ツメバケイ(Hoatzin)

 カッコウ類、エボシドリ類(こちらはアフリカにしかいない)は学術的には近縁であるが、いずれも謎が多い鳥である。さらにこのカッコウ類、エボシドリ類に近縁であるツメバケイ(英語名 Hoatzin:ホアチン)がいる。
 1776年にはじめて分類学的に記述されてから独特な鳥であり続け、現在でもこの1種だけで単独の科を構成する。この鳥に独特な特質のひとつに、羽から飛び出る2本の鉤爪がついていることである。多くの鳥では胚の段階でみることができるが、産まれてからでも保持しているのはツメバケイ独自である。海外旅行記のエクアドル旅行記でもかいたが、この幼鳥の鉤爪はBBCのDVD「LIFE OF BIRDS」(第1巻)でみることができる。
 この点でかつて始祖鳥の生き残りと考えられていたことがあったが、現在では否定されている。


始祖鳥(ツメバケイの雛も始祖鳥のように羽根から鉤爪がでている)


 もうひとつの特徴として、花や果物も口にすることがあるがほとんど草食である。消化管の前半部分にバクテリアをかっており、草食動物のようにバクテリアの力をかりて、植物のセルロースを分解してエネルギーを取り出す。ほとんど草食で過ごすという特殊性から、消化管は体重の約25%の重さにまでなっているのだ。このため筋肉は縮小してしまっていて、飛ぶことは飛ぶが、あまり飛ぶのが得意ではない。

 ツメバケイは南米、しかもその中でも北のほうの熱帯雨林しか生息していなくて、日本から野生のツメバケイをみるにはかなりの時間とお金をかけなければならない。僕がエクアドルにいったときにもわざわざアマゾン熱帯雨林を選んだ理由も、野生のツメバケイを一目見たかったせいもある。
 とても社交的な鳥で、だいたい集団でいる。ひとつのグループはたいてい2から5つの個体で構成されているが、最大では8個体にもなる。それらは繁殖のオスメスとその夫婦から産まれた子供たちからなっている。子供たちはオスである。メスの子供はグループから離れて四散しているためいない。グループの中にいる子供たちは縄張りを守ったり、産まれてきた幼鳥に餌を与えたりする活動をする。胃の中で消化された植物を逆流させて幼鳥に与えるのであるが、この中にバクテリアも含まれていて、将来自分で植物を食べて消化するときに必要なバクテリアをもらっているのである。世話を受けた幼鳥たちは約2ヵ月後に飛ぶことができるようになり、50〜70日頃に肘についていた鉤爪もきえていく。

 エクアドルのサチャ・ロッジにいったときにロッジ周辺でこの鳥はいた。この鳥は肉付きがおいしいということで、時々狩られているらしいがそれでも人間の周辺で生活している。それでもサチャロッジ周辺でよく見られたようにリスクとしては低リスク(Not currently at risk)である。



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