【京都マラソン2015〜マラソン当日  2015年2月15日(日)】


フル 公認コース

 早朝5時過ぎに目覚め、食事をとり準備をはじめる。ホテルを出て、6時50分頃に西京極駅に到着する。電車はすでにランナーでいっぱいであり、駅を降りるとスピーカーを使って駅員さんがたくさん誘導していた。御苦労さまです。
 まだダークブルーの薄暗い空に、球場のライトが眩しいくらいに輝いている。7時に開門された更衣室(京都市体育館)で着替えをする。観客席も使用できるため広さは十分あり、ストレッチすることもできた。7時40分頃には更衣室を出て手荷物預けエリアに向かう。外はランナーやその家族などであふれかえっていた。その中でも海外のランナーをよくみかけた。公式資料によると、海外41ヶ国、1777人も参加している。ツアーできているのか、20人ほどの人たちが台湾の国旗などを広げて集合写真をとっている。みんな笑顔でとても楽しそうだ。あまり知られていないが、台湾ではマラソンブームとなっていて、米国、ドイツ、日本に続く世界4位の「マラソン大国」となっている。2014年東京マラソンに参加した台湾人の数が1,676人で日本人の次に多い。
 去年の名古屋シティマラソンでも、若い女性がカラフルでおしゃれなランニングファッションを着て走っていた。僕はそのランナーの近くを通過するとき、たまたま沿道にいたボランティアの服をきた高校生くらいの若い女性たちがそのランナーをみて「わっ、かわいい」と言いあっていた。すると、その女性ランナーの後ろを走っていた若い男性が中国語で「お前をみて『かわいい』といってるぞ」などのような会話をしていた(「かわいい」だけそのまま日本語を使ったので)。そうか、この若い人たち中国か台湾からきてるんだ、と思いながら走ったことを覚えている。
 台湾では、暑さが和らぐ9〜12月にかけてがマラソンシーズンで、台湾全土で週平均5回以上のマラソン大会が開催されていると聞いている。もうここまでくればブームを超えて確実に定着していくことだろう。台湾のマラソン大会出場を兼ねて旅行することも悪くない選択だ。
 とにかく、台湾のランナーの方、ようこそ京都マラソンへ。ぜひ楽しんで完走してください。

 手荷物を預けてからトイレの大の行列にならぶ(出る出ないにかかわらず済ませておく方がよいです)。トイレの数が多いので、10分ほど待っただけで入ることができた。このあたりはストレスを感じさせない。
 スタートブロックはかなり前のほうとなるCブロックである。エントリー時に過去3年の最高タイムを申告するのであるが、この記録でブロック分けされている。うーーーん、はっきりいって今の状態ではEくらいが妥当だと思える。
 いろいろな来賓のあいさつが終了し、8時55分に車いすの部がスタートする。ランナーたちからいっせいに拍手がわき起こる。さあ、あと5分後だ。これからの自分自身との戦いを直前に控えていろいろな感情があふれ出てくる。楽しもうという前向きな気持ちと足の痛みで走れなかったらどうしようという気持ちだ。

 9:00スタートの号砲がなる。再びわき起こる拍手。この瞬間不安が消えさる。

 スタートラインでは千葉真子さんも台上から応援している。スタートラインでストップウォッチを押し、走りに集中する。陸上競技場をでると道路の両側には応援の人たちが列をつくっていて、あちこちで「いってらっしゃーい」、「頑張ってくださーい」などと気分を盛り上げてくれる。リズミカルな太鼓演奏でランナーを見送ってくれていた。走りながら左足の足底腱膜炎の様子を伺ったが、今のところ問題ないようである。せめて20kmまでは持ってくれよ、と念じる。
 光華女子学園の前で、賑やかにチアリーダーたちが応援してくれるのを感謝しつつ四条通になだれ込む。このあたりで「3:30」のペースメーカーさん3名の集団がいたが、今の実力ではこのペースでは絶対についていけないので、少しだけペースダウンする。
 そのまま道なりにしばらく走り続けると桂川にたどりつく。その手前を右折すると急に素敵な景観が飛びこんでくる。「なんて素敵な景色なんだろう」と思って走った。5km地点で右側にある大きな建物の屋上で黒い巨大なオブジェが浮かんでいる。いやでも目につくが、これはすべてのコースで一番気に入った思い出となった。詳しくは、下記のURLを参照してください。



京都嵯峨芸術大学さんの公式Youtubeより

 5kmは27分10秒前後であり、自分のいまの実力ではやや早いかもしれないと感じた。その地点をすぎると有名な嵐山公園の渡月橋がみえてくる。ここは本当にいいところだなぁ、と思いながら手前で右折して嵐山高架橋へと入っていく。高架道路を走っているときは沿道の声援はほとんど途切れるが、そこを下ったあたりからまたたくさんの応援をいただく。もちろんハイタッチは至る所で行われており、スタッフのジャンパーをきた方たちも率先して笑顔でハイタッチを行ってくれる。
 9km地点を示す標識を通過すると目の前にかなり急な坂道がまっすぐ見えている。いままで参戦したマラソン大会では一番の急坂といっていいかもしれない。しかも長い。ほぼ10km地点の手前まで続いた。10km地点を通過し、この間のラップが27:07である。長い急坂があったことを考えれば、0−5kmのときよりも少し速いペースになってしまっているかもしれない。
 京都マラソン名物の仁和時を通り過ぎる。噂通りにお坊さんが応援してくれている。
 平野神社前の立命館小学校、立命館大学応援団の声援をうけ、さらに15km地点を過ぎたところにある今宮神社で佛教大学や太鼓の応援をいただくのでとても励みになる。
 脚の調子はまだ問題なさそうだ。痛みもなく、足の重さもまだ感じない。この分だと20kmは問題なく25kmくらいまでなら持ちそうだと思う。練習では25kmまでしか走っていない。これ以上の距離はここ数年未経験だ。一瞬不安を感じるが、マイナス要因はそれ以上考えないことにする。とにかく気分がハイになることだけを考えるようにしなければならない。
 賀茂川に出る。川の反対側の道路をより早いランナーたちがたくさん走っている。足の運びがかなり早い人たちで、もちろんAブロックスタートの人たちばかりだ。ということは、これからあの反対側に戻ってくるまでにかなりの距離を走ることになるだろう。もう先頭とは少なくとも5km前後は離されていると思うからだ。もしかしたらもっと離されているかもしれない。
 西加茂橋の手前の給水所から給食もでるようになった。バナナ、塩飴、そしてプチトマト。給食は取らずに、ランニングポーチに蓄えていたエネルギー補給ジェルを投入する。エネルギーが切れかけて空腹になりかけていた感覚がいっぺんに無くなってしまうのはすばらしい。
 西加茂橋を渡りしばらくいくと20km地点。計測マットの上を通過するとピーッと音が鳴る。最近の大きなマラソン大会では速報サービスがあって、インターネット上でランナーの番号を入力するとリアルタイムにこうして計測した通過時間を知ることができる。これは応援している家族とか知人が、いまどこの辺りをランナーが通過しているか分かる仕掛けだ(基本的に5kmおき)。5kmごとの通過時間も表示されているから、ペースが落ちているのかなども分かってしまう。現代のマラソン大会はグローバルに参加する人が増えているから、地球の裏側にいても、参加しているランナーのゼッケンさえ事前にわかっていればどのあたりを走っているのかわかるところがすごい。
 植物園手前で左折し、北山通に入る。少し行くと給食コーナーがあったので、オレンジとプチトマトをいただく。他に塩コンブがあったが、これはなんとなく微妙なので手をつけなかった。北山通は長い。うんざりするくらい長く走って折り返しとなる。また北山通を戻りなおして25km地点を通過。どうやら脚もそろそろ重くなりはじめてきたようだ。ここからは普段練習でもやっていない距離となる。「さあ、ここからどれだけ粘れるか、だ!!!」と気を引き締める。
 今年から新コースになっており植物園が組み込まれた。ランナーが植物園内を走るので本日は一般の方も無料となっている。おかげでここはとても応援の方が多くて励みになった。植物園をでると、反対の北山通は後続のランナーたちがまだ頑張って通過している。かなり歩いている人も多かった。僕ももしかしたら早々に故障してあの歩いている集団の一員になっていたかもしれないのだ。とにかくひとつひとつ関門をクリアしていけよ、と思う。
 再び賀茂川沿いを走る。河川敷に降りる前からペースがぐっと落ちてきだした。27km地点だったと思う。苦しいがまだまだ粘れる。たしか昨日Yさんが「30km地点あたりで応援しているね」といっていた。彼女の応援を受けるまでは絶対歩かない、と決意する。ただ、さきほど2回目のエネルギー補給ジェルを投入したが、これが原因だと思うが少し横っ腹が痛くなってきた。少し脇腹を押さえ気味に走るが15分ほどたたないと痛みが取れなかった。
 道路から河川敷におりて、かなり狭い道を多くのランナーが走っている。この河川敷はやはり普段のランニングをするには最高なんだろうな、と思える景観である。でもいまは苦しみながら走っているので景観を楽しむどころではなく、早く30kmを通過したい一心だった。ただしここで一つ問題が発生した。時計をみると昨日Yさんに「12時〜13時ごろ通過します」といっておいた約束が果たせなくなるのが確実となったことだ。意外にも11時48分には通過してしまったのだ。僕もこのあたりではYさんを探しながら走ったが見つけることができなかった。ということは、約束通り今ごろご自宅をでてこのあたりにむけて歩いている途中だろう。心の中で「悪いことをした」と思った。もう来ない人を1時間も待ち続けさせることになってしまった。マラソンが終わったら電話で謝ることにしよう。
 延々続く賀茂川の河川敷を無事に走り切って道路にでる。自分でも信じられないが35kmまで粘ることができている。そういえば、ノーベル賞受賞者である山中伸弥先生もこの京都マラソンを走っているが、記録をみると僕はこの30km〜35kmのどこかで山中先生に抜かれている。山中先生はサブ4(4時間切り)を達成していたが、僕より6歳も歳上なのにそんなすごい記録を出していることで、今後に向けて更なるモチベーションアップをさせていただきました。
 35km地点がちょうど京都市役所であり、京都産業大学の応援団がエールをくれる。やはりマラソン後半でのこうしたエールはとてもありがたい。また市役所前に給食コーナーがあり、全コース唯一の生八つ橋がおいてある場所なのだが、僕はエネルギー補給ジェルのほうを優先したいのでスルーさせてもらった。補給したものはすぐに燃焼させたいので、即効性のあるもののほうがいい。
 36kmあたりだっただろうか。鴨川(賀茂川と高野川が合流して鴨川となる)沿いにある川端通を走っていると上空にハトの群れが飛んでいるのが見えた。それをみて、ふと昨日の千葉真子さんのアドバイスを思い出した。僕は背伸びを2回して前かがみになっていた姿勢を正した。ガチガチに凝り固まっていた肩甲骨のあたりが延ばされる感覚をありありと感じた。残り6kmになったがこのまま頑張れそうな気がしてきた。しかし過去には東京マラソン2012でも、35kmあたりで走行が止まったことを経験しているので安心はできない。ペースはかなり落ちてきているが粘るのみ。とにかく前向きなことを考えて気分を少しでもハイにしつづけることが重要だ。
 37km過ぎくらいだっただろうか。だんだん上り坂になってきだした。ただでさえ苦しみながら走っているのに上り坂がきた。それもずっと先をみても延々続いている感じだ。たぶんこの登りは1kmくらいは続いたと思う。実はこの頃には右膝に違和感を感じはじめていた。本当に苦しかったが、過去に苦しみながら止まらずに走り続けたランナーたちを思い出しながら耐えしのんだ。「青島太平洋マラソン(2009)」のラスト3kmを走ったノッチの姿も思い出した。あのときは僕も苦しみながら最後は走り続けたっけ。あの苦しみに比べればまだ今はそこまでいっていない。
 登りの先にある折り返し点を通過すると逆に今度は今登ってきた道をくだって行ける。下りは脚に来やすいのでペースを意識的に落として脚への負荷軽減に努める。そして京都大学の前を通過してもう一度背伸びをして胸をぐっと張り出す。ハトのように。

 平安神宮のゴール手前の両側は応援する人たちで埋め尽くされていて最後のフィナーレを迎えるに相応しい場となっている。ランナーのゼッケンを読み取ってマイクで「○○さん、お疲れ様でしたー」などと掛け声をかけてくれている(もちろんランナーもたくさんいて全員の名前は拾えませんが)。
 4時間を少しだけオーバーする時間でゴール。4時間切りはできなかったのは残念だが、一度も止まることなく完走したことが何より嬉しかった。この達成感は自分の人生にとってかけがえのない宝になる。そしてこの両手に数え切れないくらいしてきたハイタッチの思い出が自分にとっての財産になる。

 荷物を受け取り、着替えをする。Yさんにお詫びするために電話をしなきゃ、と思って携帯電話をみると応援メールが入っていた。和歌山の友人Oさんだ。朝方、手荷物をちょうど預けたころに着信していたので気づくのが遅れたが、完走の報告も兼ねて返信を返した。Oさん、応援メッセージありがとうございました。とても嬉しかったです。
 そしてYさんに電話。「どうだった?」と心配そうな声。たぶんリタイアしたと思っていたようだ。事情を説明してゴールしたことを伝えた。やはりYさんは12時頃から30km地点付近の橋の上から応援に繰り出してくれていた。本当に申し訳ないことをしたなぁ、と思うとともにみんなの優しさが心にしみた。



計測ポイント スプリット
(ネット)
スプリット
(グロス)
ラップ
Start 0:02:14 0:00:00
5km 0:29:25 0:27:11 0:27:11
10km 0:56:32 0:54:18 0:27:07
15km 1:23:23 1:21:09 0:26:51
20km 1:51:01 1:48:47 0:27:38
中間点 1:57:07 1:54:53
25km 2:19:07 2:16:53 0:28:06
30km 2:48:50 2:46:36 0:29:43
35km 3:19:14 3:17:00 0:30:24
40km 3:50:54 3:48:40 0:31:40
Finish 4:04:01 4:01:47 0:13:07


前日まで         マラソン          ホーム