中国鉄道の旅15 昆明19:01〜2080次〜貴陽7:34(硬臥127元)

 中国火車(鉄道)に乗らないこと2ヶ月。そろそろ欲求不満。おまけにデジカメソフトをパソコンに入れようとしてこれがなかなか動かず、土曜日を丸一日つぶしいらいらは頂点に。ようやくパソコンが起動したところで、後先考えず衝動的に駅へ走ってしまった。
 中距離列車の切符購入は、今の中国ではそんなに難しいことではなく、あっさりと寝台入手。ここで寝台が手に入らなければさっさと帰ってふて寝するつもりだったのだけれど…。昆明基点(いや、終点か)の大幹線をついに試乗することになった。19時といえどまだ明るい昆明を列車はゆっくり出発。駅で購入した弁当(おかずぶっかけごはん)が思いのほかうまく、ビールもあるし、気分がすっかり良くなる。
 久々に中国鉄路に乗って気がついたこと、それは揺れが少ないということ。日本は1067mmの狭軌、中国は標準軌のため、確かに差があっても仕方ないが、重い貨物列車をガンガン走らせるため、保線をしっかりやっているのだろう。中国の寝台車でさっさと寝てしまう原因は、案外こんなところにあるのかもしれない。南昆線を右に分けるとすっかり景色は田舎。そのうち外も暗くなる。横になってうつらうつらするうち21:51最初の停車駅曲靖。動力が先頭の機関車だけで、延々20両近い客車を引くので、揺れない中国鉄路も停車時には結構大きな衝撃がある。そしてその後は長い沈黙。各駅の停車時間が長いのも特徴のひとつ。というわけで停車時には目がさめることが多い。曲靖を出発してまもなく車内は消灯。なんだがかえって眠れなくなり、カーテンをかぶって外を眺める。だいたい消灯されたというのに傍若無人に大声で話す中国人、なんとかしてくれ。って、でもこれを気にするのは日本人のいけないところ。お互い他人のことは気にしないというのがここ中国の風習だし、実際それで楽な面もあるのだから。次の宣威が雲南省最後の駅。ここを出発して間もなく再び夢の中へ戻れた。
 目がさめたのは朝6時の安順到着直前だった。まだ夜の明けきらない初めて見る貴州省の朝もやの農村。思ったよりも水田の面積が多い。水田が多い、つまり平地が多いとなんだかほっとするのは、来賓の農民を思い出すからだろうか。中距離列車のため洗面所などもまだきれいだ。それに乗客もごみを床に落とさずテーブル上のトレーに入れているし、乗務員もきちんとごみを袋に集めている。冷房車から中国の習慣も変わってきているようだ。以前はごみを撒き散らす乗客も乗客ならば、そのごみを箒またはモップで集めてドアから外へポイの乗務員も見上げたものだったが、すっかり国際水準になっている。冷房車といえば、冷房車の急増もすごい。この列車のようなごく普通の列車も冷房化されている。冷房車の運賃は旧型車(緑色)の約2倍、さすがに高いと思ったのが、鉄路局で自主的に多客期以外は2割引の運賃設定を始めていた。洗面も終え、服も着て、まだ時間があったので半分うとうとするうちに、家が増えて定刻に遅れること15分、7:50列車は貴陽に到着した。

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