シマウマ



 指が一本の動物はウマ科しかいない。これがどれほどすごい意味を持つのか?
 基本的に指の数は爪の数とみなしてよいからウマ科の指は一本なのである。蹄はこうみえても爪である。動物の爪の形は次の3つに分けられる。
 1.鉤爪
 2.平爪
 3.蹄(ひづめ)

 爪の形は動物の生き様をよく表している。物をもつのに優れた威力を発揮する人間の平爪や、狩りをするときに獲物をひっかけ、押さえておく役割をする鉤爪などだ。従ってネコの爪とぎは前脚だけにしかしない。後脚は獲物を狩る役目をしないからすり減っていくのみだ。次に蹄ははやく走るのに、そして長距離走るのに適している。だいたい草食動物が鉤爪をもっていても意味がない。
 蹄をもつ動物はある程度早く走れて、長時間の走行ができることを選択した。チーターなどの肉食動物は早く走ることに適している。ただし短時間という制約がつく。そもそも背骨が伸びたり丸くなったりしながらモロに全身運動をしながら走るからものすごいエネルギーを使うのである。その点、蹄をもった生き物たちは走っていても背骨が真っすぐしており極端な全身運動を回避するようになっている。従って疲れにくいため長距離走行ができる仕組みなのだ。肉食動物たちの短期決戦を逃れられればよいのだ。こうした理由から群れをつくりできるだけたくさんの目で敵を発見することにより逃げることを特化するようになっていった。それぞれの動物たちの体つきから「狩るもの、狩られるもの」がそれぞれに特化していく。だいたいサファリにくる客は狩る側を応援している人が多いが、どちらもそれぞれのエキスパートなのだからプロとプロの勝負とみて客観的に感情を捨てて観察するのがよい。狩ったら狩った動物を讃美し、逃げ切れたら逃げ切った動物を讃美すればいいのだ。

 動物は多くても五本の指しか持たない(パンダって6本指といえるようなものがあったんだっけ???)。動物の指も神秘的で不思議だと思うが、僕には専門的なことはわからない。人間はその中でもっとも多くの指をもつ動物に入る。原則的に走るのが得意な動物ほど指の数が減っていく。進化的に指の数が増えて行ったのではなく、4本指、3本指と減っていった動物たちは逆進化していったのである。その中で最初に言ったように指が一本しかないものはウマ科だけである。これも進化的に最古のウマであるエオヒップスが4本指、その次のメソヒップスが3本指・・・と減っていき、約600万年前のプリオヒップスで一本指となっている。

 シマウマはウマ科なので当然一本指である。そして何故かはわからないがあまりにも有名なゼブラ模様と呼ばれる白黒模様である。尻尾とかタテガミも白黒模様になっている。いま白黒といったが、子供は黒ではなく写真でみたように少し赤みがかっている。これが成長するにつれて黒くなっていくのだ。
 実にかわいい生き物なのであるが、かつてシマウマの近縁の動物が悲劇にあった。南アフリカにクアッガというシマウマに似たウマ科の生き物がそれで、絶滅の道をたどった。頭から背中の途中までがシマウマのようにゼブラ模様になっていた。これも草食動物のハーテビーストのところで書いたように南アフリカに移住してきたオランダ系移民のボーア人によってたくさんいたクアッガが虐殺されて絶滅してしまった。このボーア人というのはとにかく動物をよく絶滅させてきた。クアッガ、ケープアカハーテビースト、ブルーバック、ケープライオンを絶滅させた。
 シマウマがボーア人と出会わなかったことは彼らにとってせめてもの慰めになった。ケニアのサンブル国立公園にめずらしいグレービーシマウマというゼブラ模様がきめ細かいシマウマがいるが、こちらは生息数が減ってきているようでありやがて絶滅の道をたどらないかと心配である。



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