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おらぁ、東京さ行ぐだぁ的闘病記
   〜番外編K〜



■見仏(けんぶつ)・・・仏像を見に行く
2005年1月16〜17日


■1月 16日(日)
家を出発した時から降っていた雨は、上野駅についてもまだ降っていた。
今回は東京国立科学博物館で催されている「唐招提寺展」を観る計画だ。
この雨の中、外を歩き回るのはイヤだし、それに少々カゼ気味でもある。
最近のカゼはバカでも繋る様で、実際僕の場合も自宅で酒を飲んでいて酔いつぶれ、そのままコタツで寝てしまったことによる。
まったくバカなヤツだ。
病気は治ってもバカは治らない。


さて、唐招提寺(とうしょうだいじ)は日本に正式な戒律を伝えるため、12年にわたる様々な困難の末に来朝した中国の高僧、鑑真和上(がんじんわじょう)により創建された律宗の総本山(パンフレットによる)。
このお寺には様々な仏像等があり、国宝や重要文化財も多数ある。
それを今回、東京国立博物館で一般公開されているのだ。
実は阪神淡路大震災で金堂が傾いてしまい、このままでは倒壊の恐れがあると言うことで、「平成の大修理」を行うため、一時、仏像などを運び出していて、そのついでに一般公開しましょうと言う事の様だ。


上野駅から傘を差しながら慎重に歩いて来たのが、すでに靴はずぶ濡れで、足先は冷たくなっている。
チケットを買い、建物に入ると冷えた体がほっとする。


唐招提寺展」は平成館の2階で行われている。
エスカレータで上がると受付でヘッドフォンをレンタルしていた。
これは音声ガイドで、展示品に付いてる番号を音声ガイドのコントローラーに入力すると、寺尾聰が展示品の解説をしてくれるのだ。
歌舞伎座のイヤホンガイドの様なものだろう。
500円也。


展示室に入るといきなり、廬舎那仏坐像(るしゃなぶつざぞう)と四天王の5つの国宝に圧倒される。
今では名も無き仏師たちの渾身の作で、限りない宇宙を包み込むような廬舎那仏坐像と今にも動き出しそうで力強い四天王。
僕はしばし茫然とするしかなかった。
音声ガイドによると、鑑真は元々、仏像に興味を持って仏門に入ったそうだ。
だから、事のほか仏像にはこだわりがあったのだろう。
無論、日本にたどり着いた時には目か見えなくなっていたので、実際には一緒に海を渡ってきた弟子が指示したらしい。


さらに展示室を進んで行くと、瓦や金堂の模型、襖絵などが展示されている。
最初の仏像があまりにも凄かったので、その後の展示物がどうしても小物にしか見えない。
東山魁夷(ひがしやまかいい)の襖絵も本当はスゴイんだろうけど、やっぱり最初の仏像にはかなわない。

鑑真和上 唐招提寺 金堂 廬舎那仏坐像(頭部)

仏教の豆知識〜仏さんのランク
【如来(にょらい)】
悟りを拓いた人。仏教で一番エライ。
釈迦如来、阿弥陀如来、薬師如来が有名。
大日如来は密教の如来。


【菩薩(ぼさつ)】
悟りを拓くための修行中の人。
苦しむ人の救済を優先せさているため悟りを拓けずにいるが、悟りを拓く実力は十分にある。
観音菩薩や地蔵菩薩が有名。


【明王(みょうおう)】
仏教の中の一種、密教の大日如来の命を受け、未だ仏教へ帰依しない物を仏の道へ導く(時には力ずくで)。
不動明王などが有名。


【天(てん)】
如来や菩薩、仏法を守る。
有名な四天王は帝釈天を守る四人の天(持国天・増長天・広目天・多門天)。

平成館で「唐招提寺展」を観たあとは本館へ行く。
こちらでは、日本と東洋の物が常時展示されている。
ただ、どれも似たようなものばかりで、正直、飽きてくる。
しかも、どれも漢字ばかりで、なんだか中華料理屋に居るようだ。
しかし、そんな中でも唯一目を引いたのが日本刀だ。
有名な刀なのかどうかは知らないけれど、冷たく光る刃にはある種、芸術の極みを感じずにはいられない。
それに、ひよっとしたらこれで人を斬っているかも知れないと思うと怖さも感じる。
おのずと、少し背筋がピンとする。


散々見倒したら、あとはいつものホテルへ向かうだけだ。
途中、小腹を落ち着かせる為に、築地本願寺の前にあるドトール・コーヒーでコーヒーとサンドイッチを食べる。
更に、今晩の寿司屋であまり沢山食べなくてもいい様に銀たこへたこ焼きも買いに行く。
結局のところ、これらを食った為、結構お腹が一杯になり、肝心の寿司があまり食えませんでした。
ホント、バカだねぇ。



■1月 17日(月)

今回は診察だけで、MRIなどの検査は無い。
久しぶりに1階の喫茶店で朝食を食べてから病院へ向かう。
雨は昨夜、寿司を食べに出かけた頃には上がっていていたものの、今日はまだ少し曇り気味。
ちょっと早めに病院へ行き、まずは眼科へ。
待合室にはまだあまり人はいなかった。
どうした訳か、最近では以前程混む事も無くなった。
しばらくすると木村先生に呼ばれ、いつもの視力検査などをやる。
結果は変わらずという事だ。


待合室へ戻り、本を読みながら待っていると、しばらくして金子先生に呼ばれたので、診察室へ入る。
いつもと同じ様に眼底検査で診てもらい
「まだ、カタマリは残っていますが、変わりはないですね」と言った後、おもむろに
「私はこの春、定年でしてね」と。
入院中から、看護婦さんに「もうそろそろしじゃないかしら」と聞いていたのだが、遂に来てしまったといった感じだ。
「3月いっぱいです」との事で、
僕は「大変お世話になりました」とこれまでの感謝を伝えた。
寡黙ではあったが、大切な事はじっくりと、分かるまで説明してくれた良い先生だったと僕は思う。
次回は5月なので、今度からは鈴木先生に診て頂くことになる。
眼科の後はいつもと同じ様に、放射線治療科の伊藤先生にも診てもらい、本日は終了である。


この後、僕は羽田空港へ向かう。
何やら最近、「空弁」というものが人気らしい。
いわゆる、駅弁の飛行機バージョンといったところ。
その中でも『みち子がお届けする若さの浜焼き鯖寿司』がウマイとの事で、それを買いに行くのだ。


まずは新橋まで歩いて行き、山手線で浜松町へ行ったあとモノレールに乗り換える。
そう言えば、これまでにモノレールに乗った記憶が無い。
そもそも、モノレールはどこにでも有る様な乗り物では無い。
ひよっとすると、これが生まれて初めてのモノレールかも知れない。
乗り心地は予想外に悪く、普通の電車と変わらない。
ゆりかもめの方が数段良いが、あちらは狭いのが難点。


空港に向かうにつれ窓の外は東京らしからぬ景色になってくる。
僕の東京のイメージはビルが立ち並ぶ大都市なのだが、それがどんどんと無くなり、かわりに工場や倉庫が目立ってくる。
なるほど、東京にもこういったところがあるんだと一人で納得していた。


最近、羽田空港は新しいターミナルビルが出来た。
新しいといっても、古い方も知らないし、そもそも僕はこれまでに飛行機に乗った事がない。
(余談だが、ヘリコプターはある)
で、古いほうでも良かったのだが、どうせなら新しい方へと思い第2ターミナルビルへ向かった。
ちなみに、第1ターミナルビルの方が近いが、値段は同じである。


飛行機に乗った事がない僕は飛行場は初めてで、ちょっとドキドキする。
何かの間違いで飛行機に乗ってしまい、そんでもって、何かの間違いで外国へ行ってしまったらどうしよう、などとくだらない事を考えながら空弁屋を探すのだが、それらしい店が一向に見つからない。
1階から探して、遂に4階で発見した。
1個1050円(税込み)でゲットすると、もう羽田には様はない。
だけど、せっかくだから飛行機でも見て行こうと5階のデッキへ行く。
金網の向こう側には数台の飛行機が留っていて、さらに向こうの滑走路では離発着をしている。
実際のところ、こんなに間近に飛行機を見るのは初めてで、ワクワクする。
離陸する飛行機を見ているうちに、ふと飛行機で名古屋まで帰ると幾らするのだろうと思った。
念のため、無料の時刻表の様なものがあったのでそれで確かめてみると、羽田からは名古屋行きの便は無いことが判明。



ちょっとガッカリしたところで、昼飯を食いに日本橋へ向かう。
(さっきの寿司はお土産である)
確か、Hanakoか何かの雑誌で丸善にハヤシライスの旨い店が紹介されていたのを思い出し、そこへ行く事にした。
浜松町でモノレールを下車した後、大門から地下鉄(都営浅草線)で日本橋へ向かう。
日本橋駅の構内を歩きながら「何番の出口からでればいいのだろうと」と思い、案内を見てみると丸善が載っていない。
「おかしいなぁ」と思った時、そう言えば『アド街っく天国』で丸善は無くなるとか、建て替えになるとかやっていたっけ。
無くなってしまったものは仕方ない。
こうなったら、どこでもいいやと、高島屋へ行き、トンカツの店で腹を膨らませた後、東京駅まで歩いていった。





2005.1.30記

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