中国鉄道の旅 第10回 漣源〜懐化 (603次快客 275km 6時間27分 21元(硬座))
湖南省漣源のK氏宅でバーベキュー。なんと長沙で購入したというアメリカ産牛肉があり、大感激。久しぶりに牛肉をいただいた。なにしろ田舎の(水)牛肉は、みな草履だから。翌日、来賓へ帰る為にこの列車に乗った。10時半、1時間ほど遅れて列車は到着。その間に本来は後に出発するはずだった湖南人民(株洲方面)の列車が出発した。603次列車も結構混んでいた。ボックス席に一つ空きがあり、そこに寝ていた人に空席かどうかを尋ねると、ふさがっているとの事。でも、しばらく話をしていたら、座っていいといってくれた。結局空いていたのであった。一見いやなやつ、でも話せばいい人というケースが、中国ではよくあるのだが、彼もそのケース。でもお隣の省なのに、湖南訛りは聴き取り難い。
列車は湖南の山間部を西へ進む。広西と違いなだらかな山は日本のようである。そして車窓に広がるのは、ひたすら水田。湖南隊員が、湖南はひたすら水稲の省と言っていたが、納得。小平陽ならばサトウキビかトウモロコシを作りそうな台地上の場所も、水田だった。これは、広西と違って水の便が悪くないということなのだろう。ダイヤが乱れているためか、鉄道地図帳にも載っていないような駅で交換の待ち合わせをする。交通量はかなり多いようだ。というのはこの路線は北京方面から貴州省、雲南省へ抜ける重要幹線であるからだ。線路脇ではあちこちで複線化工事が進められていた。昼食は、好きな食堂車に行きたいところなのだが、硬座の場合荷物(と座席)が心配なので結局車内売りの弁当になる。この弁当の価格が面白く、列車の格によって見事に違う。北京〜南寧の快速列車あたりだと15元あたり、一般の空調特快で10元程度。ちなみにこの列車では5元と3元の2種類があった。また、ワゴンによって値段、中身が違う事があるので、そのあたりの見定めが難しい。一般的に、先に来るワゴンは高め、そのあと状況により値段と質を落とした弁当がくるように思う。売れ残りの閉店前一掃セールといったところか。今回は昨日のバーベキューの影響がまだ残っていて肉はいらない状況だったので、3元の野菜炒めぶっ掛けご飯に1元のまーらー豆腐をつけてもらうことにした。途中駅から乗る硬座は、乗ってみるまで座席の確保の問題があり冷や冷やものだが、うまく座れてしまえば昼間の列車の硬座は景色を見るのには良い。今回は途中から乗客が減ってきたのでなおさらである。どうも列車といえば夜行に乗る機会が多いし、そうなると寝台…ということになるのだが、寝台車に乗っていると昼間でもつい車窓を眺めるのではなく眠ってしまうので都合が悪い。列車の揺れに身を任せて眠る事は最上の楽しみではあるのだけれども、初めての区間ではちょっともったいない事である。でも所詮眠るのが好きな人間、硬座であっても6時間も起きていられるわけはなく、結局途中うとうとしたのであったが。坪口あたりでは大きなダム湖を見ながら進む。田圃も減ってきて、ひたすら山地を行く。16時を過ぎ、山が遠ざかっていくと、人家が増えてきた。懐化の盆地に入っていく。ここは株洲と貴州、昆明を結ぶ幹線鉄道と、柳州から洛陽へ抜ける鉄道とが交差する鉄道の要所である。30分程度の遅れで懐化に到着。街はそれほどメジャーではないが、鉄道の要所という駅の御多分に漏れず、ここでも簡単に来賓までの乗り換え列車の寝台券が手に入った。
ちなみに乗り換えた列車は第6回でご紹介済みの503列車です。また、この列車の消息がどうなったか、古い時刻表が手元にないため、まことに遺憾ながら判断できません。
鉄道旅行表紙へ戻る
HOME