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今更、「尾道三部作」&「新尾道三部作」の旅 (後編)

さて後半は「新尾道三部作」です。
正直言って、この三作品にはあまり思い入れが無いので、気合が入っていません。


【ふたり】1991年作品

<ストーリー>
美人で頭脳明晰な千津子とドジでノロマな実加の姉妹。
ある日、千津子が事故で急死し、そのショックで一家は火が消えたようになってしまう。
それでもなんとか姉の死を乗り越えていく実加。
そんな彼女の前に死んだはずの千津子が現れ、実加は千津子の力添えで、数々の困難を乗り越えていく。
そんなある日、父の浮気が発覚し・・・。
<キャスト>
北尾実加・・・・石田ひかり
北尾千津子・・・中嶋朋子
実加の父・・・・岸部一徳
実加の母・・・・冨司純子


■事故現場
千津子が交通事故に遭った場所
昔は千津子の命日には花が添えられていたそうだが、今は静かな住宅街を取り戻している。
映画で丸太を積んだトラックが止まっていた坂は、実は海徳寺へ続く参道になっていて、本当はトラックなんかが入るスペースは無い。
そこでトラックを切って撮影をしたと大林監督がDVDの特典映像で語っていた。


家の前の石段に座って休憩をしていたお婆さんに、「どこから来たん」と聞かれた。
「愛知県から来ました」と答えると
「うへぇ〜、遠くやのぉ」と、お婆さんは笑った。



【あした】1995年作品
<ストーリー>
小型客船呼子丸が乗客9人を乗せて行方を絶ってから3ヵ月たったある日、家族や恋人を失った人々の元に、"今夜午前0時、呼子浜で待っている"という不思議なメッセージが届く。
半信半疑ながらも浜に向かう人たち。
それぞれの思いを胸に午前0時を待つ。
やがて約束の時間となり、海面から呼子丸の姿が現れ・・・。
<キャスト>
原田法子・・・・高橋かおり
大木貢・・・・・林泰文
朝倉恵・・・・・宝生舞
金澤弥一郎・・・植木等
永尾要治・・・・峰岸徹


■兼吉バス停
映画のメイン舞台となる船の待合所
尾道水道を渡る為の渡船はいくつもあり、「さびしんぼう」で小百合が通学に使っていた「福本渡船」から少し東側にある「尾道渡船」で向島へ渡る。
日常で船に乗ることの無い僕にとって、たとえそれが短い時間だとしてもワクワクさせてくれる。

「尾道渡船」で渡ってすぐの所、うさぎ跳びでも行けるくらいの所に「兼吉バス停」はある。
映画では呼子浜にある船の待合所だったが、それを移築して現在はバス停として使用されている。
以前は映画で使った船、「呼子丸」もあったらしいが、老朽化により映画同様、沈んでしまったそうだ。

この「尾道渡船」はだけでは無く、NHKの朝の連ドラのロケ地としても使用されたそうで、あちらこちらにその案内板があった。
16年も前の余りヒットしなかった映画のよりも、まだ記憶に新しいの方が受けが良いのだろう。


映画では船の待合所として使われていたけれど、僕にはどんな建物だったか印象が薄い。
実際に訪れて、「ああ、確かこんな感じだった」と漸く思い出す有様だ。



【あの、夏の日 とんでろ じちゃん】1999年作品

<ストーリー>
ボケ気味のおじいちゃんを監視するため、夏休みに尾道を訪れた少年、由太。
町に残る不思議な伝説を聞かされた彼は、おじいちゃんが唱える謎の呪文とともに過去へと飛び・・・。
<キャスト>
じいちゃん・・・小林桂樹
由太・・・・・・・厚木卓郎
ばぁちゃん・・・菅井きん
お玉ちゃん・・・・宮崎あおい
ミカリ・・・・・・勝野雅奈恵


■天寧寺
小指の取れた、"ヤクザの弥勒様"のある寺
映画では長恵寺と呼ばれていて、山門と階段は摩訶衍寺(まかえんじ)という尾道市街からずっと離れたところにあるので今回はパス。
一方、"ヤクザの弥勒様"のある本堂は千光寺公園へのロープウエイ山麓駅近くの天寧寺にある。
映画には出てこなかったが、国の重要文化財に指定されている三重塔もある。

実際の本堂には弥勒様はなく、別の仏像や三重塔の模型が飾られていた。


■ぽんぽん岩(鼓岩)
由太とおじいちゃんが尾道の街を眺めた岩
千光寺公園へのロープウエイ山頂駅から文学の小道を下り、千光寺を素通りして行くと通称「ぽんぽん岩」と呼ばれる鼓岩に辿り着く。
この大きな岩を石で叩くと普通ならカチカチと音がするハズだが、一部だけポンポンと音がする。
多分、そこだけが空洞になっているのだろう。


岩を叩くための石が用意されていて、至れり尽くせりだ。

*
*
*

何故、20年以上も昔の映画のロケ地めぐりをしようと思ったのかは、自分でも分からない。
元来、思い付きと気まぐれを信条として生きているからなのだろうけれど、前から一度は訪れてみたい街だったのは確かだ。
きっとそれは、都会の平面的な街とは違い、山の斜面に家を建てていった事により街が立体的になって、辺りを見降ろしたり見上げたりが何だか面白そうだと思ったのだろう。
実際に訪れて、益々興味が湧いてきた。
どうして、こんなに坂道ばかりで、しかも細くて迷路みたいで・・・。
でもそれが楽しかった。
さて、今度は何処へ行こうか。
寅さんのロケ地だったら回りごたえがありそうだな。


【おまけ】
◆おのみち映画資料館
尾道市役所の向にあって、大林宣彦が尾道三部作を撮影するもっと前の小津安二郎や新藤兼人(99才でまだ現役!)の作品のポスターなどが展示されている。
そして一番の拾い物は、尾道三部作と新尾道三部作のロケ地マップが入手できる事(しかも無料)。
僕がここを訪れたのは最終日だったので、結局、役には立たなかったが、出来れば最初に入手しておくことをお勧めする。


左が「尾道三部作」、右が「新尾道三部作」


◆尾道ラーメン
今回の旅を計画した時、「尾道のグルメって何だろう」と思った。
尾道水道を挟んで対岸は造船所が並んでいるので、魚料理というのもピンとこない。
で、結局のところ尾道ラーメンになってしまう。

ところで下の写真を見てもらいたい。
「さびしんぼう」で、自転車に乗った小百合を追いかけるヒロキの先に「阿蘇ラーメン」と書かれているのだろうか、ちょっと分かりにくいが、少なくとも「尾道ラーメン」ではない事は分かる。
あれ?どうして尾道ラーメンじゃないの?と思ったが、実は、「尾道ラーメン」という名称で呼ばれる様になったのは20年くらい前からの事で、『さびしんぼう』の撮影当時(26年前)はまだ「尾道ラーメン」と呼ばれてはいなかった(もしくは、まだ一般的ではなかった)そうだ。


つくづく我ながら、細かいところを見ているなぁと思う。

商店街で手に入れた尾道観光情報マップによれば、とある製麺所の社長が尾道のラーメンを全国に広めたいと、「尾道ラーメン」と名付けて全国的に店舗開業支援や普及に努め、その後「御当地ラーメン」のブームに乗って一気にブレイクし、尾道といえば「尾道ラーメン」となったそうだ。
尾道ラーメンの定義は次の通り。
 ・平麺
 ・魚の出汁を使った醤油味
 ・背油を浮かべる
基本は昔からの中華そばで、老舗の店のメニューには尾道ラーメンは無く、中華そばと書かれているので、ご注意を。


◆猫の細道

([SONY α NEX-C3]CMより)
上の写真をクリックするとYoutubeの画面が開きます

TV-CMで耳にした事がある人が多いと思う「猫の細道」。
CMのキャッチコピーか何かだと思っていたが、ここ尾道に実際にあった。
国道2号線の千光寺下交差点から、ただひたすら坂道と石段を登っていくと右手に天寧寺の三重塔が見える。
そこを右に曲がると「猫の細道」のスタートだ。道を下って行くと幾つかの場所に丸っこい石に猫のペイントをされた「福石猫」が置いてある。
これは画家・園山春二氏によるもので、猫の細道以外にも沢山置いてあるらしい。
途中にある「梟(ふくろう)の館」は古民家を改造したカフェで、店内には園山氏が世界中から収集した梟の置物などが飾られている。
「梟の館」から3歩ほど歩いた所にある「尾道アート館」には福石猫がおびただしいほど置かれている他に、映画の資料なども展示されている。
猫の細道の終盤には「招き猫美術館」があり、沢山の招き猫や製作途中の猫石が展示されている。
更に細道をずっと下っていくとロープウエイの山麓駅に出てくる。
だから、ここを出発点にしても良いだろう。


<猫の細道マップ>
(クリックすると大きい画像が開きます)


2011.10. 16

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