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八代亜紀の「ほんね」

昔は「歌は世につれ、世は歌につれ」と言ったようで、要するに「世相を反映した歌が流行る」と言う意味なんだろうけど、最近では個人の価値観多様化により、「流行る歌」というのには中々お目に(耳に?)掛かることが少なくなったような気がする。
もちろん、浜崎あゆみやケミストリー等はミリオンヒットを連発しているようだけど、どうも違う。
使い捨ての歌ばかりでちっとも心に残らない。
心に残らないという事はその「時代」にも残らないので、いずれ忘れ去られていく。
その証拠に、去年の今頃はどんな歌が流行っていたのかすら、もう記憶にない。
これは僕の頭の悪さのせいだけではないはずだ。
(ちなみにモー娘。はかわいいから許す。こういうところも価値観の多様化でしょうか)

そんな鼻をかんだ後のテッシュの様な歌ばかりに囲まれてウンザリなので、「今、流行」とは対極にある「今、全然流行っていない」演歌がこのところ僕の中ではひそかなブームなのだ。
テレサ・テン(この人は演歌じゃないけど)や美空ひばり。石川さゆりの「天城越え」なんかはしびれるねぇ。
なかでも一番のお気に入りは八代亜紀。
という事で今日、八代亜紀のCDを借りてきた。
最近では便利になって、ちよっと前ならCDからカセットテープへダビングするのに結構時間が掛かっていたけど、今ではパソコンへ簡単にしかもすぐに取り込めちゃう。
1曲10秒も掛からないんじゃないかな。
今日借りてきたのは「八代亜紀・パーフェクト・ベスト99」というやつで、もちろんあの「雨、雨、降れ、降れ、もっと降れ〜」も入っている。

「やっぱり、演歌は八代亜紀だねぇ」などと思いながら、ふと歌詞カードを見ると「ほんね」という曲の歌詞の漢字のところに、誰かがローマ字で振り仮名を書き込んであるのを見つけた。
これを見て、想像力が逞しい僕は思った。
その娘はきっとフィリピン辺りから出稼ぎで日本へ来て、場末のスナックやキャバクラなんかで働いているのだろう。
店では「モナリザ」と呼ばれていて、もちろん源氏名なんだけど、酔っ払い相手の仕事の毎日に故郷に帰りたくて涙する夜だって一晩や二晩じゃないはずだ。
だけど、故郷には病気がちの母親と年の離れた妹と弟が、自分の仕送りを待っているから帰る訳にはいかない。
そんな時、お客の一人が親身になって身の上話しを聞いてくれて、気が付くとその男に惚れていた。
「ほんね」という曲は店で誰かがカラオケで歌ったのを聞いたんだろうね。
そんな事を想像して、会った事もない「モナリザ」が幸せになって欲しいと思ったひな祭りの夜でした。


ほんね/八代亜紀歌
たかたかし作詩/杉本眞人作曲/矢野立美編曲

遊びという字が服を着て 
歩いているよな人だけど
おまえがいなけりゃだめなんて 
ツンとくるよなことも言う
帰ろかな それとも別れてしまおうか 
お酒をのんでも酔えないし
愛想づかしも度重なれば 
どこかばかばかしくて 涙もでやしない

尻切れとんぼを絵にかいた 
あんたに泣かされつづけても
こどものまんまの無邪気さに 
ほれて今日までついてきた
帰ろかな あんたが待ってるあの部屋に 
外は秋雨しとしとと
こんな夜にはひとりがつらい 
ドシで浮気者でも あんたのそばがいい

帰ろかな お店もそろそろ終わりだし 
男拾って遊ぶほど
そんな勇気もあたしはないし 
ドシで浮気者でも あんたのそばがいい
あんたのそばがいい

2002. 3. 3

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