ダチョウ(OSTRICH)

 ダチョウは1属1種でアフリカ大陸、それも生息は東部と南部に限られる。ダチョウ以外にもソマリダチョウ、マサイダチョウと呼ばれるものがいるが、これは亜種であり一つの種ではない。
 ダチョウは世界でもっとも大きな鳥であり、体高は2〜2.5mにもなる。体重に至っては68〜91kgにもなり、その重さでも世界最大である。大きなオスでは体重が130kgを超えるものもいたという。眼球は直径5cmもあり、あらゆる陸生の脊椎動物の中でもっとも大きな眼球をもつ。また卵も巨大で約18cmもあり(横は13cm)、重さも1.7kgほどになる。ニワトリの卵と比較すると20〜24個分に相当する容積をもつ。何から何まで世界最大を記録する鳥なのだ。これほどの巨大さであるから飛ぶことはできないが、走ることに進化してきており指は2本となった。鳥で二本指はダチョウのみである。ちなみにダチョウよりも小型であるが、よく似たレア(レア科)は3本の指である。

 アフリカの大草原で生活することに適応してきたことは、先ほど述べた足指の進化を促しただけではなく生活形態も変えた。つまり留鳥であるが、大草原に適応してどことなく半遊牧性であり、主食となる植物を求めて長い距離を移動しながら旅している。たまに昆虫や小さな爬虫類も食べるが基本的に草食だ。草食動物たちがそうであるように、逃げることに進化してきたためだろうが、めざましいスタミナをもちおよそ時速70kmで30分間も走り続けることができる。そしてこの速さこそ、世界で一番早く走る鳥というこれまた世界一の称号を得ている鳥なのだ。とにかく何とか世界一というものがずらりと並ぶ記録ずくめの鳥である。この脚力は筋肉質の脚のおかげなのだが、K1選手も真っ青の強力なキックを繰り出すことができる。
 習性は一夫多妻をとるが、それはオス同士の激しい戦いにより縄張りとともにメスをも手に入れてきたことを意味する。複数のメスのダチョウの卵は、同じ巣(地面のくぼみ)に産み落とされ15〜20個、多いときは40個ほどの卵で巣が構成される。孵化するまで約6週間ほどかかるが、他のメスが生んだ卵を含めて温める役目は最初に卵を産んだメスの役目である。ところがメスは自分が産んだ卵を区別することができ、卵の集団の中で自分の卵を安全な真ん中に近い部分におくのである。これはドーキンスの「利己的遺伝子」のよい例だとされている。

 これは想像だが、もしアフリカ大陸の広大なサハラ砂漠がなかったとしたらダチョウはアウト・オブ・アフリカを果たすのだろうか?愚問だったかもしれない。確かにかつては西アジアにもダチョウがいたことがあったからだ。彼らはアウト・オブ・アフリカを果たしたことはあったのだろう。しかしどのような理由かわからないが、生息環境がダチョウにとって悪化してアフリカにしか生息していない。
 かつてはサハラ砂漠には木々で覆われていた。それもいまでは広大な砂漠に置きかわり、ますます大きくなっている。もはやサハラ砂漠を超えてアウト・オブ・アフリカを果たすことは不可能だ。いまアフリカの東部と南部に生息が限られているダチョウもあと何千年かすると野生は絶滅し、飼育下でしかみることができない生き物になっているのかもしれない。


※ダチョウ(黒い羽色がオス、グレーがメス)



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