盲人文化史年表
◆ 16世紀
16世紀初頭、盲官の売官制が確立。官位を得るため、盲人が金貸業を営むようになる
1517年、スペインのフランシスコ・リューカス(Franciscus Lucas)が、浮出し文字(木片に曲線を塑刻した文字)を考案。1580年、マドリードにおいて生徒に教授。
1526年、エラスムスの親友のジュアン・ルイス・ビベスが、「On the Subvention of the Poor」を発表(盲人に有用な仕事を与え、直接的援助ではなく間接的に独立、自営を援助する説)
1528年、エラスムス(Desiderius Erasmus: 1467〜1536年)が、盲人文字に関する実験を報告(クィンティリアヌスのタベラの使用により、ある盲人が書く能力を得たことを報告し、盲人が自由に読み書きできることを論ず)
1534年、当道座とその本所である久我家との間に、盲人の支配をめぐる争いが起こる。3年後に当道座の勝利
1550年、イタリアのカルダーノ(Girolamo Cardano: 1501〜1576年)が、盲人教育の可能性を信じ実験、「鋭敏性」を公刊、盲人の読み書きのくふうを述べる
1551年、盲人琵琶法師ロレンソ(日本名不明。1526〜1592年)が、フランシスコ・ザビエルより洗礼を受ける。63年日本人として初めてイエズス会入会を許され、イルマンとして布教に活躍
16世紀中ごろ、北インドで、盲目のヴィシュヌ派の宗教詩人スールダース(1480ころ〜1580年ころ)が活躍 (作品集『スール・サーガル』)
1566年、スペインのオルガン奏者・作曲家A.カベソン(Antonio de Cabezon: 1510〜1566年)没。幼時期に失明。10代からスペイン宮廷に仕え、フェリペ2世に随行してヨーロッパ各地をめぐってもいる。
1575年、イタリアのランパゼット(Rampazetto)が、リューカスの浮出し文字を改良し、凹凸両文字を用い、ローマで盲生徒に教えた
1580年、盲人琵琶法師ダミアン(1560〜1606年)が、山口で受洗(一説に1585年)。1606年、山口で殉教
1587年、魚津の盲人沢市が殉教。このころ、多くの盲人が国禁をおかしてキリスト教を信仰したといわれる
1600年、イタリアの画家・著作家G.P.ロマッツォ(Giovanni Paolo Lomazzo: 1538〜1600年)没。33歳で失明、以後は絵筆を捨てて著作活動に専念、『絵画、彫刻、建築論』『絵画の殿堂の理念』などを著す。
16世紀末、沢住検校(生没年未詳)が、元来琵琶に合わせて語っていた古浄瑠璃の伴奏に、初めて三味線を使用したとされる。