シェード・ツリーと鳥たち

 植物の中には強烈な直射日光を嫌うものがある。例えばクズの葉は日差しが強いときには葉を立てて直射日光を避け、曇りや夕方になると葉を水平にする。こうした直射日光を嫌う植物の一つにコーヒーの木がある。本来コーヒーの木は高木の下で成長する低木であり日陰で生育する性質をもっている。もう少し詳しく書くと、コーヒーの葉に日光が当たり葉の温度が上昇すると、葉の裏にある気孔が閉じ二酸化炭素を吸収できなくなるのだ。従って、コーヒーの木の生長には日傘の役割をする中層木、高層木が必要になってくる。これをシェード・ツリー(SHADE TREE)という。
 伝統的なコーヒー栽培はこうしたコーヒー低木を主要な収入源としながら、中層木、高層木にも収入を見込めるシェード・ツリーを植えて副収入としてきた。よく利用されているのはバナナなどの木である。
 1970年代、コーヒーの木の品種改良によって直射日光でも成長できる品種が生み出された。こうしてシェード・ツリーが取り払われコーヒーが単位面積あたりたくさん収穫できるような近代化がなされた。特に中央アメリカや西インド諸島で近代化が行われていった。しかしだんだんとある異変に気づいた。何故か北アメリカの夏鳥たちが大きく減少していったのだ。調査の結果では、冬にこうしたコーヒーベルト地帯で越冬し、夏に北アメリカで過ごす渡り鳥たちだった。
 低層、中層、高層からなる木々の集合体では昆虫がたくさん発生し、それを餌とする鳥たちにとっては越冬地として最適であった。またマメ科の高木を植えているような場所では、その落ち葉などがそのまま肥料になるシステムとなる。逆にコーヒー低木だけの場所では昆虫が少なく、逆に大発生してもそれを食べてくれる捕食者がいないので農薬でしか抑えることができない。
 このことがあってからアメリカのバードウォッチャー、コーヒー党の人たちから「シェード・コーヒー」と明記されたコーヒーを選ぶことによって鳥、ひいては自然を守ろうという動きが出始めている。
 渡り鳥や回遊魚は国境などおかまいなしの生き物である。これらの生き物を保護するには自国だけの保護では回復できない問題である。木材、魚介類、食物などほとんどが輸入でまかなわれる輸入大国日本でも、グローバルな生態系の働きから何を取り組まなければいけないのかを検討する時期に入っている。近代化によって何を失いつつあるのかを考えるのは遅ければ遅いほど回復不可能な問題となっていく。

最後にこの場を借りてコーヒーの効用を簡単に:
・コーヒーの成分のひとつであるカフェインは有名であるが、これは
@刺激性
中枢神経などをソフトに刺激して、集中力を増進させたり、動作を活発にさせたりする働き
A敏捷性
神経をソフトに刺激し、特に集中力の落ちてくる昼間、体の働きをよくする
B代謝性
エネルギー消費と脂肪分解を促進する働き。とくにダイエットには効果をもたらす

などの働きがあるそうである。また本当かどうかはわからないが、別の研究では「コーヒーの香りをかいだときが、リラックスしているときに多く出るアルファ波という脳波がたくさん出る」とある。確かに僕はコーヒーの匂いが大好きである。真夏を除いては、毎日コーヒーのブラックを愛飲する僕であるが、あのコーヒーの香りを嗅ぐと落ち着く感じがするのは感じている。たぶん多くの人もそうなのだろう。


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