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おらぁ、東京さ行ぐだぁ的闘病記
   〜義眼編 (22)〜



ムットーニざんまい
2011年 6月19〜20日
6月 19日(日)
今日、僕は初めて八王子に来た。
都心から離れているうえ東京都の端っこなので、もっと田舎だと思っていたけれど、JR八王子駅のコンコースを抜けて外に出たら
「なんじゃこりゃぁ」と松田優作ばりに叫びたくなりそうなくらいの都会が広がっていた。
四方八方に伸びた通りにビルが立ち並び、それと溶け合う様に商店街の様な通りもある。
ユーロードと呼ばれるその通りの両側には色々な店の並んでいて、何故だか、やたらと靴屋が多い。

今回、八王子に来たのは『八王子夢美術館』で『ムットーニ ワールド からくりシアターU』という僕の大好きなアーティストのムットーニの展覧会があるからだ。
ムットーニの作品は機械仕掛けの人形の動きと音と光で作品の世界感を表現するもので、"からくり"と言っても昔の日本にあった『茶運び人形』の様なものではない。
(ムットーニについては過去の『おらぁ、東京さ行ぐだぁ的闘病記』『我かく語りき』にも書いています)

実は今年の2月にも新宿で行われた個展にも出かけたのだが、その時は新作を見ることが出来たものの、5作品程しかなくガッカリして帰ってきた。
今回も少なかったらガッカリだなぁと、ちょっと不安はあったものの、期待も大きかった。


八王子駅からユーロードを抜けて15分くらいで美術館に到着。
心をワクワクさせながら受付を済ませて中に入ると沢山のムットーニ作品が展示されてあった。
一気にバーっと見てみたい気持ちを抑えて、一つ一つをじっくりと、心に刻むようにしながら見ていく。

僕が好きな作品は『摩天楼2000』と『猫町』。
ムットーニの作品は一つの箱の中に小さな世界を作り、その中で物語が繰り広げられている。
しかし近年の作品はその箱が無くなり、人形が剥き出しのままで、動きも回転と上下方向だけで、なんだか手抜きの様に感じられる。

今回の展覧会で一番良かったのは、ムットーニ自身による上演会があった事。
40作品以上が展示されている中から、6作品について作品の説明と、実際に作品を動かしながらの口上を聞くことにより、その作品の世界感が実によく理解できた。
その説明を聞いて分かったのは、箱を無くす事によって、人形を照らす光が背後の壁にも映って、それも作品の一部になっていたこと。
僕は動く人形ばかりに目が行ってしまい、背後まで気が付かなかった。

次に良かったのは、完成作品と並んで、部品や機械部分も見える様になっていたので、どのような仕組で作品が動いているかがかなり分かった事だ。
構造はあまり複雑ではなく、木製のカムでリレーのスイッチを入れてモータを動かすという仕組み。
これなら僕でも作れるかもしれない。
LSIやマイコンなどの電子部品を使っても出来るけれど、古典的な機械仕掛けという事もムットーニのこだわりが伺える。

【ムットーニ公式サイト】

結局、3時間くらい見て美術館を後にして、次に向かうのは世田谷文学館。
ここにはムットーニの作品が常設展示されているのだ。
今日は折角だから、たっぷりとムットーニ作品に浸ってしまおうという趣向。

常設展示されているとは言っても5作品しかなく、16:30から3作品を、17:30から2作品が上演される。
僕が世田谷文学館に着いたのは16:20頃で、一般展示品を少し見ながら上演時間を待った。
ここに常設されている5作品は全て文学作品を題材にしたもので、

・『猫街』 萩原朔太郎
・『月世界探検記』 海野十三
・『山月記』 中島敦
・『漂流者』 折原 一
・『THE SIPRIT OF SONG』 ?

恥ずかしながら、僕はどの作品も読んだことが無い。
ところで、今回見た『猫街』は以前に見たものと違っていた。
ムットーニの公式サイトで確認すると、『猫街』という作品は2つ作られていて、『月世界探検記』や『山月記』が作られた時期から考えて、恐らく世田谷文学館の物が先に作られたと思われる。
確かに、僕が以前に見た『猫街』の方が、からくりが複雑な様な気がする。

話しは変わるが、どうして"世田谷"で"文学館"なのか。
それは展示品から理解する事ができた。
世田谷に縁〔ゆかり〕のある作家が紹介されていて、例えば柳田国男、斉藤茂吉、平塚らいてう、志賀直哉、武者小路実篤、西條八十、壺井栄、林芙美子、坂口安吾、井上靖、寺山修司、横溝正史、吉行淳之介・・・錚々〔そうそう〕たるビッグネームばかりだが、これまた恥ずかしながらどなたの作品も読んだことが有りません。

展示品は少ないものの、思いの外興味を惹かれる物が多いのに、世田谷文学館のホームページでは詳しく紹介されていないのは残念だ。

世田谷文学館を出たあとは、いつものビジネスホテルへ向かう。そしていつもの様に途中の『銀だこ』に寄ってたこ焼き買ってホテルで食す。

ここで雑学。
『銀だこ』の"銀"はいつの日にか銀座に出店したいという創業者の夢からつけられたそうだ。
そして僕が毎度買っている店は『銀だこ』の本店である。

さて本日の夕食は久しぶりに寿司を食べようかと思ったが、ここ最近、車の修理など色々と出費が多くて・・・、と言うことで、『すしざんまい』の回転すしの店へ。
しかし、たこ焼きを食べた為か、8皿でもう腹がはちきれそうになって、お愛想と相成った。
臨月の様な腹を抱えて、ちょっと夜の銀座をブラブラする。
原発事故の影響なのか、いつもの銀座よりも少し暗い気がする。



灯りのついていない看板が多い

人通りが少なくなった街角ではサックスの音色がビルに反響して、エコーとなって聴こえてきて、街が甘いムードに包まれている。
サックス奏者は松坂屋前と三越前に居て、僕は松坂屋前のオジサンに軍配を挙げる。
そのオジサンは僕が通った時は『Mr. Lonely』と『ウナ・セラ・ディ・東京』を吹いていた。



外見には似合わないロマンチックなメロディーを奏でるオジサン

6月20日(月)
今日は朝一でMRIの検査がある。
なので、朝食はとらないでコーヒーだけで済ませて国立がんセンターへ向かう。
MRI検査はいつもの様に済ませ、眼科へ。
眼科での診察が登録されていないという、ちょっとしたトラブルを乗り越えて、木村先生の視力検査も無く、鈴木先生の診察へ。
先ほど済ませたMRIの画像が先生のパソコン画面で見ることが出来て、そこに肝臓と腎臓の間に何かが映っていた。
鈴木先生のその時の見解では「血管が映っているのかも」と言う事で、何枚も撮った画像の中で映っていたのは1枚だけ。
画像は約8mm間隔で撮られているそうで、だとすれば"それ"は8mm以下の大きさという事になる。
前回のMRI検査でも何かが映っていたので、ちょっと心配。
画像診断の専門部署での結果で、何かがあれば連絡をもらう事にした。
鈴木先生は「もうそろそろMRI検査は年に一度でいいのでは」と言われていたが、もし肝臓に転移していた場合、半年後の生存率は、低い。
肝臓近くに何かが映っているという状況で年に一度の検査では心配である。
そういう事もあり、暫くは半年に一度の検査を継続する事とした。

今回の診察には会社で行っている健康診断の結果を持ってきた。
健康診断で行われる血液検査の結果のどこを見れば良いかについて確認したかったのだ。
鈴木先生の話しでは、γ-GTPやGOTなどの肝機能の数値を示す値が基準値内であれば問題無いとの事だったので、とりあえず、健康診断の時の僕はOKと言うことになる。(但し、腹回りと中性脂値の基準値オーバーにより、会社の健康推進部からメタボリックと診断されている)
国立がんセンターで血液検査をしても、結局は同じ項目を見ているので、改めて病院で検査を行う必要はないと言う事だ。
また、腫瘍マーカーもこの病気に適した物も無くはないが、日焼けをしただけで数値が上がってしまい、今一つ信頼に欠けるそうだ。

会計を済ませたら築地場内市場の『小田保』へ向かい、海老丼を注文する。
何故、小田保で海老丼なのかと言うと、『しゃべくり007』という日テレの番組で築地出身のテリー伊藤が小田保の"海老丼〔\1200〕"とトミーナの"わたり蟹のトマトクリームソース スパ〔\1600〕"と中栄の"合いがけカレー〔\600〕"の3つの料理から一番に選んだのがこの海老丼。
海老を使った他人丼といった感じの料理で、まぁまぁ旨い。
僕は天丼系の料理は"土手の伊勢屋"が一番だと思っているので、この評価は仕方がないと思ってください。(海老丼がこれくらいの味だとすると、他の2品は大した事ない?)

ちょっと遅い朝食の後は新橋へ向かう。
レインボーブリッジを歩いて渡ろうという計画なのだが、橋のたもとの芝浦ふ頭駅に降りた時からなんだか嫌な雰囲気が・・・。
とにかくレインボーブリッジに向かって歩いていると黄色い看板がこっちを見ている。
あーっ、駄目じゃん、本日休館日だって!




Oh my God !

毎月、第3月曜は定休日との事だが、そんな事は事前調査した中には無かったぞォー!
月に一度の休館日ならどうしようも無い。
もう家に帰ろう。




汐留らーめんに途中下車
今年の8月で閉店なんだそうだ



東京では見上げなければ空が見えない

2011. 7. 7記



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