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ドラマ『アオイホノウ』

現在、テレビ東京系列で金曜日の深夜に放送されているドラマ『アオイホノウ』を毎週楽しみにしている。
これはゲッサンという月刊漫画雑誌に連載中のコミックをドラマ化したもので、僕は読んだことはないけれど、前々から面白いという噂は聞いていた。
ある時、ドラマ化されてしかも放送中だと聞き、第4話から見始めたのだが、すぐに夢中になってしまった。
まぁ言ってしまえば一目惚れの様なものだ。
見損なった第一話から第三話まではオンデマンドで暗記するくらい見て、もちろん録画したものも繰り返し見て、それからインターネットで『アオイホノウ』について検索をして・・・ってもう虜ってヤツです。
(なのに、まだコミックは読んでいない)

【ざっくりあらすじ】
舞台は1980年、大阪芸術大学(原作では大作家芸術大学)。
主人公、ホノオモユルは漫画家を目指していた。
「自分の実力ならいつでもプロデビューできる」と自信過剰な性格をしていたが、豊かな才能に恵まれた同校の学生達や、あだち充、高橋留美子と言った若手漫画家の台頭を目の当たりにして自信を揺るがされる。
それでもホノオはプロの漫画家になるため歩み始めるのだった。
(Wikipediaから転載&一部修正)

【『アオイホノオ』のここが面白い】
<その1>「この物語はフィクションである」と言っているがほぼ実話

ホノオがライバル視している庵野とはもちろん、『新世紀エバンゲリオン』を監督した庵野秀明であり、彼にアニメを描かせている山賀ヒロユキや同じ班の赤井タカミは後に『新世紀エバンゲリオン』などを世に送り出すガイナックスの設立に参加した山賀博之と赤井孝美のこと。
他にオタキングこと岡田斗司夫や『ネコじゃないモン!』の作者、矢野健太郎も登場する。
ホノオモユル(≒島本和彦)も含め、彼らはその後アニメ界やサブカルを牽引していくのだが、この時はまだ何者でもない単なる若者に過ぎない。
そんな夢しか無い若者たちの青春奮闘記をコメディ劇画風に描いているが、誇張はしているもののほぼ実話らしい。
とは言え、劇中の庵野秀明は寡黙でいつもウルトラマンの模様が描かれたシャツ(しかもカラータイマー付)を着ている変わり者という設定だが、岡田斗司夫によれば実像の庵野秀明はすごく社交的で、また岡田が知る限り初めて会った時から結婚するまで(奥さんは漫画家の安野モヨコ)、庵野は彼女が途切れたことが無いらしい。

庵野秀明
ジブリの鈴木敏夫は庵野に初めて会ったとき、「テロリストみたいだ」と思ったそうだ。
当時の女性はワイルドな男に惹かれていたのだろうか。


<その2>クリエイターとはこういう者だという事を示している

己の才能に過剰な自信を持っている主人公のホノウは同級生の庵野にライバル心を燃やしているが、授業の課題に対しては理屈ばかり捏ねて、「最高のアイデアが浮かぶまで手を付けない」と決め、結局アイデアが浮かばず未提出となるハメに。
一方の庵野は、いつも机に向かい絵を描いていて(学校の場面以外は絵を描いているシーンが殆ど)、ホノウの想像を超えるハイレベルな作品に仕上げてくる。
この違いはホノウと庵野の才能の差ではなく、明らかに作業時間の差。
僕の好きな画家の佐々木豊も「絵が上手くなりたいのなら、とにかく沢山書くことだ」と言っていた。
あの奈良美智も学校にはあまり行っていたなかったらしいが、彼のアパートの部屋一面に絵が描き散らかっていたとか。
ピカソやいわさきちひろも膨大な数の作品を残しているし、ジャンルは違うが小説家のよしもとばななもデビュー前は短編を1日1作書いていたという。
クリエイター(創造者)とは、あーだこーだと言う前に作業をすべきなんだという事をこの作品は語っているのだ。

[佐々木豊 『女流』]


[奈良美智 『春少女』]


[いわさきちひろ 『わらびを持つ少女』]

<その3>柳楽優弥の演技がスゴイ
どうスゴイのかと言うと、主人公のホノオモユルはその名の通り、燃える男なのだが(その割には口先ばかりだが)、その感じが柳楽の濃い顔にバッチリはまっている。
その顔で白目をむいたり、心の内面を大げさに顔で表す、表情の百変化も見どころだ。
演技で言えば、ホノオがベッドの上であれこれと思い悩むシーンが多々あるが、その時のジタバタする感じが本当に気持ちがジタバタしている感じが出ている。
柳楽優弥と言えばカンヌ国際映画祭において史上最年少で男優賞を受賞したことが有名で、その受賞作『誰も知らない』や『星になった少年』など数々の出演作品があるが、どれも観たことが無い僕は陰のある役者という勝手なイメージを持っていたが、彼はこんな演技をやるんだと、イメージが180度変わった。




わずか十数秒の間にこれだけ変化する。
「オマエは情緒不安定か」と言いたくなる。

<その4>懐かしの80年代グッズの数々
ドラマの設定は1980年。
この時代に流行ったものがさりげなく出てきて、妙に懐かしい。
例えばこの時代はポカリスエットが発売された頃で、ドラマに登場するポカリスエットの缶も250mlの物で、しかも缶の上下の縁が飛び出している。
当然プルトップはプルタブ式で缶本体から取り外すタイプ。
ドラマでも外されたブルトップはテーブルの上に置かれていた。
(当時、他の缶ジュースは100円だったのに対し、ポカリは120円だった)
そして服はズボンにイン。
ワイシャッたろうが、Tシャツだろうが、とにかくスボンにイン。
(この少し後にはトレーナーもズボンにインする時代が訪れる)
その他、喫茶店のテーブルはテレビゲームだったり、ビデオデッキはソニーのベータマックスだったり、庵野が着ているウインドブレーカー(当時はヤッケと呼んでいた)も持っていた。
そうそう、ホノウの寮の部屋の壁に貼られている宇宙戦艦ヤマトのポスター、僕の部屋にも貼ってあったなぁ。

縁の出っ張りを無くすことで倉庫のスペースを大幅に削減することでき(わずかな差だが、チリも積もれば山となるである)、その製造技術は当時でも有ったのだが、無くす事による缶の印刷への傷が付き防止技術が無かった。

公式サイトでの『だまされるな!アオイホノオ11のひみつ』も併せてみると楽しさが倍増する。
なんてったって、当事者の岡田斗司夫が当時の事をあれこれと解説しているのだから、面白く無い訳が無い。



2014. 8. 30

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