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ミュージカル『ミス・サイゴン』
ある日、TVを見ていたらCMに見覚えのある顔が。
それは、ミュージカル『ミス・サイゴン』の名古屋公演のCMで、映っていたのは中学時代のクラスメイトの駒田一。
数年前に『レ・ミゼラブル』を観劇しているが、『ミス・サイゴン』は観た事が無い。
と言うか、そもそもミュージカルを観るという趣味が無いので、クラスメイトにミュージカル俳優が居なければ一生観なかったはずだ。



『レ・ミゼラブル』での経験上、ミュージカルではセリフを歌っているので、(これは僕だけかも知れないが)何を言っているのか分からない事が多い。
だから、事前にどんなストリーかを知っておくことが重要だ。

<あらすじ>
1975年4月、ベトナム戦争は、終焉を迎えようとしていた。
ベトナムの田舎娘だったキムは、17歳で家族を失い、家を焼かれ、首都サイゴンまで逃げてきて、通称「エンジニア」と呼ばれる男の経営する売春宿で働くことになった。
最初のお客は米兵のクリスだった。
クリスは、戦争に嫌気がさしていたが、戦友のジョンのおごりでキムを買うことになった。
キムとクリスはお互いにひかれ愛し合い始めた。
1975年4月30日、サイゴン陥落の日、クリスはキムを連れてアメリカに帰ろうとしたが、混乱でキムに会うことができず、一人で帰国した。
帰国後3年たち、クリスはエレンと結婚する。
キムには、13歳の時に親が決めた婚約者トゥイがいた。
トゥイは新政府のもとで高い地位に上り、キムを探しあてる。
しかしキムは結婚を拒み、クリスとの間にできた子供タムがいることを告げる。
逆上したトゥイはタムを殺そうとし、キムはやむをえず、トゥイをクリスが残していった拳銃で撃った。
キムはエンジニアとともに、タイのバンコクに逃げる。
1978年9月のアトランタ、ベトナム帰還兵がベトナムに残してきた子供(ブイ・ドイ)の支援活動を行うための集会の場で、ジョンはクリスに、キムがバンコクで生きており子供がいることを告げた。
クリスは苦しむが、エレンとともにバンコクに行くことを決意する。
バンコクのキャバレーで、キムはホステス、エンジニアは客引きとして働いていた。
キムを探しに来たジョンに会い、キムはクリスがバンコクに来ていることを知ったが、ジョンはクリスに妻がいることを言えなかった。
キムはクリスの泊まっているホテルに出向く。
そこにはエレンがおり、キムは、クリスに妻がいることを知る。
キムの夢は、タムをアメリカに連れて行き、幸せな生活を送らせることであった。
しかし自分がいては、タムもアメリカに行けないことを悟り、自ら命を絶つことを決意した。(Wikipediaより)


さて、我がクラスメイトの駒田一はエンジニアの役で、エンジニアと言っても何かの技術者ではない。
英語の "Engineer" には、「うまく切り抜けていくやつ」「世渡り上手」というような意味があるそうで、『レ・ミゼラブル』のティナルディエ同様、金に汚い男を演じている。
しかし、本作では非常に重要な役どころで、主役はもちろんキムだが、物語全体を動かしているのはエンジニアなのだ。
(2000円で買い求めたプログラムでもキム役のキャストよりも前にエンジニアのキャストが紹介されているし、カーテンコールでは一番最後に出てくるから、ひょっとすると主役はエンジニアなのかもしれない)

今回のミュージカルを観て感じたのは、戦争で涙の流すのは女と子供なんだという事。
このミュージカルではベトナム戦争が舞台で、ブイ・ドイと呼ばれるベトナム帰還兵がベトナムに残してきた子供とキムの様な母親たちが涙を流している。
現在も中東やウクライナなどで戦闘が続いていて、銃弾の飛び交う下でやはり女と子供が泣いているに違いない。

そして知った事がひとつ。
劇の最初から引っかかっていた事だが、僕はベトナム戦争ってアメリカとベトナムが戦争をしたんだと思っていた。
だからエンジニアが自分たちの敵であるアメリカのGIを相手に商売をしている事に違和感があったのだ。
しかし、プログラムを読んで初めて知ったのだ、ベトナム戦争って北ベトナムと南ベトナムの戦争だったって事を(勉強不足です)。
北ベトナムを中国とソ連が支援し、南ベトナムをアメリカが支援していたのだ。
つまりエンジニアたちが居たのは南ベトナムで、だからGI達を相手に商売をしていたのだ。
しかし、サイゴン(現ホーチミン市)の南ベトナム大統領官邸に戦車が突入し大統領が降伏を宣言(いわゆるサイゴン陥落)したことで、ベトナム戦争は終結するのだが、北ベトナムからの迫害から逃れる為にキムやエンジニア達はタイのバンコクへ逃れ、ある者たちはボートピープルとなっていった。
日本にもその一部の人たちが流れ着いて、その殆どはアメリカへ政治亡命していったが、中には映画『円卓』にでてくるゴッくんの両親の様に日本に定住した人たちも居たのだろう。

劇も終わり、『レ・ミゼラブル』では見損ねたカーテンコールもしっかり見て、さて帰ろうかと思い通路にでたら、「あれっ」という声。
振り向くと会社の後輩が居て、僕の席の3つ隣で観ていた様だ。
彼は僕とは違いミュージカルが好きで、聞くところによると知念里奈のキム・バージョンを帝国劇場へ見に行ったそうだ。
ミュージカル好きって、居るところには居るんだという事も知ったのであった。

カーテンコールの舞台の中央でスタンディング・オベーションの拍手を受けている男が、かつてプレハブの教室で(中学2年生の時は校舎の建て替えでプレハブ教室だった)、僕の右斜め後ろに座っていたヤツとは、人生って何が有るか分からないから面白い。

舞台以上に。




2014. 9. 6

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