アフリカの鳥たち3

 「あれがナクル湖だよ」とドライバーは僕に言った。
 遠くに見えるナクル湖は片側の湖岸がピンク色に染まっていた。まるで赤潮のような印象を受ける。
 「おおっ、すごいや」と思った。うわさ以上に壮観な眺めだ。

 マサイマラからナイロビに戻った日にナクル湖に移動した。これからナクル湖、アンボセリと続くサファリはドライバーと僕だけの旅行だ。ひとりで参加したツアーのためドライバーを借り切る形になった。ドライバーのチップが1日20ドルなのでこれを一人で負担していかないといけないため出費が激しいが承知の上できているのだ。そのかわり個人のわがままの自由がきく。止まって欲しい場所があれば止めてくれるし、僕が満足するまでどれだけでも待っていてくれる。誰も文句をいう同乗者がいない。しかしドライバーも道の途中で自分の買い物をしたり自由奔放だ。アンボセリの帰り道でなにかマサイの人たちから穀物を買っていた。ナイロビだと10ドルするけどここでは3ドルで買えるんだと言って喜んでいた。僕も何故かわからないけど嬉しかった。
 僕はこういう形の旅行が大好きだ。自分と現地の人だけでまわる旅行というものが。これを金でかわずしてどうする!というのが僕の生き方だ。

 ゲートからナクル湖NPに入ってすぐに車から降りれる場所がある。もう目の前はおびただしい数のフラミンゴがいる。そして陸地にはアフリカハゲコウなどもいる。あちこちで鳥の集団が飛び立っては湖水に着水している。目の前を飛んでいく鳥たちは翼を広げるととても大きい。ハゲコウなどが飛ぶと翼の端から端まで3mくらいありものすごい迫力がある。こんなのに襲われたら怖いだろうなと思う。


※ナクル湖の風景

 フラミンゴは2種類いる。グレーターフラミンゴとレッサーフラミンゴだ。グレーターフラミンゴは体高1.4mあり白みがかった体色をしたフラミンゴである。もう一方のレッサーフラミンゴは体高1mほどでピンクがかった体色をしている。
 グレーターフラミンゴを現地のガイドはヨーロッパフラミンゴと呼んでいた。この鳥は藻やプランクトンなどを食べるほか、小魚や小エビなども食べる。レッサーフラミンゴのことを現地ガイドはアフリカフラミンゴと言っていたが、こちらはスピルリナという特別の藻類を食べる。このスピルリナの中に含まれている成分によって体が赤く染まる。したがって飼育下のレッサーフラミンゴはスピルリナをずっと食べるわけにはいかないので体の色が白くなっていくのである。
 日も暮れかかってレイクナクルロッジに向かう途中で、ものすごくたくさんのフラミンゴが一列になって飛び去っていく光景を見た。これは映像で見ないととても表現できないほどすばらしい光景である。もしどこかのテレビでみる機会があったら絶対にみることを勧める。三角関数をグラフ表示したような波形をして飛んでいくのだ。湖水の手前でゆるやかに上昇していき、また湖水の手前までゆるやかに下降していく。後ろにいる鳥たちは必ずその波形にしたがって飛んでいくから横からみるときれいな波形となって列が続いていくのである。姿から想像もできないほど優雅に飛ぶ。ナクル湖では小集団が飛んでいるのを目撃するのはできるけど、できれば日暮れまで待ってもこの大集団がとぶすたがたをみたほうがよい。
 フラミンゴは集団性がものすごく強い鳥で、ナクル湖のように何万〜何十万という単位の群れで過ごすほか、求愛ディスプレイも集団で行いそれぞれが羽を広げて、または頭をあげて振り向くしぐさをするがこれが集団でいっせに行われるので巨大な集団の動きになる。そしてつがいになり、繁殖をするとクレイシュと呼ばれる共同保育場で育てられる。ここでは食事は親が運ぶが、全体を管理するのは別の成鳥が行っている。


※フラミンゴ

 エジプトガンという名前の通り、古代エジプトの壁画に描かれている鳥である。ナクル湖では実にたくさんのエジプトガンをみることができ、たまに日本でも見かけることができる。「Common Birds of East Africa」には”Resident”と書かれていたので東アフリカでは留鳥なのだろう。グース特有のかわいらしい歩き方をするが性格はけっこうきついらしい。自分よりも小さい鳥に対するイジメをするが、それだけではなく自分より大きな鳥に対してもガーガーとがなりたてるようだ。
 オスメスとも同じ姿をしているが、メスのほうがやや小さい。とはいっても僕には遠くから見ている分にはとても違いなどわからない。写真におさめるにしてもなかなか正面を向いてくれないため満足に撮らせてくれない鳥に入る。次回はもっといい写真を狙いたい被写体の一つである。


※エジプトガン

 アフリカハゲコウ。この鳥の姿をみていると何か遠い少年時代の<或る物>がぼんやり脳裏に浮かんでくるんだけどはっきりと思い出せない。何だったけ?何かのキャラクターだったかなぁ、とずっと悩んでいた。そして別のインターネットをみていてこのアフリカハゲコウのことを「チョコボールのようだ」とあった文章を見てすべて了解した。そうだっ!チョコボールに似ている!
 どうでもいいことか。この鳥は大型のコウノトリであり、写真で見る通りあまり綺麗な身なりをしていない。またハゲワシと同じく動物の死肉を食べるので頭部の毛がなくなっている。毛が血などで汚れるため失くすように進化したのだ。こういう姿をしているせいもあり、よほど鳥好きでないとなかなか好きになりにくい鳥である。ナクル湖の湖岸にはペリカンの骨などがたまに落ちているが、これもハゲコウたちが食べて骨だけになったのだろうと思う。これこそが自然という営みであり、僕らのような日本の都会に住んでいて、死からかけ離れてしまっている人間たちがお金や時間をかけてでも学ばなければいけない姿だと思う。
 写真を見ればわかるけど、みるからに強力なくちばしをしている。あれでつつかれたら血をみるだけではすまないだろう。カバやサイの分厚い皮膚をも突き破ることができることから人間なら内臓に達するのではないかと想像する。
 体高は1.5mあり飛んで翼を広げると3mほどになる。これは陸生の鳥類では最大の大きさになる(ちなみに鳥類で最大の翼長をもつのはワタリアホウドリの3.5m)。従ってアフリカハゲコウが間近で飛んでいるのを目撃するとそのデカさに驚く。アフリカハゲコウが羽根を広げて目の前に飛びかかられたら相当に怖いと思う。


※アフリカハゲコウ

 集団性にすぐれた生態であり、食事も集団を利用する。餌となる魚を群れで浅瀬に追い込み喉の大きな袋ですくいとって食べるのだ。翼ではげしく水面をたたき、驚く魚を浅瀬に追い込むこともする。「WATARIDORI」というDVDの映像でペリカンがエサを取る場面を見ることができる。ペリカン類がもつ大きな咽袋で魚をすくい取るのだ。しかもこの咽袋は多機能で、雨水を蓄えて飲み水に使ったり暑いときの冷却装置としての役割も果たしている。体高が1.6mほどもあり、これが翼を広げると2.5mほどにもなる。けっこうデカイのだ。


※ペリカン



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