コウノトリ

 コウノトリ目は6つの科に分かれる。すなわちヒロハシサギ科、サギ科、トキ科、コウノトリ科、シュモクドリ科、ハシビロコウ科である。コウノトリ目の概論は別の機会に譲るとしてここではコウノトリ科についての性質を書くことにする。
 コウノトリ科は新世界のコンドル科と共通する特徴が多いとされる。特に有名なのが、コウノトリ類は体温が上がりすぎると足に尿をかけて体温を下げる行動をする。液体が気化するときに熱を奪う性質を利用して体温を外に逃がしているのである。ところで鳥の尿は人間と異なる。多くの生物にとって体を維持するためにタンパク質を利用するが、不要になったタンパク質が分解されるときにアンモニアを生じる。アンモニアは毒なのでできるだけ早く体外に放出しなければならない。魚であればいつでも水分を確保できるので、そのままアンモニアを排出するのだが、陸上の生物はどんどん尿として排出すると水分が失われてしまい生命活動に悪影響がでるので、アンモニアをさらに無毒な尿素というものに分解する。こうして尿素を体内に蓄えてからまとめて尿として排出するわけだ。面白いことに、両生類ではオタマジャクシの時代はアンモニアを排出するが、大人になると尿素として排出するように変化する。さて鳥である。鳥は飛ぶという宿命を背負って進化してきたので、できるだけ体重を軽くしておく必要がある。そのため摂取する水分も対外に排出する水分も制限していかなければならない。このため尿の構造も変わってしまった。鳥はアンモニアを尿酸という水に溶けない物質に変える。この塊りの尿酸が尿管を降りていき、総排出腔から糞と一緒に排出されるようになっている。この尿酸は白い色をしており、鳥をよく観察している人なら総排出腔から白いものを勢いよく出す光景を見たことがあるはずだ。
 話をコウノトリに戻す。コウノトリは尿を足にかけて体温を下げるということを書いた。尿は白いので、コウノトリの足はこの行動をすると白くなってしまう。アフリカのナクル湖でみたコウノトリは綺麗な赤い足をしていたが、あちこちにいるアフリカハゲコウ(コウノトリ科)がこうした体温を下げる行動をよくしていていたようで足が白くなっていた。


※アフリカハゲコウの足が尿で白くなっている(ケニア・ナクル湖)

 コウノトリはアフリカで越冬しヨーロッパに渡り春を告げる。木の枝よりも安全なのかわからないが、煙突や屋根、塔などに好んで巣をつくり、ヨーロッパの人はそれを幸運の証と考えた。そしてコウノトリが赤ちゃんを運んでくるという伝説も生まれるに至ったのである。しかし現代化による建物の建築様式の変化によって巣をかける場所が急激に減ってしまったこと、そして餌とする昆虫やカエルが農薬によって激減してしまったことの連鎖によってコウノトリは劇的に減ってきている。かつては日本にもいたコウノトリはいまでは人工繁殖しか生きていない(一部ここから野生化に戻すこともしているし、実際野生に放たれているが・・・)。
 コウノトリの巣作りをしている光景を見てみたいと思っている。彼らは遮るものがない炎天下で雛が育つ危険性をよく知っており、胃の中に水を満たしてきて雛の上にかけてあげるのだ。その写真が「鳥たちの私生活」(デービッド・アッテンボロー著:山と渓谷社)で見ることができる。

 またコウノトリにとってはさらに試練がある。それは越冬地に行くためにアフリカのサハラ砂漠を越えなければならない点だ。上昇気流にのって高度をあげて飛ぶ鳥なので、南下するほど発生しやすい上昇気流で飛ぶのが楽になることを考慮しても、年々急激に拡大していくサハラ砂漠は彼らにとっては個体数を減らす要因の一つに数えてもいいのではないかと思う。
 人間にとって幸福の証であるコウノトリもまた絶滅の道を歩んでいる。映画「WATARIDORI」でコウノトリが砂漠を飛翔して渡りをしている映像があったがとても美しかった。


※コウノトリ(ケニア・ナクル湖)

あっ、ちなみに。上の画像のコウノトリは片足しかないのではなく、片足立ちしています。
あんな長い脚なのに、きれいに折りたたまれています。
上は右脚立ちしていますが、下の画像は同じ個体ですが左脚立ちをしていて、右足が折りたたまれています。
足の爪が少しだけ見えています。







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