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おらぁ、東京さ行ぐだぁ的闘病記
   〜番外編M〜



■突然、左眼が・・・
2005年6月5〜6日


■6月 5日(日)
突然の事だった。
左眼が突然に見え難くなっていた。
モヤの掛かった様に、視野全部が白っぽくなって、殆ど見えない。
特に明るい所では、乱反射したかの様に真っ白になっている。


気が付いたのは6月2日。
休みを取ってゴルフをしていた時、何気なく左眼でコースを眺めると視野全部が白っぽくなって、よく見えない。
初めはメガネのレンズが曇っているのかと思い、確認してみたのだが、それ程汚れてはいない。
次に思ったのは目ヤニだが、いくら目をこすっても相変わらず白く霧が降りた様な視野は変わらない。
いよいよ眼の中で何かが起こっている様だ。


翌日、会社が終わってから近くの眼科へ行った。
視力検査や眼圧等の検査の後、先生の診察の結果によるとどうやら出血しているらしい。
この後は現在通院している国立がんセンターで診てもらった方が良いでしょうと、鈴木先生宛てに医療情報を書いてもらった。
国立がんセンターの眼科は月・水・木が診察日なので、早速一番診察日の近い次の月曜日に受診出来る様、ホテルの手配をし、休んでも問題がないか仕事のチェックも行った。
いつもなら、1ヶ月前には新幹線のキップを手配するのだが、今回は直前なので当日(日曜日)、駅で購入する事にした。


日曜日は8:30に家を出発する。
名古屋駅に着いたのは9時少し過ぎ。
券売機でキップを買おうとすると駅員が
「線路内に人が入った様で、その確認の為、運行がストップしています。指定席券を買っても、いつ来るか分からないので、急がれるのであれば、自由席券で来た列車に乗った方が早いです。」
と、ナイスなアドバイス。
早速、自由席券を購入しホームへ向かう途中、運転が再開されたとアナウンス。
とりあえず、停車していたのぞみに乗り込むと5分くらいで東京へ向けて出発した。
この列車は名古屋駅で55分も止まっていたらしいが、僕は殆ど待たずに済んでラッキーだ。
しかし、満員で座る事が出来ず、2時間近く、何もしないでただデッキで立っているだけというのは酷く疲れる。
隣の車両からはたばこの煙が流れてきて、疲れと煙で少し気分が悪くなった。
後日、新聞によると、ブラジル人が近くから新幹線を見たくて線路内に入り込んだそうだ。
JR西日本の事故以来、線路に自転車や石を置く事件が後を絶たない中、なんとも子供じみた理由で、ちょっとほのぼのとしてしまう。


もうそろそろ限界に近づいてきた11:10頃、東京駅に到着。
ホームのベンチで少し休憩をしてから、腹ごしらえの為、今回が3度目の「土手の伊勢屋」へ向かう。
三ノ輪駅から出ると、太鼓や鐘の音と共に「ソイヤ、ソイヤ」の掛け声が聞こえてきた。
男衆は神輿を担ぎ、子供達は大きな獅子頭を台車に乗せてガラガラと引張っている。
何のお祭りかは知らないが、神輿を担ぐ人達の横を、興味無さ気に追い越してゆく自転車や車の流れから、明らかに盛り上がってはいないと感じられる。
土手の伊勢屋では結局1時間半も並ぶ事になった。
家を出てから、5時間ずっと立ちっぱなしで、いい加減疲れる。
天丼はイ・ロ・ハの3種類あるのだが、(ハが一番豪華)、前回はゴージャスに行こうと思い「ハ」を頼んだが、クド過ぎて少し後悔したので、今回は・・・・
アレレ? 一番スタンダードなのは「イ」だっけ? 「ロ」だっけ? どっち?
結局、もうクドイのはコリゴリなので、「イ」を頼んだが、少しプアな天丼が出てきた。
でも当然ながら、メチャウマなのでこれでも充分満足だ。


店を出たあとは浅草へ向かう。
今回向かうのは浅草演芸ホール。
今、静かなブームの落語を聞いてくるのだ。
それに、「笑い」は健康に良いと聞く。
きっと、左眼のモヤモヤにも効くに違いない。


地下鉄を乗り継いで行くと、遠回りになってしまうのでバスで行く事にした。
公共バスに乗るのは恐らく、高校生以来の事。
と言う事は10年もバスに乗っていない事になる。(計算あってねぇー)
料金や乗車口を確認し、少し、緊張しながらバスを待つ。


名古屋では車が無いと身動きが取れないが、東京の街はJRに私鉄、地下鉄やバスなど、交通網がそれこそ”網目”の様に張りめぐらされているので、自動車が無くても移動には全く不自由しない。
本当に便利な街だ。
(多分それも23区内に限った事だとは思うけれど)

浅草までは15分ほど。
バスから降りてはみたものの、方角が分からない。
案内板を頼りにようやく「浅草演芸ホール」に到着。
2500円を払い、中へ。


昼の部は既に始まっていたが、お客は思った程多くは無く、座って聞く事ができた。
今、落語が静かなブームだと聞いているので、立ち見を覚悟していたのだが、やや拍子抜けである。
僕は「寄席」と言うと“ジジ・ババ”いうイメージを持っていたのだが、想像以上に若い人が多く、やはり静かなプームなのだろう。
舞台の上には「タイガー&ドラゴン」の寄席に出てくるヤツと同じ額(がく)が掛かっていて、
「ああ、あの寄席はここがモデルなんだぁ」と、少し感動だ。
僕は途中からホールの中へ入ったのだが、ひょっとしたらマナー違反だったかな?
などと思いながらも、堂々と真ん中の席を確保したのだが、前のヤツがデカくて舞台上の雷門助六が見えない。
見えるのは前のヤツの後頭部ばかりで、こちらは首を傾げて見る他ない。
マズイ席に座っちまったなぁと思っていたら、助六の落語も終わり、仲入り(休憩時間)となった。
仲入りには客の出入りがあったので、前のヤツも隣の席にズレて代わりにおばちゃんが僕の正面の席に座った。
もう、これでバッチリだ。
それにしても、やはり途中からホールの中に入ったのは、マナー違反だったかもしれないと少々反省する。


仲入りの後、落語や紙切り、ジャグリングなど、何席かあったがどれもが名人芸。
テレビのバラエティ番組とはひと味もふた味も違い、練られた芸は気持ち良く笑わせてくれる。
そして、真打は笑福亭鶴光。
僕はこの鶴光の落語が聞きたくて、今回ここへ来たのだ。
「高齢化社会というのはホンマでんなぁ」から始まった落語は笑いにつぐ笑いで、場内は本当に爆笑の渦だ。


大いに笑った後、いつものホテルへ向かった。


■6月 6日(月)

翌朝は7時に起床。
いつもならもう少し寝ているのだが、今回は予約をしていないので早く病院へ行く必要がある。
予約の無い人は「再診受付」で手続きをするのだが、その受付は7時半から開いている。
開いているといっても、機械から出てくる整理券がもらえるだけの事なのだが。


病院へは8時少し前に到着。
再診受付は既に10人待ちだった。
整理券をもらった後、暫く時間があるので前回と同様、コンビニで買ったおにぎりを食べながら、本を読んで時間を潰す。
8時半ごろから順番に呼ばれ、計算カードをもらう。
通常、予約をしてきた場合は水色なのだが、予約なしの時は黄緑色で色が違う。
その黄緑色の計算カードを持って眼科外来へ行き、受け付けで看護士さんに渡す。
本を読みながら待っていると木村先生に呼ばれ、視力検査や眼圧の測定を行う。
再び待合室で待つ。


予約なしのせいか、最近では少し長い待ち時間を過ごしていると、名前を呼ばれる。
眼底を見たあとの鈴木先生の説明によると放射線治療により網膜の血管がダメージを受けていて、正常の血管に比べて破れやすくなっている。
その為、例えばボール等をぶつけたりといった場合に破れたりするのだが、僕はその様な事が無かったので、別の原因により破れたのだろう。
一般的には原因が分からない事が多いそうだ。
網膜を観察できる事から、出血の程度はあまり酷くはない。
現在はもう出血は止まっていて、血もいずれは分解、吸収されて、早ければ1ヶ月で元に戻る様だ。
半年経っても改善がみられなかったり、あるいは更に酷くなる様な事があった時には手術をするという方法もあるとの事。
とにかく、1ヶ月は様子見。
とりあえず7月4日に予約を入れておき、「良くなる様であれば、パスして頂いて結構です」という事だ。


原因が分かれば気持ちもスッキリする。
それに、これは完全に気のせいなのだが、少し見える様になった気もする。
僕は会計を済ませると、軽快なフットワークで恐竜の化石を見る為、国立博物館へ向かった。


(でも、月曜日は休館日でした)

2005.6.11記

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