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おらぁ、東京さ行ぐだぁ的闘病記
   〜義眼編F〜



抗がん剤治療について 〜僕の考え〜


※まず初めに、決して抗がん剤治療を勧めているのではありませんので、その点、ご理解下さい。

抗がん剤治と脈絡膜悪性黒色腫
『抗がん剤』という治療方法がある。
しかし、東邦大学大橋病院で眼球摘出を行った時に金子明博先生からの説明によれば、僕が罹った脈絡膜悪性黒色腫の場合、抗がん剤治療を行う事は海外も含めて一般的では無いとの事だ。
それは、この病気に対して効果がある事が確認されている薬が無いという理由からだそうだ。
では、抗がん剤での治療を行っている病院が無いのかと言えばそうでは無い。
僕の知っている範囲ではピーコさんが眼球摘出手術を受けた佐伯眼科クリニック、それと僕もお世話になっている東京医科大病院では行っている。
ピーコさんがどの様な薬を使ったかは分からないが、東京医科大の場合は“まてさん”が以前、掲示板に書き込みをされていたので、おおよその事は分かっている。
そういった中で、僕の目下の懸案事項は『抗がん剤治療をやった方がいいのか、それともやらなくてもいいのか』と言うことだ。

●転移に対する懸念
僕は左眼を摘出したので今後再発するという事は無いが、転移については可能性が残っている。
その為、3月に123I−IMP(核医学注射)の検査を行い、幸いにも結果は陰性だったが、これは『転移していない』という事ではない。
この検査の解析度は5mmと言う事を聞いた事があり、すなわち、転移していたとしても腫瘍が5mm以上の大きさにならないと発見されない可能性があると言うことだ。
つまり、今回の123I−IMPの結果は『転移は見つからなかった』という事で、ひょっとしたら転移しているかもしれないという懸念は残る。(もちろん、悪く考えればキリが無いのだが)
僕の場合、左眼が出血してから摘出するまで1年半くらい掛かったというのも少し気味が悪い点でもある。
しかし、うれしい情報としては、悪性度の高い腫瘍では無かったと言う事と、腫瘍自体は眼球内に納まっていたという点だ。
これは東京医科大の後藤先生が東邦大学大橋病院の金子先生のところから生体(摘出した眼球の一部の事だろう)を入手して調べた結果だった。

抗がん剤治療のデメリット
かと言って、「転移の心配を無くす為に抗がん剤治療をやってしまおう」とは、簡単には言えない。
それはシロウトの僕にも抗がん剤が“きつい薬”と言う事ぐらいの認識があるからだ。
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』ではオカンがうつ伏せになったままもがき苦しみ、『ただマイヨ・ジョーヌのためでなく』ではランス・アームストロングは「化学療法はどちらを先に殺すかだ。癌か、僕か。」と書いている。
ネットで調べると抗がん剤治療について否定的なサイトが多数みつかる。
中には「がんで死ぬ人の殆どは抗がん剤で亡くなっている」という医師もいる。
(もっと極端なものでは「がんは治療するから亡くなるんだ。人間には自然治癒力があるのだから。ほって置けばそのうち完治するんだ」という医者もいる)
僕は薬や医療についての知識は皆無なので、東京医科大の後藤先生に実際の所はどうなのかを相談してみた。

・ 嘔吐、脱毛など、一般的な副作用の可能性はあるが、実際はほとんど無いとの事。一昨年実施した人(病状や治療の内容から“まてさん“の事と思われる)は何も無く、ケロっとしていたそうだ。
・ 東京医科大では皮膚科で行っているDAVと言う薬を使い、1クールあたり2〜3週間を1ヶ月置きぐらいで数クール行い、全部で半年くらい掛かる。

つまり、最大の問題点は長期間会社を休まなくてはならない事で、それ以外に深刻なデメリットというものは無い様だ。

●“やる”or“やらない”・・・僕の考え

深刻なデメリットが無い事は分かったが、それでは抗がん剤治療をやるべきかやらざるべきか。
相談した後藤先生の見解は「判らない」という事だった。
東邦大学大橋病院の金子先生のところから生体を取り寄せてはいたが、それは一部の事であり、詳しく調査をしたわけではないから判断が出来ないと言われた。
ならば、摘出手術を行って頂いた金子先生の見解はと言うと、先生は元々抗がん剤治療をやらない考えの方(繰り返すが、通常は「やらない」事が一般的)なので改めて聞いても仕方ない。
又、国立がんセンターの鈴木先生は金子先生の後継者なので、恐らく抗がん剤治療をやらない考えの人だろうと思い、こちらも聞かなかった。

こうなったら自分で判断するしかない。

僕は、もし将来、転移がみつかったとしたらどう思うかと考えてみた。
「あの時、やっておけば良かった」ときっと思うはずだ。
もちろん、見つかった時にやればいい、効果が不明な物をわざわざ大変な思いをしてやる必要は無いのではないか、と言う考えもある。
でも、転移が見つかった時には腫瘍はある程度大きくなっているハズだ。
大きい腫瘍をやっつけるよりも、検査で見つからないくらい小さい腫瘍をやっつける方がずっと簡単ではないだろうか。(これはシロウト考えです)
それに、抗がん剤治療を受ける為に何日も会社を休まなくてはいけないが、今なら仕事に合わせて時期(スケジュール)をある程度コントロールする事は可能だ。
しかし、転移が見つかった時は仕事の都合とはお構い無しに、待った無しでやらなくてはいけないし、場合によってはもっと長期間休まなくてはいけない。
そういった理由から、「今出来ることは、今のうちにやっておこう」と僕は思ったのだ。
もちろん、金子先生の言われる様に、効果がはっきりしないと言う事も承知の上だ。
抗がん剤治療を受けても転移が見つかるかもしれない。
しかし、座して待つよりも攻めていこうと思ったのだ。

●抗がん剤治療に向けて
4月28日に東京医科大の後藤先生に抗がん剤治療のお願いをしに行った。
当然ではあるが、寿司屋で寿司を注文する様なわけには行かず、初めのうちは先生は治療を行うことにやや消極的ではあったが、僕の方から「どうしても」とお願いをして、ようやく抗がん剤治療を行ってもらえる事になった。
いつ入院するかについては、自分で指定が出来たので、先生が「ゴールデンウイークは避けた方がいいかもしれない」と言っていたのと、「どうせやるなら早い方がいい」と言っていた事を参考に、ゴールデンウイーク明けの5月7日に入院する事にした。
(後日、病院側の都合により8日に変更となった)


2007.6.10記



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