ヤツガシラ(HOOPOE)

 ヤツガシラは繁殖地の西ヨーロッパ南部と越冬地のアフリカのサハラ砂漠以南を行き来する渡り鳥である。まれにどこを目的地として旅しているのかわからないが、日本にも旅鳥として春秋に通過していく個体もいる。このときは日本のバーダーたちにとっては珍鳥になるから、ネットのあちこちの野鳥掲示板でヤツガシラの画像が貼られていく。
 さて今しがた渡り鳥と書いたばかりだが、実はアフリカやインドでは一部が留鳥となっているものがいる。標識などで調査しないと明確なことはいえないが、日本に旅鳥として通過していく個体はインドから渡りをしてきているのかもしれない。
 アフリカの夏でサンブル、ナクル湖、アンボセリでみかけたが、これらは当然留鳥になる。北半球が冬の時期には留鳥と渡り鳥が混在するが外見は同じなのでもちろん区別がつかない。これはアフリカにおけるヤツガシラの渡り時期を知ることを困難にしている原因のひとつになっている。

 ヤツガシラは英語で(フープー)というが、実はAfrican HoopoeとEurasian Hoopoeがいる。実によく似ているのでなかなか区別がつかないが、飛翔するときに初列風切羽から背中にかけて白いラインがないものがAfrican Hoopoe、白いラインが一本はいっているものがEurasian Hoopoeとなる。これについては例えば詳細に書かれた図鑑「Birds of East Africa」(←洋書ですが)などを参考にしてください。シナモン色もAfrican Hoopoeのほうがやや暗い色をしているらしいが、まあよほど見慣れている人じゃないと飛ばない限りわかりません。ただし「Birds of East Africa」の分布域をみると、ほとんど重ならないからアンボセリあたりで見れたヤツガシラはアフリカ型、そしてナクル湖、サンブル方面で見られるヤツガシラはユーラシア型と判断してもほぼ間違いないと思う。

 ヤツガシラは上記でみたように1属2種である。つまり独特な鳥であることがわかる。他の鳥たちとの類縁関係もまだ不明で「ヤツガシラ類は口蓋の構造の面では、典型的なブッポウソウ目と言えるが、他の点ではスズメ目とも言えるし、また、キツツキ類にも似ている」と主張する鳥類学者もいる(アラン・フェドーシア「鳥の起源の進化」参考)。
 去年(2005)、ナクル湖とサンブルでヤツガシラに出会ったが、写真があまりにもひどくて写真館にアップできるレベルではなかった。2006年のケニア旅行ではアンボセリで泊まったオル・トカイ・ロッジの大きな庭で4羽もいたのでじっくり狙うことができた。あまりにも当たり前のようにいるので、最後はヤツガシラをみかけても目もくれないで「他に何か変わった鳥いないかな?」、などと考えてしまっているほど。
 ただしヤツガシラは近年減少が著しく、100年前はスウェーデン南部で繁殖していた事実がある。それから環境の変化、農薬の使用などで主食の昆虫が減ったことなどから急激に減少して、いまではヨーロッパで繁殖するヤツガシラはヨーロッパ西南部でしか見ることができない。

 ヤツガシラは一見して「ああヤツガシラだ」とわかるほど、独特な姿をしている。これは古代エジプトのヒエログリフにも描写されていることと、多くの民間伝承でもその特徴が語られていることなどでもわかる。特にトサカが面白く、驚いたり警戒しているときにピンと扇型のようにたてる。アンボセリでみかけたように非繁殖期は4羽で群れていたりもするが、繁殖期になるとテリトリーをもつ。



※ほとんど地上で餌を採餌しています(アンボセリにて)


※驚いたり警戒するとトサカを扇型にたてます


※何をしているか不明。いきなり羽を広げてのけぞってしまいました(10秒くらいこのまま)


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