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長崎の旅 〜怒涛の2日目〜
9月18日(土)
長崎の2日目は大浦天主堂(国宝)から回る。
路面電車で大浦天主堂下駅まで行き、そこから石畳みの坂道を登っていく。
浦上天主堂もそうだったけれど、教会というのは街の中心になるので高い所に建てられる様だ。
ここは原爆の爆心地から4km以上離れていたので壊滅的な被害は無かったらしい。
この教会にもステンドグラスが有るが、幾何学模様のデザインで、なんだか作りが大まかな感じがして、僕としては浦上天主堂の方が好みのタイプだ。
浦上天主堂は教会の建物の中に入れても、柵が設けられていてイスのある所までは行けなかったが、大浦天主堂は柵が無く、前まで行けるので細かな所まで見ることが出来る。
全てが古い物なので、ピカピカで綺麗と言う訳にはいかないが、どれも歴史をくぐり抜けてきた重みを感じさせる。



【大浦天主堂】
威風堂々とした建物です


大浦天主堂の隣にグラバー園がある。
グラバーは幕末に薩摩や長州などの諸藩に武器や軍艦を売って大儲けをした、悪い言い方をすれば『死の商人』なのだが、勝てば官軍で、その様な言われ方はしない。
それどころか、日本の近代化に貢献したとのことで、後に外国人で初めて叙勲されている。
いいヤツだったのか、悪いヤツだったのか。
それから僕は知らなかったのだが、キリンビールの前身となるジャパン・ブルワリーという会社に携わっていたそうで、キリンのヒゲはグラバーのヒゲから来ているらしい。
だから長崎ではキリンビールを飲むことにしよう。(関係ないか)

グラバー園にはグラバー邸(重文)の他にリンガーやオルトといった当時の貿易商の住宅も移築し展示されている(いずれも重文)。
もちろん、どれも洋風でハイカラな建物。
今でも十分に通用するデザインなんじゃないかな。
余談だが、愛知県の犬山市に『明治村』という歴史博物館があり、全国から明治時代の建物を移築して展示し.ている。
僕はそこが好きで、ずっと前にデートで出掛けた事がある。
このグラバー園もそんな所だ。

入園した時にもらったパンフレットによれば、グラバー園にはハートストーン伝説というものがあって、園内の石畳の中にハートの形をした石が2つ有り、これに触ると恋が叶うらしい。
さっそく探してみたものの、当たりは石だらけでちっとも見つからない。
そうこうしているうちに、団体旅行のガイドさんが「ここにあります」と説明をしているのを聞いて、ようやく見つける事が出来た。
自分で見つけられないから恋が叶わないのか・・・・



【グラバー園のハートストーン】
右がグラバー邸前に、左はレストハウスの傍に有りました



【自由亭】
シックな大人の雰囲気が素敵てす

グラバー園内にある自由亭というカフェでカステラと水出しコーヒーで一服してから、オランダ坂へ向かう。
なんと言っても長崎は坂の街で、それはもう、いやんなるくらい坂だらけだ。
しかし、そのお陰で街が立体的になって、平地にビルばかり建っている所よりはずっと表情が豊かだ。
そんな坂の街の代表がオランダ坂というわけ。
石畳の坂には風情があるものの、やはり坂なので上るのはシンドイ。




【オランダ坂】 と 【三角溝】
石畳の道はアスファルトと違い、自然の柔らかさを感じます

オランダ坂から活水学院の横を通って坂(と言うか、階段)を下りて中華街に向かう。
日本三大中華街の一つで、僕はこれまでに神戸と横浜をクリアしているので、これで完全制覇になる。
しかし、日本三大中華街の一つと言うわりには小規模。
十字路の2本の通りだけで、ちょっと歩くとすぐに通り抜けてしまい、「えっ、もうお終い?」となってしまう。
中華街と言うよりも中華通りだ。
ここでは長崎のB級グルメの"角煮まん"を食べる。
角煮を肉まんの様な生地で挟んだ、ハンバーガーの様な食べ物だが、30℃を超える炎天下で食べる代物ではない。
そんな状況なので、味は分からないが、食べる事が目的なので、兎に角ミッション・クリアだ。


【長崎中華街】
中秋の名月が近いので提灯が沢山ぶら下がっていました

そろそろ昼になるので大浦天主堂下駅まで戻り、グラバー園の前に有る『四海楼』という店でちゃんぽんを食べる。
この店がちゃんぽんの発祥地という事もあってか、開店時間の11時半に行ったにも関わらず既に30分待ちだった。
ちゃんぽんはこの店の初代が中国からの留学生に安くてボリュームの有る料理として考案され、最初は『支那饂飩(しなうどん)』と呼ばれていたそうで(メニューにそう書かれてあった)、確かにボリュームがあって、「全部食べきれないんじゃないかな」と思うくらいだった。

紺色のポロシャツは汗が乾いて白くマダラになっている。
4日後の9月22日は中秋の名月だというのにこの暑さ。
まだまだこの中を歩き回る予定なので、四海楼の1階にあるみやげ物店で帽子を購入する。
"龍馬"と刺繍された帽子で、見るからに「観光できました。龍馬の大ファンです。ブームに乗ってます」と宣伝しているみたいでカッコ悪いけど、他に無いので仕方が無い。
帽子を目深にかぶり、いざ次の目的地の亀山社中記念館へ向かう。

路面電車を公会堂前駅で降りたのは良いが、ここからの道順が良くわからない。
幸い、近くに案内板があったので、それをデジカメで撮影して地図代わりにしようと考えた。
その案内板を良く見ると、眼鏡橋が近くに有る事が分かり、折角なので見てみる事にした。
この橋は確か、随分前に台風か何かで流されたとニュースで見た記憶がある。
半円のアーチ状の橋げたが2つ並んでいて、それが川面に映ることで丸眼鏡の様に見えることから眼鏡橋と呼ばれている。
まぁ、言ってみれば普通の石橋で、皇居の二重橋とさほど違いが無い様に思える。
(♪あれが、あれが眼鏡橋。記念の写真を撮りましょうね〜/鳥倉千代子:長崎だョ、おっ母さん)

そんな事よりもガイドブックによれば、グラバー園のハートストーンと同じ様に、この川の石垣にハート型の石が埋め込まれているそうだ。
しかもグラバー園よりも石が多く、その難易度はアップする。
もちろん、グラバー園でさえ見つけられなかった僕がここで見つけられるはずも無く、またまた、眼鏡橋のガイドさんが他の人に説明しているのを横目でみながら、「おぉ、確かにハート型だ」とようやく見つける事が出来た。
ここにはハート型の石の他にスマイルマークに似た石も有ったりして、色々と探してみるのも楽しい。
(後日、ネットで調べてみたらハート型の石は20個近くあるそうだ)


【眼鏡橋】 と 【ハートストーン】
長崎とハートは何か関係があるのだろうか。

眼鏡橋からほど近くに『長崎まちなか龍馬館』という龍馬に関する施設を巡る『長崎龍馬の道』の拠点がある。
『長崎まちなか龍馬館』は拠点なので特別な何かを展示しているわけではなく、パネルで幕末の偉人たちや長崎の特産について解説している。
唯一、女傑・大浦慶の灯篭が展示されていたけれど、特に感想は無い。
一方、『長崎龍馬の道』は龍馬に関する施設を巡る道で、例えば午前中に行ったグラバー園内にあるオルト邸や、これから行く亀山社中跡など『長崎まちなか龍馬館』も含めて41ヶ所ある。
これを順々に回っていくのも面白いかもしれないが、今回は時間が無いので又の機会にという事で・・・。

さて亀山社中記念館だが、龍馬通りという所を通って行かなければ意味がない。
この道は龍馬を始め、亀山社中の面々が通ったであろうとの事でその名が付けられている。
しかし、その道がとんでもない坂道で、まるで登山をしている様。
実際、亀山社中記念館は風頭山の中腹に有るので登山という表現も決して大げさではない。
それにしても、よくも龍馬たちはこんな坂道を毎日通ったものだと感心するところだが、ここは今でも多くの人たちがここで暮らしている住宅地。
お住まいの皆さんは、競輪選手の様な立派な太ももをしているんだろうな。


【龍馬通り】 と 【亀山社中跡】
この坂道を延々と上って行ったのです


亀山社中記念館への入場は20人くらいづつに人数制限をされていて、10分程待ってから入場した。
建物は普通の古い民家の様で、中には龍馬の着物やブーツ、ピストル(もちろんみんな複製品)が展示されていたり、亀山社中や海援隊の歴史がパネルなどで説明されていた。
この建物がどれだけ当時のものを再現しているかは分からないが、この様な歴史的な場所や建物では、当時の人と時間を越えて同じ場所に居ることの不思議さを想像するととてもワクワクする。
柱を触っていても、時間を越えて龍馬と一緒にこの柱を触っているかもしれないと思うとドキドキする。
また逆に、龍馬か百数十年後に、ここに多くの人がやってくると思っても居なかっただろうなぁと想像するのも面白い。
建物の中はそんなに広くは無く、じっくり見ても30分くらいで終わってしまう。
一通り見終えて出てみると、さっきまで並んでいた列がほんの僅かな間に3倍以上の長さになっていた。
もう少し遅く来ていたらこの行列の中に飲み込まれていたかもしれない所だった。

亀山社中記念館を出てすぐ右手に『龍馬のぶーつ』がある。
これは、亀山社中の創設が日本の近代国家への新しい一歩となった事から、それを記念して『亀山社中ば活かす会』という団体(?)が龍馬のトレードマークであるブーツ像(これも銅像と言うのだろうか)を建立したそうだ。
ブーツと言うのは中々良いアイデアで、靴を履いたままでも履けるところが良い。
ここからの眺めもまた亀山社中の面々が見た景色だろう。
そして近藤長次郎は眼下の家々の先に広がる海がヨーロッパやアメリカに繋がっている事にどれくらい心を躍らせたのだろう。




【龍馬のぶーつ像】
靴のまま、結構余裕で履けちゃいます

亀山社中記念館までの坂道を更に少し上っていくと、亀山社中資料館がある。
一旦、それとは気が付かずに通り過ぎてしまったほど、なんでもない、普通の民家の様な建物がそれだ。
中も普通の民家の様で、古い写真のパネル等が展示されていているくらいで、これといって見るところは無かった。
ここで一番目を引いたのは、有名人のサイン色紙が沢山飾られていた事。
『龍馬伝』の脚本家、福田靖を始め、お元役の蒼井優や、『龍馬伝』とは関係無いがビビル大木や宮川大輔など芸人のもあり、20人近くの色紙が壁に飾ってあった。
資料館を出てスニーカーの紐を結んでいたら、僕の近くにいた2人のオバサマにガイドさん(多分、タンシーの運転手さん)がこの資料館の説明をしていた。
その話を盗み聞きをしたところによれば、資料館を運営している『亀山社中ば活かす会』が以前、先に訪れた亀山社中跡で一般公開をやっていたそうだ。
その後、事情があって閉鎖していたが、NHKの大河小説で『龍馬伝』をやる事が決まり、長崎市が亀山社中跡を借りて(あそこは個人の私有地らしい)再整備して『亀山社中記念館』として公開をし、『亀山社中ば活かす会』は以前の亀山社中跡で公開していた展示品を、公民館だったこの場所に移して資料館を始めたと言うことだ。
(『亀山社中ば活かす会』のホームページに拠れば、この資料館での公開は今年の12月28日までだそうです。まだの方はお早めに。)
*ウィキペディアで改装前の亀山社中跡の写真を見る事ができます。

資料館を出て、更に坂道を登って行く。
どうして階段がついていないんだと思うくらいの急坂を、前傾姿勢でヒーヒー言いながら登っていく。
(僕個人としては登山をしている感覚なのだが、実際には住宅地なのです。)
そして登った先に『風頭公園』があり、そこに『坂本龍馬之像』がある。

『坂本龍馬之像』から少し離れた場所に展望台があり、長崎市街を一望出来る。
稲佐山からの眺めとは違い長崎市街の向こうに湾が見えるので、龍馬を始め亀山社中の面々は自分たちが住んでいるこの街が海を隔てて外国と繋がっている事を実感したんじゃないだろうか。




【坂本龍馬之像】
像の横は亀山社中の旗

行きはどこまで続くのかと思うくらい延々と上り坂だったが、帰りの下り坂は「いままでのは、うっそピョ〜ん」と言う感じで、あっと言う間に龍馬通りの入り口まで戻ってきた。
ほんと、呆気ないほどに。
さて、次に向かうところだが、長崎と言えば出島である。
当時の出島を復元した『出島』(正式な名称は何て言うのだろう)は路面電車の出島駅からすぐ近くにある。
出島と言うと回りを海に囲まれた、いわゆる”出島”をイメージしていたが、ここは街の中。
周りは建物や道路に囲まれている。
園内には復元された建物が何棟も建っていたが、言ってみればここは貿易をする場所だったわけで、これと言って僕の興味を引くものは無かった。
と言うか、朝から歩き回って疲れ切っていたので、好奇心が沸いてくるほど元気が無かった。




【出島】
侍の格好をした人が案内をしてくれます

もう、ホテルへ戻ろうかとも思ったが、もう一カ所行ってみたい所があった。
『出島』から路面電車が走る道路を挟んで反対側のビルの裏側に『出島ワーフ』というころがある。
ガイドブックを見ても何の施設か今一つ分からなかったが、飲食店がありそうだったので休憩がてらに行ってみた。
そこは長崎港に面した場所で、船やヨットが停留していた。
陸地側には主に飲食店が軒を連ねた建物があり、オープンカフェにはカップルがジュースなどを飲んでいて、どうにもオッサン一人でビールなど飲める雰囲気では無いので、さっさとホテルへ戻ることにした。



【出島ワーフ】
もう少し遅い時間だったら、夕陽が綺麗だったろうなぁ

ホテルで少し休んでから、夕食に出かける。
今夜は長崎グルメのひとつ、”トルコライス”を食べに行く。
ホテルの近くのラーメン屋の店先のメニューにもトルコライスが書かれてあったが、皿うどんの時と同様に、もう少しちゃんとした所で食べようと長崎駅前まで来た。
そもそもトルコライスがどんな所で食べられるのか分からず、駅前をグルグル回って疲れるだけだった。
長崎駅の2階にロイヤルホストを見つけ、ひょっとしたら有るかもと思ったらビンゴ〜。
ロイヤルホストは全国展開しているファミリーレストランだけれど、長崎限定でトルコライスを始め、ちゃんぽんや皿うどんがメニューに入っている。
料理が運ばれてくる間、手持ち無沙汰だったので他のテーブルを観察したところ、僕の席から確認出来る範囲で8人中6人がトルコライスを注文していた。
ちゃんぽんや皿うどんやその他、普通のメニューだってあるのに長崎市民はどれだけトルコライスが好きなんだと思ったが、大人のお子様ランチと呼ばれているくらい、みんなの好きな物が沢山入っているのだから、それは当然かもしれない。
ロイヤルホストのトルコライスはスペシャル・トルコライスで、通常のトルコライスだとピラフ+スパゲティ+トンカツのところ、トンカツの代わりにハンバーグになっていて更にエビフライ、フランクフルト、目玉焼きが追加されていて、正にスペシャル。
それにしても、カロリーがすごく高そうなメニューだ。

満腹のお腹を抱えて2日目の長崎の夜は更けていく。


2010. 10. 4

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