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バカ息子の為に父親は二度腹を切る

今年の春、父親が脱腸の手術をした。
原因は分からないが、下がってしまった腸をハンモックの様に吊るし上げる手術で、その時は情けない病気になって、と思ったくらいで特に心を痛める事はなかった。

ところが半年後の11月、胃ガンが見つかり手術をする事になった。
人一倍怖がりで、痛がりで、風邪をひいても注射が怖いから中々病院へ行こうとしない、そんな父親が腹を切られると思うと、なんだか可哀相になってきた。
脱腸の時には何とも思わず、母親からせかされてお見舞いに行ったのだが、今は時間の都合が付けば毎日顔を出している。
半年の間に僕は人の痛みを少しは感じられる様に成長したのだろう。

本当なら、とっくの昔に分かっていなければいけない事なのだが、いい年になってそんな事も分からないバカ息子の為に父親は二度も腹を切らなければならなかったのだ。



<その後の父親>
胃を2/3取ってしまう手術は上手く行き、ガンもまったくの初期で、主治医に摘出した胃を見せてもらったが、「ここが腫瘍です」と言われても全く分からなかった。
父親は痛がりの本領を発揮し、病院中に響き渡るくらい「ウーン、ウーン」と唸っていて、婦長さんに「少しは我慢しなさい」と叱られていた。

2005. 12. 3


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