの別名にエビカズラがある。
 さらに野山のどこにでも見られるものに、ノブドウがある。ヤマブドウとエビヅルはブドウ族だが、ノブドウはノブドウ族。
ブドウ族の実は1本の軸から房状に多数付いているのにたいし、ノブドウ族の実は1個ずつ花火のように全体に広がって付き、房状になっていない。ヤマブドウとエビヅルの実は熟すと黒っぽくなるが、ノブドウの実は紫ないし青緑で、宝石のようにきれいなのもある。でも、食べるとまったくおいしくないし、実の中には昆虫が寄生していることが多い。
 
●10月21日(日)「ケラ」
 体長4cmくらい。胴体が太く、とくに胸が大きい。前足が大きくてシャベルのようになっており、モグラと同じように前足で土を彫りトンネルをつくる。体表には産毛のような細かい毛があって触りごこちがよい。
 湿った地が好きで、田んぼの近くにもいる。彫った穴に水が入ってくると外に出て、大きな前足を使って泳ぐ。また親になると飛んで移動もする(明りにも集まる)。コウロギに近い仲間で、雄・雌ともにジーと鳴く。地中、水中、空のどこでも活動できる。
 
●10月28日(日)「秋に渡ってくる鳥〜ガンの仲間〜」
 ガンはカモの仲間で、シベリアから越冬するために日本に来る。
ガンの大きさは、カモより大きく、ハクチョウより小さい。
 日本にやって来るガンの種類としては、マガン、カリガネ、ヒシクイ。マガンは数が一番多く、額は白くて英名はwhite-fronted gooseカリガネ(雁が音)は、マガンより一回り小さいく、形はよく似ている(英名は、lesser white-fronted goose)が、目の回りに黄色いリングがあるのが特徴。ヒシクイ(菱喰)の「ヒシ」は、水辺の植物のヒシで、名前はその実を食べることからつけられたマガンよりも大きい。。
 宮城県伊豆沼でマガンの何万という大群が飛立つ時の鳴き声。
 雁にまつわる言葉として、「雁行」がある。雁の飛び方を表していて、渡りの時、高い空をV字型の編隊を組んで飛ぶ。ガンのような翼の先が少しとがった長距離を飛ぶのに適した鳥は、羽ばたくと翼の先端から上向きの渦ができ、それを利用して後ろの鳥がくっついて飛び、さらに順に後ろの鳥が連なって、自然にV字型の編隊になる。V字の先端から両側に、順々に上向の気流が後に続く鳥を助けている。先頭の鳥は疲れてくるので、順に入れ替わって飛んでいる。
 地上に降りてくる時の様子を表したのが「落雁」。ふつう鳥は、降りる時は、徐徐に高度を下げて斜めに降りてくるが、ガンは、空から枯葉がひらひらと落ちてくるように舞い降りてくる。垂直に近く急降下するように。この姿を表わしたのが「落雁」。ガンは植物食で、草や田んぼの落穂などを食べている。
 ガンの数は、一時は5千羽くらいまで減ったが、最近急増し、2010年は10万羽くらい。温暖化のために、シベリアの繁殖地が子育てしやすくなり、日本には遅く来て早く去る(越冬期間が短い)ようになっているようだ。
 
●11月4日(日)「ウニ」
 ウニは、波打ち際から深海まで、世界中の海に約900種がいる。日本人はむかしからウニを食べていて、縄文時代の遺跡からもウニの殻が出てくる。私たちが食べているのはウニの生殖巣(卵巣と精巣)。世界のウニの消費量の約80%が日本で、大部分を日本人が食べている。
 ウニの生態:ウニのとげは、身を守るとともに、上から落ちてきた物のクッションになったり、海底を移動する時に使われることもある。ただ、とげだけでは海底に十分に固定できず、とげの間には髪の毛くらい細い管足がある。管足の先端には吸盤のようなのがあって、それで岩などにくっついている。
 とげを取ってしまったウニの殻の観察:カボチャのミニみたい。表面に凸凹があり、いぼのような所がとげの部分で、その間に小さな穴(管足?)があり、その凸凹が殻の中央から5つの方向に放射状に規則的に並んでいる。これは、ウニとヒトデなどが同じ仲間であることの証拠になる。ウニ、ヒトデ、ナマコは、棘皮動物という同じ仲間で、見た目はかなり違うが、5つの方向に放射状の構造になっている。ウニの殻の上面の中心に小さな穴があり、それは水を出し入れして呼吸する項であるとともに肛門にもなっている。殻をひっくり返して下面を見ると、中央に大きな穴があり、それが口。口には歯があって、その中はアリストテレスの提灯と呼ばれる(アリストテレスは動物もよく観察し、ウニの口器を観察してランタン、提灯)。アリストテレスの提灯の標本を観察:上は傘状になっていて、その先に小さな爪のようなのが5つ付いている(これが歯)。この5つの爪を中心に集めるようにして硬い物もかじる。ウニはふつうは植物食で海藻などを食べているが、お腹がすくと水槽のチューブやガラス面に入れているパテをかじったり、ときにはガラス面に傷を付けることもある。
 タッチングプールではしばしばウニがいる。ムラサキウニなどはとげが太くて触っても痛くない。とげの間にそっと指を入れて殻に触れていると、ゆっくり指の回りのとげが動いて指を包み込むようにする。これを「ウニと握手する」と言っていて、ウニが生きていることを実感できる。
 
●11月11日(日)「マツの黄葉」
 ヒメコマツの研究をしている。ヒメコマツは5本の葉が1組になっているゴヨウマツの仲間。ヒメコマツは庭木として植えられていることがあって、葉が急に黄色くなってしまったが、枯れるのでしょうか、という質問を受けることがある。これに対して、それは古い葉が落ちる前に黄葉しているだけで、心配することはありませんと応えている。
 松と言えば、いつも緑という印象を持つ。緑の葉の中には、緑の色素である葉緑素、あるいはクロロフィルがある。また、緑の葉の中には黄色の色素としてカルテノイドもある。葉の寿命が近づく、枯れていくと、クロロフィルは分解するが、カロテノイドは分解が遅くて、そのため緑が抜けて黄色が残り、黄葉になる。さらに、カロテノイドも分解されると茶色の葉になる。
 紅葉の仕組みはどうなのか?クロロフィルが分解する所までは黄葉の場合と一緒だが、その後真っ赤になるのは、アントシアニンという赤の色素が新しくできるから。
 松のような常緑樹でも、1枚1枚の葉には寿命がある。環境条件によっても違うが、アカマツの葉は2年未満、クロマツやヒメコマツはやや長くて2〜3年。松の木は毎年春に新芽が出る(枝先に芽があって、これが伸びて、新しい幹や枝になる)。伸びた新しい枝先には螺旋状に新しい葉が出る。これが1年生の葉。翌年にも新しい葉が出、前年の葉は2年生になる。さらに翌年も新しい葉が出て、3年生、2年生、1年生の葉が付いていて、その中で2年生や3年生の葉が寿命を迎えて黄葉する。モミジなどは木全体が紅葉するが、松などは一部の葉だけが黄葉している。枝先は1年生の葉は青々していて、下のほうの2年生や3年生の葉が黄色くなる。
 松以外の針葉樹も黄葉する。杉の葉の寿命は3〜4年、ヒノキの葉の寿命は4〜6年。枝の下、密生した葉の奥をよく見ると、例えば4年生の黄葉した葉が見られる。さらにモミの木は7年、ハイマツは10年と葉の寿命が長く、葉のごく一部だけが黄葉するだけなので、黄葉に気が付くことはほとんどない。
 松の木の葉の全部が急に茶色になるのは、マツガレ病、正式にはマツザイセンチュウ病。マツノザイセンチュウという1mm以下の虫が松の木の中に入ってその材の中で増殖して枯らしてしまうという病気。マツノザイセンチュウは北米原産で、20世紀後半に日本に来て、各地の松林を枯らしている。マツノザイセンチュウの運び役をするのがマツノマダラカミキリなどのカミキリムシ。[松枯れ病は単純に松食虫?かと思っていましたが、現在日本各地で問題になっている松の枯死は、カミキリムシに寄生するマツノザイセンチュウが原因なのですね。]
 
●11月18日(日)「フンコロガシ」
 フンコロガシは、日本にはいない。自分よりも大きいまん丸の玉(糞)を後ろ向きになって逆立ちするようにして後ろ足で転がしていく姿が有名。ファーブルが『昆虫記』の中で研究したスカラベ・サクレ(タマオシコガネやフンコロガシという和名が充てられて紹介され、有名になったが、その後にサクレはファーブルの誤同定であったことが判明し、和名もヒジリタマオシコガネへ改められている)は、体長2cm余。エジプトから地中海岸を中心に、朝鮮半島まで生息している。遊牧民と一緒になって広がったのではないか。フランスで何度も観察したが、新鮮な羊の糞を丸めて置いておくと、どこからかフンコロガシが飛んでくる(飛んで来なければ、そこにはフンコロガシはいないということ)。そしてそこでは糞を食べずに、糞を頭で切り取って(頭は切るのに適したスコップのような形をしている)、それを運んで行って地中に穴を掘って埋めてから食べる。糞を転がす前足はとても大きい。
 子どもを育てる時は、地中に穴を掘って特別に質の良い糞球を作る。繊維質の少ない糞を選び、それでも繊維が入っている時はそれを除いてきれいな糞球にし、さらにそれをねかしておいて発酵させて臭いもしないきれいな糞球にする。そして、洋ナシとそっくりの形にして、その上の窪みに卵を産む。卵からかえると幼虫は糞球の中の糞を食べて育つ。1シーズンに数個のこども用の糞球を作り、卵も数個しか産まない。昆虫の中ではとても産む卵の数が少なく、環境の変化に弱い。都市部ではまったく見られなくなったし、また羊の遊牧が減ったので激減している。糞虫はこのほかにもいろいろいて、本来は土の上の糞は糞虫が片づけてくれる(糞虫は糞の掃除屋さん)ので、コンクリートの道路は別として、ふつうの地の部分では糞をとくに片づけなくてよい。
*フンコロガシは日本にはいないが、動物の糞を食べる糞虫は160種くらい知られている。その内60種近くが鹿が多く生息する奈良公園にいて、鹿の糞を掃除している。2018年7月、ならまち糞虫館開館。2019年1月26日午後に、奈良町糞虫館を見学。フンコロガシの糞球に触る。直径3cmくらい、時間が経っているので完全に乾燥していて、とても軽くにおいもまったくない。糞球は直径5cmくらいのものもあるとか。奈良公園にいる糞虫は数mmくらい(シカの糞のひとかけは1〜1.5グラムくらい)だが、世界には10cmくらいもある糞虫がいる(例えばゾウの糞のひとかけは1kgくらい)。
 
●11月25日(日)「里に降りてくる鳥 〜ビンズイとアオジ〜」 (省略)
 
●12月2日(日)「ヒトデ」
 ヒトデは、世界では1500種くらい、日本では250種くらいいる。波打ち際だけでなく深海にも見られる。ウニ・ヒトデ・ナマコは、深海にもわりあい多く見られる。生命力が強く、1個体を2つや3つに切ってもそれぞれが1個体として再生する種類もいるようだ。
 5本の腕を持っているのが基本型だが、中には8本の腕を持つヤツデヒトデ、20本くらいの腕を持つニチリンヒトデもいる。足は、腕の裏側にある細くて軟かい管足で、2列に並んでいる。管足の先には吸盤があって、歩いたり、岩にくっついたり、呼吸をしたり、においなどを感じる感覚器にもなっている。(管足は、ウニの管足と同じような役割をしている。)
 口は、裏側(下側)の中央にある(ウニと同じ)。肛門は背中側(表=上側)にあって、下から食べて上から排泄する。ヒトデには、歯がない。肉食で、2枚貝や死んだ魚などを食べる。小さなものはそのまま口に入れて胃に送るが、大きなものは、胃を自分の体の外に出して、その胃で食べ物を包むようにして消化し摂取する。口より大きいものは、外に胃を出して身体の外で消化して食べる。
 餌は、目で見ているのではなく、においなどで感じているだろう。それぞれの腕の先端に眼点という光を感じる所があって、明るさを感知して動いている。
 ヒトデには前後左右はあるのだろうか?それはない。ウニやヒトデは、5放射相称になっている。哺乳類や昆虫など動いて餌を取る動物は、移動する進行方向が細くなっている(前後幅よりも左右幅が小さい)が、あまり動かずに餌を取っているイソギンチャクなどは(どの方向でもいいように)円い形をしている。移動しない植物もまるく広がっている(花も5弁のものが多い)。ヒトデやウニはあまり動かずに、いわば植物のような生き方をしている。ヒトデの星型の形は、その生活に適した形だと言える。
 ヒトデは水族館では触れられる動物の代表。オニヒトデは別として、その他のヒトデは刺されたり噛まれたりすることはない。ヒトデをひっくり返すと、ゆっくり身体を反らしながら(ヒトデのイナバウアーと言うとか)、10分から十数分かけて元に戻る。
 
●12月9日(日)「センダン」
 センダンは、高さ7、8メートルくらいの樹木で、やや暖かい海岸近くに育つ(関東では人里や公園などに植栽されている)。「栴檀は二葉より香し(かんばし)」ということわざがあるが、この栴檀はセンダンではなくビャクダン(白檀)のこと。白檀(サンダルウッド)はインド原産の香木。このことわざの意味は、白檀は二葉のころから良い香りを放つが、それと同じように、将来大物になる人は幼いころからその才能の片鱗を示すというたとえ。中国ではセンダンにもビャクダンにも栴檀という字が当てられていて、それが日本に入って来てビャクダンも栴檀と書かれたのだろう。
 センダンは、センダン科の樹木で、ヒマラヤ、中国、朝鮮南部から日本という広い生息範囲を持つ。熱帯から亜熱帯にかけての樹木で、日本では南西諸島から九州、四国にかけて自生している。東海から伊豆半島、関東南部にかけても見られるが、どこまでが自生なのかはよく分からない。
 センダンは落葉樹で、この時期は葉を落している。そして、葉を落したこの時期はセンダンがとくに目立つ。それは実で、1個の実は長さ1.5cmほどの俵型で、熟すと黄色っぽくなる。各実には数センチの柄が付いていて、それが数十個集まって枝に房状に付いていて、目立つ。雄雌あって、実がつくのは雌だけ。花は目立たないが、5月ころ咲く。外側が紫、内側が白の小さい花がたくさん咲くが、葉が茂っているので、あまり目立たない。
 冬に実が目立つと、鳥たちの好物になって、ヒヨドリやムクドリなどが群になってセンダンの実を食べているのをよく見かける。
 センダンの実は人にも役に立つ。むかしは、センダンの実を風呂に入れて入浴した(身体が暖まって風邪をひかない)。またセンダンにはいくつか薬効があるようで、実を揉んで中の果肉をしもやけに付けた。また、樹皮を煮てその液を飲むとお中の中の虫が下り、虫下し用に使われたりした。このように身近に役立ったりするので、千葉県でも植栽されたのではないか。
 注意してほしいことは、センダンの実は鳥は好んで食べるが、人や家畜には毒なので食べてはいけない。
 
●12月16日(日)「マダガスカルの昆虫」
 先月マダガスカルに行ってきた。マダガスカルは特殊な所で、その動植物の8割くらいはマダガスカルにしかいない。
 マダガスカルは、赤道より南、アフリカの東のインド洋上の島国で、アフリカ大陸との距離は400kmしかない。それでもアフリカと一度もつながったことはなく、インドなどとのつながりも見られる。
 とにかく独自の多彩な生物が多い。インドとつながっていたのは8800万年前までで、日本の1.5倍ほどもある大きな島が1億年も他の大陸とつながりがないというのは、珍しいことだ。
 捕食者である肉食の動物は少なく、フォッサが最大。フォッサは外形がネコによく似た、マダガスカルマングース科の動物で、体長は70〜80cm、長も同じくらい長い。(トラやヒョウなどはおらず、あまりきびしい生存競争はなく、古いものが生き残ったのではないか。)
 オナシアゲハという蝶を見たかった。オナシアゲハはアジア(とくに熱帯)に広く分布し、またアフリカにはアフリカオナシアゲハもいる。アゲハ蝶にはふつう翅に尾状突起があるが、オナシアゲハにはこの尾状突起がない。ところがマダガスカルには、尾状突起のあるオナシアゲハが3種もいる。
 昆虫で生存競争がはげしくないことを示すような例はないのか?アフリカには広くオスジロアゲハがいる。名の通り、雄だけが白くて、雌は他のいろいろな毒蝶に擬態して鳥などに食べられないようにしている。ところがマダガスカルのオスジロアゲハは、雌も白くて技態していない。たぶん鳥などの捕食圧力が少なくて、技態せずもとのままなのではないだろうか。
 また、マダガスカルにも、いろいろな植物を食べるゾウムシと呼ばれる各種の甲虫がいるが、コケの生えたゾウムシを見た。たぶん、1本の樹にじいっと長い間動かずにいるのでコケが生えたのではないか。
 マダガスカルは、動物にとって安全なので、古い形質のままを留めていたり、のんびり生きているような気がする。日本からマダガスカルへは24時間くらいもかかるが、なぜここにこんな昆虫や動物がいるのか、むかしの地誌なども考えて観察するのにはとても良い場所だ。
 
●12月23日(日)「日本にいる小さな鳥たち」
 世界で一番小さい鳥は、ハチドリの仲間のマメハチドリで、全長5cm、くちばしが長い鳥でそのくちばしお取って立った姿勢では3.5から4cm。
 日本で一番小さい鳥は、全長(くちばしから尾までの長さ)10cmないし10.5cmの、ミソサザイ、キクイタダキ、ヤブサメ。
 ミソサザイは、全体に赤茶けて黒い斑点があり、地味。住んでいる所は、深い山の沢や渓流で、大きな水音に負けないくらい甲高く透き通ったような響く声で鳴く(鳴き声が放送される。ミソサザイの聞きなしは「ピピスクスケスチルチルピョロピョロピリピリリリ・・ルリリル」)。ミソサザイはさえずる時に尾を上げて、かわいい。
 アイヌでは、ミソサザイは勇敢な鳥として崇められていた。 熊があらわれた時、オオワシやタンチョウは尻込みしてしまったが、ミソサザイは勇敢にも熊の耳の中に飛び込んで行き、それを見たオオワシやタンチョウが加勢して熊を退治したという言い伝えがある。一寸法師の鬼退治みたい。
 キクイタダキ(菊戴)の名は、頭の上の真ん中に黄色い菊の細長い花が乗っているように見えるところから。英名でも gold crest(黄金の冠)あるいは kinglet(小さな王様)、学名は Regulus regulus(little king の意)。ヨーロッパでは小さな鳥の王様と呼ばれていて、ルクセンブルクでは国鳥になっている。頭の上の黄色部が王冠のように見えるからだろう。
 キクイタダキが住んでいるのは亜高山帯の針葉樹林で、ミソサザイも同じだが、渡りをするのではなく、標高の高い所から冬には低い所に移動する漂鳥。冬になると里でも見られるが、やはり針葉樹の林で見られることが多い。1円玉7枚=7グラムが、キクイタダキの重さ。
 ヤブサメは、見た目はウグイスそっくり。尾が抜けたように短く(これで10.5cmにおさまっている)、全体にころんとした感じ。ヤブサメの声は、変った特徴がある。(ヤブサメの鳴き声)鳥の声とはぜんぜん違って、虫のよう。シ シ シ シ と、だいぶ周波数の高い声で鳴く(他の鳥と比べて2、3倍も高い8〜10kHzくらい)。
 キクイタダキは標高の高い所で繁殖するのであまり見ることはないだろうが、ミソサザイやヤブサメは意外と近くで見られる。ミソサザイの大きな声、ヤブサメの虫のような声も聞いてほしい。
 
●12月30日(日)「コトヒキ」
 コトヒキはスズキ目シマイサキ科に属する沿岸の魚、わりあい浅い所にいる魚。関東から南、西太平洋からインド洋まで広く分布。南の魚なので、中部日本では体長は20cmほどだが、沖縄などでは40〜50cmくらいのものも見られる。南のほうでは、刺身にしたり塩焼きにしたりして食べている。
 この魚の一番の特徴は鳴くこと。(ここでその声が放送される。「ク グ グー グー ブウ ブウー」といったような声。)鳴く魚としてはホウボウもいる。ホウボウはうきぶくろに振動する筋肉があってそれで音を出しているが、コトヒキはうきぶくろの外に発音筋があってそれを振動させてうきぶくろで共鳴させて音を出している。これがコトヒキの名の由来になっていて、その鳴き声が琴の低音に似ているということらしい。
 なぜ鳴くのか?たぶん繁殖期に雄と雌が伝えあったり、外敵を威嚇する時に鳴いているようだ。意識して鳴いているので、それなりの役割があるはず。詳しい研究はされていない。
 この魚は肉食で、海底のゴカイなどや小魚やエビやカニなどを食べている。ちょっと変っているのは、他の魚の鱗を少しふくらんだ口でかじって食べる。鱗そのものには栄養はないが、それにくっついてくる表皮や肉片に栄養がある。
 背の上に頭から尾にかけて、弓なりの線があるのが特徴。また、幼魚は汽水域(海水と淡水が混じり合っている区域)や淡水域にいる。10数センチに育つまでは、河口から川でも見られる。淡水のほうが大きな魚が少なくリスクが少ないのだろう。コトヒキだけでなくスズキやボラなども幼魚の時は淡水域にも入る。
 
●1月6日(日)「ツバキ」
 この時期に花をさかせる木、ツバキ。ツバキにはいろんな園芸品種があるが、野生のツバキについて話す。
 野生のツバキは「ヤブツバキ」。ヤブツバキは、地域にもよるが、早い所では11月から咲き始め、遅い所では5月まで咲いている。開花時期が半年もあって長い。もちろん1つの花がずっと咲いているのではなく、次々と咲いては散りを繰り返しており、つぼみがたくさんある。
 目立つ花を咲かせるのは、花粉をだれかに運んでもらいたいためで、多くは蝶や蜂など虫が運んでいる。ツバキは虫の少ない時期に咲いているが、ツバキは花粉を鳥に運んでもらっている。メジロなどの小鳥。
 ツバキの花のつくりは、花粉を鳥が運びやすいようになっている。花びらは5枚あり、雌しべを取り込むようにたくさんの雄蕊があるが、たくさんの雄蕊は根元でくっついて筒形になっている(ちょうど茶筅のような形)。蜜は雌しべの根元付近にあり、鳥は筒形の雄しべの中に顔を入れて蜜を取らなければならず、顔は黄色の花粉だらけになる。そして花種を付けたまま別の花に顔を入れるので、雄しべから雌しべへ、花から花へと花粉を運ぶことになる。
 ヤブツバキは本州から南西諸島に分布し、北限は青森県の夏泊半島。
 ツバキと言えばその葉がテカテカしているという印象を持つ方が多い。ツバキの葉はワックスを塗ったような光沢があり、それはクチクラ(cuticula, cuticle)層が発達して光沢がある。このような葉を持つものを照葉樹と言う。照葉樹には、ツバキのほかに、シイ、カシ、モチノキ、クスノキの仲間などがある。これらの照葉樹が多くふくまれる森林を照葉樹林と言い、かなり広く分布する。西はヒマラヤの中腹から中国南部、南は東南アジアの山地、さらに日本もふくめ東アジアの温帯に分布している。アジアの東の端、温暖で湿潤な地域に広く分布し、日本はその北限になっている。ヤブツバキは照葉樹林の中でも代表的な種で、しかも北限まで分布する種。
 日本の日本海側は冬は豪雪で知られるが、そこにもヤブツバキの仲間のフユツバキが分布している。フユツバキにはいくつか特徴がある。1つは背丈が低いこと(せいぜい2mくらい)、たぶん背丈を低くして雪に埋もれることで寒さをしのいでいる。冬の間は雪に埋もれているので、花は4月になって咲く。フユツバキの花には鳥はあまり来なくて、おそらく花粉は虫が運んでいるだろう。ヤブツバキの雄しべは筒形になっていたが、フユツバキの雄しべは筒形になっておらず虫が入り込みやすくなっている。ツバキは暖かい照葉樹林の代表だが、日本のヤブツバキは日本の冬にも適応している。
 
● 1月13日(日)「モルフォチョウ」
 モルフォチョウは世界で一番美しいと言われている蝶。(写真を見ながら)この色はモルフォブルーとも言われ、ぴかぴか光る青色(金属的な青)。この色は、他の蝶にはない。翅全部がこの青で、飛んでいる姿はなんともきれい。
 この青色は、色素の色ではない、すなわち本当の色ではない。青く見えているのは、光が翅の鱗粉の中で乱反射したり干渉したりなどして青く見えている。
 以前、この蝶の標本の翅のアップの写真を撮ろうと思って強いストロボをたいたら、鼠色になってしまった。それは、ストロボの熱で多層膜構造になっている鱗粉の粒子が溶けてもとの灰色になったから。この蝶の青は構造色と言って、例えば色のないもの、CDやDVDを斜めにして光を当てたり、シャボン玉が虹色に見えたりするのと、同じ原理。
 青く見えるのは翅の表の面だけで、裏はじみな茶色。だから翅を閉じてとまっている時は目立たず、飛んでいる時だけぴかぴか青く見える。
 この写真は、南米の一番北、フレンチギアナで撮ったもの。そこではモルフォチョウをたくさん見ることができた。撮影はとても難しい。この蝶は(他の蝶も同じだが)大きな翅を1秒間に10回から15回くらいはばたかせ、そのたびにぴかぴか青く光るが、この蝶は胴体が小さく、胴に比べてとくに翅が大きいので上下動が激しく、ピントがとても合わせにくい。そして、飛んでいる時は上下動が激しいので、たぶん捕食者なかせ、鳥なかせではないだろうか。
 翅の一部が黒く見えるモルフォチョウもいて、これは林の中を飛んでいる。全体が青く見えるのは、森の外の明るい所を飛んでいる。
 ユーゲニアモルフォチョウは、朝5時から6時ころ、まだ日の出前の月明かりの中で飛んでいる。暗い月明かりの中でも青く光っている。ただし、その青は、月明かりに合わせてだろう、やや薄い青。
 この青の美しい色にはどんな理由が考えられるだろうか?雄同士がコミュニケーションしている色ではないか。1ぴきの雄が飛ぶと、同じ所に数ひきの雄が飛んできて、くるくると回ってその場所を取り合って、勝った1ぴきが雌を呼んでいるようだ。
 南米にはいく種類ものモルフォチョウがいて、中には町の裏山で見られるような種類もあるので、ぜひ見てほしい。
 
● 1月20日(日)「日本にいる大きな鳥たち」
 日本で一番大きな鳥は?高さ(地上から頭までの高さ、立っている時の高さ)ではタンチョウ、全長(くちばしから尾羽までの長さ)ではハクチョウ、翼を広げた大きさ(翼の端から端までの長さ)では猛禽のオオワシ(翼を広げると、2.5m)、重さではハクチョウ(12kg)(ハクチョウは 2冠)。
 オオワシについて:翼を広げると2.5m、飛んでいる所を見た感じは、畳がふわあっと浮いてすうっと横にスライドしている感じ。オオワシなど大型の鳥は、小鳥のように羽をばたばたはばたかせずに、フワッ フワッと飛ぶ。(オオワシの鳴き声:複数がグワクワグワクワといった甲高い声で鳴き交わしている)。姿も美しく、全身黒っぽいが、くちばしと足が黄色くて、額、肩、尾が純白。
 よく似た鳥にオジロワシがいて大きさもほぼ同じだが、よく見ると、オジロワシは年齢とともに白い部分が増えるとか、オオワシは肩が白いとか違いがある。遠くから見ると、オオワシの広げた翼の後ろのほうがまるくふくらんでおり、また白い尾羽がとがっている。
 オオワシは、サハリンもふくめ極東ロシアで繁殖し、厳冬期に1700羽から1800羽くらい北海道にやって来る。本州でも、琵琶湖や諏訪湖で単体で見られることがある。主に魚食で、ときには飛んでいるカモメや小型の哺乳類を襲って食べることもある。今問題になっているのは、鉛注毒で、北海道でハンターが射ったシカなどをオオワシが食べて鉛注毒になっているという報告がある。銃弾には鉛が多く使われていて、射たれたシカなどが放置されたままだと、それをオオワシなどが食べて、鉛注毒になってしまい、今も数羽だが、鉛注毒で死亡したオオワシが運ばれてくる。現在は、北海道では鉛弾の使用が禁止され所有も禁止されている。鉛注毒による死亡がなくなることを願っている。
 
● 1月27日(日)「トラフグ」 (省略)

● 2月3日(日)「オニシバリ」
 千葉の野山を歩いていて、春だなあと感じさせる植物の1つが、オニシバリの花。オニシバリはジンチョウゲ科に属する低木で、落葉樹林の林床によく成育している。九州から四国、福島以繊の本州に分布している。
 ジンチョウゲは中国原産の植物で、日本には園芸植物としてもたらされ普及した。ジンチョウゲに近縁の種も日本にも数種自生していて、その1つがオニシバリ。
 オニシバリは、高さはせいぜい 1mくらいで、2月から4月に花をさかせる。千葉県では早い所だと立春のころには花をさかせる
 花はジンチョウゲに似ていて、萼が4つに別れていて、正面から見ると4枚の花びらが星型に見える。ジンチョウゲは、外側が薄紫、内側が白い花だが、オニシバリは全体が緑がかった薄い黄色、クリーム色と言ってもよい。花によっては緑色とも言えるものもあって個体差はあるが、ジンチョウゲとは花の色が異なっていて、クリーム色系の色。香りは、ジンチョウゲほどではないが、鼻を近づけるとよい匂がふわあっとする。
 「オニシバリ」の名の意味は、鬼を縛るほど丈夫、という意味。これはこの植物の特徴をよく表わしていて、オニシバリの樹皮の繊維はとても強くて、枝を実際にいくら強く引っ張ってもちぎることはできなかった。ジンチョウゲの仲間には繊維が丈夫なものが多く、ミツマタやガンピは和紙の原料として知られている。和紙の原料になるほど強くて長い繊維を持っているということで、樹皮の強い繊維がジンチョウゲ科の共通の特徴かも知れない。
 オニシバリによく似た植物にナニワズがある。ナニワズは、オニシバリの成育地の北、北陸から東北の日本海側、北海道に分布。ナニワズも落葉樹林の林床に成育するが、高さは50cmほどと低く、花は黄色、花の咲く時期は4月から5月と遅く、雪解けを待って咲く。
 オニシバリとナニワズには、「ナツボウズ」という共通の別名がある。夏に丸坊主になるという意味。どういうことかというと、オニシバリもナニワズも、冬に緑の葉を付けていて、夏には葉が落ちてしまう、坊主になってしまうということ。このような植物の性質を、「冬緑性」という(彼岸花も冬緑性)。落葉樹は冬には葉が落ちるので、落葉樹林の林床は冬には明るく、これらの植物はその光を利用しているのではないか。「ナツボウズ」という表現は、このような植物の特徴をよく表わしている。
*ヒガンバナは秋のお彼岸のころ咲くが、花の時期には葉がまったくない。花が咲き終わると、ヒガンバナはいったん地上から姿を消す。晩秋、何もなくなった地面からにょきにょきニラの葉のような細長い葉が伸びてくる。ヒガンバナは秋から春にかけて葉を繁らせ、夏には枯れる。そしてお彼岸のころ、忽然と燃えるような花が現れる。

●2月10日(日)「ラフレシア」
 ラフレシアが主にあるのは、インドネシアとマレーシアの間の熱帯雨林のジャングルの中。
 今回は、マレーシアのサラワク州(ボルネオ島)のクチン(猫という意味)という町に行った。花は直径1mくらい、真赤な大きな花びら5枚で、花びらは分厚くてランドセルの皮くらいあるかな?
 ラフレシアの花は強烈なにおいがあるとされるが、そんなに強いにおいではない。熟したような、ちょっとくさいにおい。ラフレシアは、このにおいで集まるハエに受粉してもらう。ラフレシアの花期はとても短くて、咲いてから4日目くらいが限界で、今回は花期に遅れてしまって、赤い花は見れず、真っ黒くなっていた。(その後、40年くらい前に初めて冒険のようにラフレシアの花の観察に行った時と、現在のラフレシア情報が豊富な状況での見学の仕方の違いや注意点などについて話があった。)

●2月17日(日)「日本にいる最大級の鳥」
 日本にいる最大級の鳥はハクチョウで、日本にはオオハクチョウとコハクチョウの2種がいる。(以下略)

● 2月24日(日)「ナマコ」
 日本ではナマコは食用として知られている。中国料理では乾燥ナマコが使われる。
 海底をゆっくり這いまわっていて、素早い動きはできない。海岸線近くから深海まで栖んでいる。ウニやヒトデと同じく、棘皮動物。世界では1500種、日本では200種くらい知られている。
 ウニは縄文時代から食べられていたが、証拠はないがたぶんナマコも同じころからあるいはそれ以前から食べられていたのではないか(ナマコにはとげや殻がないので、遺物・記録としては残らない)。
 ナマコは、海底にたまっている有機物(魚の糞とか死骸とか降り積もってくるいろいろな有機物)を食べている。ナマコは体が細長くて、前のほうが口、後ろが肛門になっていて、口の回りの触手で集めて食べたり、海底の泥をまるごと食べて栄養分を摂取し残りを糞として肛門から出す。る。
 ウニやヒトデは、口が下面、肛門が上面にあったが、ナマコはそれを横にして長くしたような感じ。ウニやヒトデは5放射構造になっているが、ナマコも同じ構造をしていて、垂直に輪切りにすると5放射になっていることが分かる。
 殻や骨のない肉のかたまりのようなナマコは、どうやって身を守っているのか。肉のかたまりのように見えるが、表面は分厚いコラーゲンの皮膚になっていて、触るとタイヤのように硬くなる。さらにもっと触っていると、急に軟らかくなってどろどろに溶けたスライムのようになる種もある。このようにして、攻撃されると岩の間に入り込んだり、一部だけを食べられたり、硬くなって食べられにくくしたりしている(硬さを変えることで身を守っている)。さらに積極的な防御の方法もあって、一部の種類、熱帯にすんでいる種では、キュビエ器官というのがあって、攻撃されると、肛門?から白いべとべとした糸のようなのを、自分の体の2倍くらいの距離までパッと吐いて、それで相手の体を絡めて動けないようにする。サンゴ礁で潜っていてナマコを触ってやられたことがあるが、べとべとしたものを取るのに苦労した。
 よく食べるマナマコにはキュビエ器官はないが、その代わりに、内臓を吐き出して、それを食べさせて相手を満足させて身を守っている。食べられた内臓は、肛門のほうからは前に向って、口のほうからは後ろに向って消化管が再生していって、 1月ほどで前後がつながってもとに戻り、さらにその回りの器官も次第に再生して2、3月でほぼもとの体に戻るらしい。すごい生命力、ユニークな生存戦略だと言える。
 ナマコは水温が低い時が活動期で(そろそろ繁殖期)で、水温が高くなると岩の間や砂中に隠れて夏眠して体重も減(夏の冬眠のようなもの)、水温が下がってくればまた活動する。

● 3月3日(日)「サカキとヒサカキ」 (省略)
 
● 3月10日(日)「ハサミムシ」
 ハサミムシはわりと身近にいて、落ち葉の下とか、庭で草を積んでおくとその下などにもいる。腹の先端、お尻の所に大きなはさみがあり、開いたり閉じたり動く。はさみは何に使うのか?けんかというより外敵を威嚇するのではないか。獲物を捕る時にはさみを使うというのは見たことがない。ハサミムシは雑食で何でも食べる。
 今の季節は、ハサミムシ、とくにコブハサミムシの観察にいちばん適している。河原の上流のほうでごろごろした石のある所で石を持ち上げると、石の下で、コブハサミムシのお母さんが卵を守っているところが見られる。2月末ころから3月末にかけて、卵から幼虫が生まれてくる。(写真を見ながら)石をひっくり返すと、その下に窪みができていて、そこに卵が入っていてそれに寄り添うようにお母さんがいる。黄色い卵が山のようになっていて(100個くらいあるかな)、その横にお母さんがいる。お母さんハサミムシは、卵を産んで孵化するまで1ヶ月以上かかるが、その間ずうっと何も食べずに寄り添っていて卵を守ることに専念する。石を持ち上げて土がぽろぽろ卵の上に落ちたりすると、おおあわてで卵の上の土をどけたり卵を並べ替えてきれいになめて、数時間後にはなにごともなかったかのようにきれいなもとの状態にしている。
 他の虫が来た時にどうするかは見たことがなかったが、ハサミムシを飼っていて卵を守っている時に上からアリを落としてみたら、お母さんはあわててアリをはさみではさんで外に放り出した。それで、はさみはそういう防御のためとか敵を追い払うのに使うのかなと思った。
 1ヶ月ないしそれ以上飲まず食わずで卵を守った後に、ガラス細工のように透明できれいな小さな赤ちゃんがたくさん生まれてくる。生まれたての時はちょっとハサミムシの形とは違うが、次の日には黒くなってハサミムシの形になっている。卵がかえった後もお母さんはそのままこどもの所にいて、2日ほどすると、こどもがお母さんの背に上りはじめかじったりする。お母さんは翅を持ち上げその下のやわらかい所をこどもが食いついたりする。そうして、お母さんは子どもに食べられてしまう。お母さんは食べられることを分かっているのか、みずから自分の身を差し出す。卵を産む前から1ヶ月以下何も食べていないので体力がなくなり死んでしまうので、死んでしまう体を無駄にしないシステムがこのハサミムシではできている。[卵を守り続けるのは多くのハサミムシ類がしているが、卵がかえった後に自分の体をこどもの食料にしているのはコブハサミムシだけのようだ。]
 外で観察を続けるのは難しいので、石の下から卵とお母さんを連れてきて、プラスチックの箱に土を入れて窪みを作りそこに卵とお母さんをおいて、その上に石を置き、時々石をひっくり返して様子を観察してみると良い。
 
● 3月17日(日)「山の渓流で見られる野鳥」
 今朝取り上げるのは、カワガラスとキセキレイ。
 カワガラスは渓流でわりとふつうに見られる鳥。渓流のごろごろした石の上をぴょんぴょん飛んだり水に潜ったりする。ずんぐりむっくりのじみな姿のわりには、意外ときれいな声で鳴く(鳴き声を聞く:烏とはまったく違うキュルキュルというようなとてもきれいな声)。
 カワガラスは、同じスズメ目ではあるがカラスの仲間ではない。色が黒っぽい焦げ茶色なので、そこからカラスという名が付けられた。大きさは22cmほどでツグミやヒヨドリと同じくらいだが、体形が違う。カワガラスは今が繁殖期。小鳥の多くは虫が出てくる初夏が繁殖期のことが多いが、カワガラスは早いものでは1月ころから繁殖行動に入って、今がピーク。これは、カワガラスが住んでいる渓流という場に関係していて、渓流にはカワゲラやカゲロウ、トビゲラなどの水生昆虫がいて、この時期川底にそれらの幼虫が大量に発生し、それに合わせて繁殖期になっている。
 日本で見られるセキレイの仲間は、セグロセキレイ、ハクセキレイ、キセキレイの3種で、これらは環境によって棲み分けている。キセキレイは、渓流、川の上流から中流域にかけて、セグロセキレイは(キセキレイとかぶることもあるが)川の中流域、ハクセキレイは下流域ないし水辺から離れて市街地でも見られることがある。外見では色で見分けられて、キセキレイはお腹の部分がきれいな黄色。セグロセキレイとハクセキレイはとくに夏になると見分けにくいが、頬を見ると、セグロセキレイは黒、ハクセキレイは白(セグロセキレイは頬だけでなく顔全体が黒)。セグロセキレイは日本にだけ棲み、渡りをすることもない。
 キセキレイは全長20cmくらい、セキレイの仲間ではやや小さい。セキレイは全長の半分近くが尾で、キセキレイも細身で尾が長い。英語ではキセキレイは gray wagtail(wagtail は尾を振る鳥の意で、セキレイ)で、背の灰色からこのように名付けられ、背が黄色のツメナガセキレイ(yellow wagtail)と区別される。和名と英名がこのように異なっている。
 最後に、チイ チイというような、キセキレイの繊細できれいな鳴き声。
 
● 3月24日(日)「アカエイ」
 エイは世界に450種くらい。全体に平べったい形で、大きく広がった胸鰭と体が一体となって、どこまでが鰭なのかどこからが体なのか分からなくなっている。鰭をひらひら波打たせるようにして泳いでいる。種類によっては、マンタの仲間のようにはばたくようにして泳ぐものもいる。アカエイの仲間は波打たせるようにして泳ぐ。
 アカエイは日本でもっともふつうに見られるエイで、この季節、春から夏にかけて産卵期を迎える。北海道から日本各地、東南アジアの大陸の縁辺に棲息する。体長は1mくらいで、後ろに長いむちのような尾鰭があって、これもふくめると2mくらいになる。浅海に棲み、ふつうは砂地にうずもれている。肉食性で、貝やエビやカニ、小さな魚を食べている。
 エイの体は、鱗がなくて、すべすべしている。体の裏側は、全体は白っぽいが赤ないし黄色の縁取りになっていて、アカエイという名はここから来ているらしい(エイの仲間は、全体に黒っぽいものが多い)。
 むちのように長い尾は何の役割をしているのか?尾の途中に数cmから10cmくらいの、1本から3本のとげがあって、外敵が来るとこれで刺す。とげは、のこぎりの歯のように、かえしになっていて、いったん刺さるとなかなか取れにくく、また強い毒も持っている。水族館で、エイの水槽を長靴をはいて掃除している時に、長靴を貫いてかかとを深く刺された人もいて、とても丈夫なとげのようだ。浅い海でアカエイがいることが分かっている時は、足を激しくバシャバシャさせながら歩いたほうが、アカエイが逃げていくので安全なようだ。
 産卵について。サメ・エイの仲間は、卵を産むタイプと子どもを産むタイプがあり、アカエイは子どもを産むタイプ(胎生)。胎生には、卵黄だけを食べて胎内で成長するタイプ、別の卵を栄養にするタイプ、子宮から出てくるミルクを栄養にするタイプ、胎盤を栄養にするタイプがあるが、アカエイは子宮ミルクタイプ。親魚の中でかえった稚魚は口でそのミルクを摂取する。
 サメ・エイの仲間は、魚の形をしているのがサメ、平べったい形のがエイと言っていいが、その中間の形のものもいて、ノコギリエイは、エイでありながらサメのような恰好をしている。ノコギリエイは、体が細長くてサメのような形をしているが、鰓の位置が違う。サメは体の横に鰓があるが、エイは体の裏側、お腹の側に鰓がある。アカエイもノコギリエイも体の下側に左右に5つずつ鰓がある。ノコギリざめは体の横に、ノコギリエイは体の下に鰓がついていて区別できる。
 アカエイの体の裏側を見ていると顔のようにも見えてくる。目のように見えるのは鼻の穴。口は裏側にあり、目は表側にある。大きな胸鰭を波打たせるようにして泳ぐが、とても器用で、前に進むだけでなく、回転したり後ろ向きに泳ぐこともできる。