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ギリシヤ神話 「トロイ戦争」〜前編〜

先日、「トロイ」を観に行った。
なかなかのスペクタクル映画で、楽しい時間を過ごす事が出来ました。
主演のブラッド・ピットは僕と同い年で、彼がこの映画の為に鍛えた身体を見ながら、僕もがんばらなくてはいけないと、出っ張ったお腹を撫でながら思ったものです。
ところで、この映画「トロイ」はホメロス作「イリアス」という詩をベースにしていて、「イリアス」はギリシヤ神話を元にしている。
それではギリシヤ神話ではこのトロイはどの様に描かれているのだろか。
そんな訳でちょっと調べてみました。


【スパルタ王妃 ヘレネ】
ギリシヤ神話はその名の通り、神々についての話で、その神の中の神というのがゼウス。
ところがこのゼウスというのは非常に浮気者でヘラという妻が居ながらあっちこちの美女に手を出します。
ある時、森の泉で沐浴をしている美しい女性を見つける。
ゼウスは白鳥に変身しその女性に近づき、そして本懐を遂げる。
その女性こそがレダで、この交合により生まれたのが後にスパルタ王妃となる、絶世の美女ヘレネである。

【トロイ王 プリアモス】
一方、トロイの方はと言うとこちらも元を辿ればゼウスに突き当たる。
詳しい系図は分からないが、この「トロイ」の物語の時代の王、プリアモスはゼウスから数えて6代目となるらしい。
このプリアモスには50人の息子と50人の娘がいた。
映画では大人しそうなお爺さんで、二人の息子しか出てこなかったが、やるときゃやる人だったんだね。
その中の息子、パリスが生まれる直前、預言者に「次ぎに生まれてくる子はやがて国を滅ぼすであろう」と宣告されてしまう。
恐れおののいたプリアモスは、生まれたばかりのパリスを山奥へ捨ててくるように奴隷に命ずる。
奴隷は言われた通り、山奥へ捨てて来るがのだが、5日後に様子を見に行くとメス熊に育てられていた。
そのあどけない可愛さに、奴隷はパリスを自分の家へ連れ帰り、育てる事にした。
(注:この時代の奴隷は割と自由に暮らしていて、働けばお金がもらえ、そのお金を貯めて自分を買い戻し、自由の身になる事もできたそうだ)

【パリス】
月日は流れ、パリスは山奥で家畜の世話などをしながらノンビリと暮らしていた。
その頃の逸話に、こういったものがある。
立派な青年に成長したある日、パリスが高原を散歩していると3人の女神が現れた。
その3人はゼウスの妻のヘラ、知恵の神のアテネ、そして愛の神のアフロディテである。
彼女たちは3人の中で誰が一番美しいかをパリスに判定させようという考えだ。
ヘラは「私を選んでくれたら、地上で一番の権力者にしてあげるわ」と言う。
アテネは「私を選んでくれたら、地上で一番の知恵者にしてあげるわ」と言い、そしてアフロディテは「私を選んでくれたら、地上で一番美しい女をあなたの妻にしてあげるわ」と言う。
そもそも、美しさを競っているわけだから、この様な特典が付く事はおかしな話なのであるが、山の中で育ったパリスにはこの女神たちの申し入れで一番心をときめかせたのはアフロディテの言葉だった。
「おっ、いいオンナを紹介してくれるのか。ごっつぁんです」とでも思ったのだろう、いつの時代になってもオトコとは考える事は同じなのである。
単純である。
そしてパリスは「アフロディテ、あなたが一番です」と宣言したのだった。
面白くないのは他の二人。
「いつの日か、おまえの故国のトロイを滅ぼしてやる」と言い残すと足早に立ち去っていた。
そのため、トロイの戦いの時、アフロディテはトロイの守護神となり、そしてヘラとアテネはギリシヤ連合軍の守護神となるのだった。

【ヘクトルとパリス】
その後、パリスは河の神の娘のオイノネを妻として迎えるのだが、どう贔屓目に見ても容姿は「並」である。
「あの約束はウソだったのかなぁ」と思っていたある日、トロイ王のプリアモスが競技会を開催するとのウワサを聞き、パリスはこれに参加することになった。
山の中の大自然に鍛えられ、腕力に自身のあるパリスは順調に勝ち進み、いよいよ決勝戦である。
決勝の相手はプリアモス王の息子、ヘクトル王子。
前にプリアモスにはは50人の息子と50人の娘がいたと紹介したが、当然、奥さんは何人もいたのだが、その中で一番権力を持っていたのは第2婦人のヘカベ。
その第1子がヘクトル、第2子がパリスであるが、この時点では、自分たちが実の兄弟とは知らない。
いよいよ、戦いが始まり、しばし熱戦が続いたが、ヘクトルが石につまづいて転んだスキをつき、パリスが勝利を収める事になる。
ヘクトルにしてみれば、山奥から出てきたイナカ者に負けてしまっては王子としての面目が丸つぶれである。
「おのれ!羊飼いめ、手打ちにしてやる」と剣を抜いてパリスを刺し殺そうとした時に妹のカッサンドラが飛び出して来てきた。
「待って、お兄さん。この人はただの羊飼いじゃないわ。私たちの兄弟よ」とパリスを指をさし、そう告げた。
このカッサンドラもプリアモスの第2婦人、ヘカベの末娘なのである。
カッサンドラがどの様にしてパリスが自分たちと兄弟だと知ったのかは分からないが、調べてみると確かに彼女の言うことに間違いない。
プリアモスもヘカベも大いに驚き、過去に預言者から「国を滅ぼす」と言われた事などすっかり忘れ、逞しくそして輝く様な美貌の青年となったパリスを暖かく迎えるのだった。
(パリスの妻のオイノネはどうなった?)

【略奪愛】
さて、すっかり忘れさられていたアフロディテの約束だが、いよいよ果たされる時が来た。
パリスの前に現れたアフロディテは「スパルタの王妃、ヘレネをあなたの妻にしなさい」と言います。
いいんですか?パリスもヘレネも既婚者ですよ。
しかし、アフロディテは愛の神様です。愛があればすべてはOK。
パリスはアフロディテに連れられてスパルタへ行きますが、運良く、その時はスパルタ王のメネラオスは祖父の葬儀に出席中で不在であった。
初めて会ったパリスとヘレネは絶世の美男美女なのだから、無理もない。
お互い一目ぼれ、Fall in love
二人は手に手を取って駆け落ちをし、トロイへ帰ってきてしまう。
スパルタへ戻ったメネラオスは妻の不倫と友の裏切りに大激怒(当たり前です)。
そこで兄であるアルゴス王のアガメムノンに相談をします。
実はメネラオスがヘレネと結婚する時には一つ約束した事があった。
絶世の美女といわれたヘレネには山のように求婚者がいた。
ヘレネの養父であるデュンダレオスは無条件で婿を決めてしまうと後に禍根を残す事になってしまうと考え、ヘレネの花婿になりたい者に次ぎの約束を誓わせた。

 (1)花婿になりたい者は立候補し、その後、ヘレネ自身が婿を選ぶ
 (2)ヘレネの選択に全立候補者は不服を言わない
 (3)
もし、後日、この決定に不満を持つ者が現れたり、ヘレネを奪おうとする者が現れた場合、全立候補者は一致協力をして、その暴挙に立ち向かうこと

実はアルゴス王であるアガメムノンには一つの野望があった。
広大な自分の帝国の覇権を確かなものとする為に、前々からトロイヘ攻め込む口実を探していたところへ、メネラオスからの相談である。
渡りに船とばかりに、かつての花婿候補たちを集め、アガメムノンを総大将としたギリシヤ連合軍が組織され大船団がトロイへと向かった。
これが10年にも及ぶトロイ戦争の始まりである。

  <つづく>

2004. 6. 6


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